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【プリズンライターズ】獄下の詩人・平和を詠う

人の争いが無くなることは無いのでしょうか?
ロシアとウクライナの戦争が泥沼化する中で、今度ハマスとイスラエルが戦闘を始めました。否、これは戦闘ではなく、最早戦争に他ならないと私は思います。
これは飽くまでも私の持論、偏見かもしれませんが、イスラム原理主義者たちが戦争やテロに関与することが多過ぎる。ISILも然り、今回のハマスもまた然り。
イスラム教が世界三大宗教の内の1つであることは周知の事実。そしてその神である唯一神、アラー名も誰もが知っていることでしょう。よく耳にするはずです。

さて、今回のハマスが最初に攻撃を仕掛けたそうですが、その際に民間人を殺し、老人や子供を人質に取ったそうで、更にはベッドで眠っていた幼い子供まで銃で撃つということをしました。これは正に鬼畜の所業ではないでしょうか……普通ではありません。
そこで私は思うのです。神が人の命を望むのかと……況して幼い子供の命など神が望むはずがない。もし、望むような神が居るのなら、その神が死ねば良い。私は心からそう願う。
アラーも子供の命を望むはずがない。
しかし、世界を見れば神や宗教の名の基に戦争をし、人が人の命を奪い続けています。
イスラムの場合はジハード、聖戦だと言いながら……人が多く死ぬことの何が聖なる戦いなのでしょうか。私には理解できません。するつもりもありませんが……
結論として、この戦いというものは自らの正しさの押し付けです。
ジハードなどは自らの信ずる宗教の押し売りに他ならない。私が信仰するものを他者に理解して欲しい、良い教えを分かち合いたい、その気持ちは分かりますが、嫌がる相手にすることではない。道は1つではないのですから。
私たちの生活はどうでしょうか?些細なトラブルが多く、小さな諍いや小競り合いは日常茶飯事ではないかと思います。これも大体が自らの正しさの証明と、虚栄が原因だと私は常々思っております。自らを誇ることは大切です。けれど、それは自らの内側に向けるものです。更なる高みを目指す為に。人に向けるものじゃない。自らを安くしてしまうから。

そして、汚れた身であるからこそ、この中で清く、正しくあろうとすることは尊い。正論も正しいからこその正論。しかし、それを武器にして相手に迫ってはいけない。相手は逃げ場を無くしてしまうから。人を追い詰めることは正しさからは程遠い。人を糾弾すると自らの正義に酔いがちです。詰まりは個人のジハードになってしまいます。

趣味や嗜好がそれぞれ異なるように、私たちは1人1人考え方も異なる。
生き方も違えば、何を常識とするかの基準も違います。そして一癖も二癖もある猛者ばかり。誰もが自らの我を通したからこそ、今ここに居るはずなのです。
少し周りを見て譲れるものは譲りましょう。存外譲れないものの少なさに気づくはずです。

認め合うこと、支え合うこと、許し合い、互いに励まし合い、そして寄り添い合えたなら、人も国も争うことは無くなるでしょう。けれども人は自分本位の生き物。とても難しい課題ではあります。しかし、1人1人が向き合い、自らの意思で努力して行かなければ解決しません。私は努力し続ける者で在りたいと思います。今日も、明日も。
最後に私の愚詩を2つ程添えさせて下さい。
1つ目は私が初めて書いた詩です。読んだ本に感動し、拙い言葉を綴りました。2つ目はロシアとウクライナの戦争が始まり、死者が増え続けている中で、戦争ではないと言っていたことに憤りを感じ、激情の熱を詩にしました。どちらも戦争についての物です。
有難いことにコンクールでは2位と1位を頂きました。皆様にも御笑覧して頂けたら幸いです。戦争なき平和な世界を獄下より祈ります。

永訣の詩

群青の空に散りし君は何を祈り
茫洋の海を漂いし君は誰を想い
荒廃の地で眠りし君は明日を待つ

悲しむなかれ 空に帰りし忠魂よ
嘆くなかれ 海に零れし血涙よ
憂うなかれ 地に埋もれし戦骨よ。

安寧の世を願い戦塵に
散華せし数多の雄心と
平和への祈りに満ちたその念い
後世に生きし私はここに知る

遠き日の君にも届くだろうか

名も知らぬ君へと詠う
安息の祈りを込めた

永訣の詩

彩られた世界へ

この国の終戦から幾歳月が流れたか
数えなければ分からない
知ろうとさえも思わない
僕たちは平和という果実を
余りに長く貪り過ぎた
気づかぬ内に当然と
享受していた安寧の日々に
深く深く沈淪していた
与えられた穏やかなこの日々が
数多の枯骨の上に
築かれたことさえ忘れて

そんな僕たちの目を覚ます戦争が
遠く離れた国で始まった
人を殺す為だけに作られた
多くの兵器を次々に使い
互いに一人でも多くと殺し合う兵士たち
まるで火に薪を焼べるかのように
誇らしげに自国の武器を
次々に提供する傍観者たち
こんな唾棄すべき行為さえ
戦争という言葉を使わない ただそれだけで
だから戦争ではないと言う為政者たち
狂っている 誰もが皆狂っている
これは戦争だ 紛うことなき戦争だ

日に日に増える死者の数
兵士も民も ただの数字になってゆく
新聞の数字を増やす死者になってゆく
攻められている国の死者が増えた
僕は悲しく 敵国を許せない
攻めている国の死者が増えた
僕は嬉しく 様を見ろと思うのだ
狂っている 僕も等しく狂っている
どちらも同じ人間だ
数が増えるということは
世界から消えた命があるということだ
数え切れない人々たちが
流す涙があるということだ
そこには国も人種もないだろう
そこには敵も味方もないだろう
戦争が人を狂わせる
人の命と心を奪ってゆく

人々の悲しみは何処へゆく
抱え切れない悲しみは
何処へ向けて生きればいいのだ
愛する者を返してくれと
泣き叫ぶ胸の痛みは
誰が宥めてくれるのか
失い開いた大きな穴は
何が埋めてくれるのか
為政者たちは知らぬ顔
自らの正義に忙しく
民の嘆きは届かない

デモクラシーは何処にある
民の嘆きを置き去りに
家族を奪い 友を奪い
愛する人まで奪い去り
為政者たちが始めた戦争の
付けは民が払うのか
数え切れない心の傷と
命の代価は何で贖える
戦争に正義などは無い
為政者の勝手な正義があるだけだ
戦争は悪だ 紛うことなく悪なのだ
始めた瞬間にどちらも等しく
悪の最たるものなのだ
痛み以外に何の残りはしないのだから

確と民の声を聞け
嘆きと叫びと嗚咽の声を
そして民を知れ
戻らぬ者を持つ日々と
亡くし生きゆく痛みと共に
故郷をも失う悲しみを
それでも生きる苦しみを
為政者たちは確と知れ

この世界は何処へと向かうのか
与えられた物までも
失うまで気づかぬ愚者ばかり満ち
歴史が証明してきた愚行を
恥じることもなく繰り返す
今日を生きる僕らにも
出来ることはあるはずだ
この世界に人として
生きている責任があるはずだ
小さな事から始めよう
諍うことをやめてしまえば
世界は変えられずとも
身近な世界は変えられる
平和を祈るだけではもう足りない
出来ることから始めよう
人として在るべき責任を
果たせば世界は小さく色付く

そうして世界は彩られてゆく

2023年11月5日

A352さんの投稿


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