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YouTube - The Kulture Study: JUST B 'DAMAGE' MV リアクション & レビュー(2021.8.17投稿)

英語→日本語訳:えりぃ Twitter @JUSTB_wayaku

<まえがき>
YouTube『Form of Therapy』チャンネルのホスト “PD”による韓国エンタメ全般のレビュー。 I-LAND からゴヌにも注目してくれていました。
ゴダイゴ(古い)のミッキー吉野に似ているとの理由だけで、私は『ミッキーおじさん』と勝手に呼んでいるのですが、 このおじさん、すごい。私の単なる『やべーかっけーすげー』を、豊富な業界知識と語彙力で素晴らしい解説に置き換え てくれています。今回のレビューは、ゴヌペンさん以外にはちょっと物足りないかもしれませんが(コメント欄にもそのような指摘が見られました)、今後は他のメンバーのことにももっと言及してくれることを期待しましょう。

↑ JUST B タイトル曲 "DAMAGE"のMV

<以下翻訳文>
みなさん、こんにちは。Form of Therapy へようこそ。
これは KPOP カルチャー研究がテーマで、私は当チャンネルのビデオプロデューサーです。 どうぞ私のことを PD と呼んでください。
きょうは、新人ボーイズグループ JUST B のデビューを見て行きます。
タイトルトラックは DAMAGE です。

このデビューに関して注目すべき点はいくつかあります。
まず、この曲は、元 B.A.P.のパン・ヨングクが作りました。
そして、JUST B 自身にも注目すべき点はいくつかあります。メンバーのうち、ゴヌとジミンの 2 人は I LAND の候補生だったということから話題性が高い。ゴヌは I-LAND で、かなりいい線まで行ったのですが、結果的には脱落しました。ジミンに関しては正直顔をよく覚えていないので確認しないといけません。
うん、うん。
これは興味をそそります。なぜなら、当時ゴヌは候補生でデビュー前だったわけですが、私はゴヌをすごく 気に入っていました。歌が素晴らしく上手かったのですが、ただ、合格するだけの力量には達していなかっ たと思っていました。少なくともデビューにこぎつけるまでには改善の余地があると見ていたのです。ということで、きょうは彼がどれだけ上達したのか、果たしてデビューできるレベルまで到達したのか、それを見てみま しょう。

「おおお」
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「雨のシーンだ
思い切った試みだね、なるほど
これはすごい」
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(最後のシーン)
あれ、ずいぶん唐突に終わったな
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オーケー。もう一度観る必要はありますが、まず、第一印象をお伝えしましょう。 私はとても感動しました。素晴らしい、素晴らしいデビュー曲だと思います。

ここで制作陣はいくつかの興味深い選択をしました。まず注目すべきは、メンバー全員が似通ったビジュアルだということです。 均一性が非常に高い。たとえば、みんな黒髪で、しかも髪型も似通っていま す。デビュー時のパク・サンダナのようなワイルドでクレイジーな髪型の子はいない。だから、あまり区別がつかないんです。

さて、この戦略は K-POP デビューにおいては二つの方法があります。 かなり批判的になってしまいますが、これはやり方次第で変わってきます。
デビュー時にメンバー全員を同じに見せる戦略に対する私の批判はこうです。別にそれでもいいけど、区別がつかないから、我々としてはどうやって推しを選べばいいのか。個々のメンバーの魅力やテイストが分からない時はどうすればいいのか。私は、最も成功した K-POP グループというのは、個々のメンバーが全員ソロアーティストのようなグループだと思うんですね。それが真の K-POPレジェンドを生み出すキーポイ ントだと思うんです。

だから、デビュー時にあえてメンバー全員が似たビジュアルという路線で行くなら、曲はめちゃくちゃかっこよくないといけない。似たビジュアルにする狙いは、彼らが一つのまとまったチームであるかのように見せることなんですね。単なるKPOP のグループだというだけでなく、おいおい、このグループは俺らを攻めに来るよ。小さな軍隊みたいにね。彼らはそれをかなりうまくやり遂げたと思います。曲のタイトルが DAMAGE ということも関係していますね。とてもアグレッシブで、顔面にパンチを食らわせるようなイン パクトがあって、それに、ああ、このシンセ音は本当にすごいです。フェスティバルハウスの音楽を思わせますね。皆さんもご存知のように、私は 2010 年代初めのEDMスタイルをとても気に入っています。曲の質感が豊かなサウンドが大好きなのですが、ここではそれが最大限に表れています。 多分 X1 の『Flash』 以来、こんな曲は聞いたことがないです。X1 の『Flash』はまさにこの路線を選びましたが、DAMAGE は 本当にマディオンタイプの曲ですね。実に素晴らしい。パン·ヨングク氏は本当に素晴らしい仕事をしたと 思います。

しかし、このように最初からワイルドなビジョンで曲を作るためには、ある程度プロデューサーと個人的な関わりが深くないといけません。パン·ヨングク氏はどこまで関わったのでしょうか。JUST B のために特別にこの曲を作ったのか、それとも彼らの運営陣がたまたまこの曲を買い取ったのか、それとも彼らがヨングク氏のレーベルに属しているのか。いずれにしろ、この曲はよく出来ています。もう一度 MV を観てみましょう。

その前に、ゴヌについてちょっと話をさせてください。
なぜなら今回、ゴヌには本当に感銘を受けたからです。
I-LAND時代のゴヌに対する私の批判は、彼がいわゆるアイドルっぽいキラキラしたエネルギーを持っていないということでした。 彼は非常に控えめだった。彼はビジュアルとエネルギーの面で非常に平坦な印象でした。だから、アイドルの元気で明るいエネルギーをゴヌに期待するのはそもそも難しいと思います。もちろん、I-LAND というプレッシャーの中でパフォーマンスをしていたせいもあったとは思うのですが、ゴヌはそうした感情を決して見せることはありませんでした。でも、ダンスも歌も上手くてすべてを持ち合わせていた。彼に唯一欠けていたのは、彼には、アイドルが持つ魔法が必要だということだったのです。
ですから、ここでゴヌがそれを見せてくれたのは本当に嬉しかったし、彼らが今回打ち出した路線 – これはゴヌが今後の JUST B としてのキャリアを通じて育てて行くことになるイメージなのかどうかは分かりませんが – 先ほども言ったように、ゴヌが明るくてキュートなイメージを打ち出すのは難しいでしょう。 もちろん I-LANDで見たゴヌがゴヌの全てではないのですが、それを元に判断すれば、ゴヌはもう少し静かで控えめな印象なので、その場合に打ち出すべき路線は、濃いめのダーク路線だと思うのですが、JUST B は、そのワイルドでちょいワルでアグレッシブなコンテンツでデビューし、ゴヌはそのコンセプトを見事に表現してみせました。

もう一点は、ジミンがどんな顔なのか思い出せないということです。
ああ、オーケーオーケー。この子か。MV での全員のきらめきが強すぎて、ジミンがどれなのか分からなか った。それほど映像が素晴らしかった。ジミンは眉毛が太かったのは覚えています。私は眉毛が太くてしっ かりしているアイドルが好みなので。もう一度見て、眉毛の太い子を探しましょう。

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あ、この子だ。

これがジミンですよね。 おお輝きが(アイランド時代と)全然違う。メイクが素晴らしくて映画のようなライティングだと誰でも美しく見えるものですけど、そうですね。これがジミンですね。

撮影自体もカメラワークも非常に上手いです。
後でもう少し詳しく話します。
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この子は VIXX のレオに少し似ていますね。ちょっと猫のような顔立ちで、とてもしっかりした良い骨格をしています。
Victon のハン・ソンウにも似ていますね。
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また、衣装もユニホームも一つのチームのように見えることが興味深いですね。 アメフトは韓国では一般的ではなく人気がない。韓国は何と言ってもサッカーと野球ですから。韓国ではアメフトよりドッジボール の方が人気だといってもいいぐらいです。
それでも彼らがアメフトのコンセプトを追求したのは興味深い。これはチームというコンセプトとアメフトの見た目が関係していると思います。アメフトの選手たちは、現代版ギリシャ神話の神々のようなイメージがあります。巨人のように大きく力持ち。メンバー達はかなり身長が高い上に、いかついユニホームを着てアグレッシブな振りを踊っています。アグレッシブな音楽はすでにリスナーを騙していて「わあ、この子たちはまるで野獣のようで、力強くて、大きい」と思いこませます。そして、これは非常に有効なマーケティングツールとなっているのです。

おお、これは未来のアメフトの試合のようだね
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ビジュアルが素晴らしい。ああ、ビデオ制作チームは素晴らしい仕事をしました。 ライティングがとても素晴らしい。ライティングもスモークも好きですね。
光るフットボールがいいです。本物だったかどうかはわかりませんが。
これは素晴らしい絵面です。
みなイケメンで、非常にパワフルで大人びた雰囲気を演出しています。いいですねえ。

また、カルチャーとスポーツの両方の意味を取り入れた、ちょっとしたミッシュマッシュ(2 つ以上の曲等 をつなぎ合わせた編集)についてですが、このアメフトのシーンを撮影した場面は実際のアメフトのスタジ アムというよりも MMA のリングのように見えます。こんなに小さな場所ではもちろんアメフトはできませ んが、ここでこの 2 つのスポーツを織り交ぜることにより、未来のディストピア風のアメフトを演出しているように見えます。同時に、MMA 格闘技やボクシングのリングをも連想させます。したがって、このセットはアグレッシブなスポーツあるいはカルチャーを表現しているのでしょう。
赤と青の錠剤を飲むとい う、映画『マトリックス』で出て来たように、青い錠剤を飲んで無関心を維持するという、K-POP やディストピアカルチャー全般ですでに何度も繰り返されて来たコンセプトでは、感情がコントロールされていま す。青い錠剤を飲んで感情を抑圧しており、赤い錠剤を飲んで感情が目を覚ます。だから、ここでは、赤い錠剤は真実を見て現実に目覚め、青い錠剤は虚構ファンタジーの世界に棲んでいることを示しているのかもしれ ません。というわけで、彼らは最初は青いアメフトのユニホームを着ていますが、アグレッシブなダンスをする時は赤い衣装です。私はそれが彼らの覚醒した時の服装だと思うので、とても素晴らしいアイデアだと思います。
こういったストーリーでは、通常、社会は平穏が保たれています。なぜなら、その住民は模範的であることを期待されているからです。この MV でも、彼らは管理と抑圧の下でトレーニングを受けている スポーツ選手のようで、まるでエンターテイメント商品のようにも見えます。うーん、これは、もしかした ら商品としての KPOP アイドルのイメージを示唆しているのかもしれませんが、それはちょっと深読みしすぎかもしれません。デビュー曲としてはかなり重すぎるテーマなので、恐らくそこまでは表現していない でしょう。でも、通常こうしたテーマでは社会全体が感情を抑圧されており、ここでは、エリート戦に出場するアメフト選手であり続けるよう管理されています。

ここはスローモーションの場面がありますが、恐らく 60 フレームでスローモーションのシーンだけではな く、60 フレームで多くの振付を撮影し、24 フレームか 30 フレームのタイムライン上に配置しています。

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こうすると彼らの動きが実際よりも速く見えるんです。 この視覚的スローモーションとライティン グを同時に用いることで、パワフルでかっこよく見せているわけなのです。

(青い錠剤を捨てるシーン)
ここで、彼らは青い錠剤をすべて投げ捨てたので、本質的に目覚めて、虚構の世界を拒否して います。

(BAIN について)ここではあともう少し高音をヒットして欲しかったなあ。最後の音をもう少しだけ伸ばしたらもっと DAMAGE のイメージを出せたかもしれな い。ほんと、あと少しだけね

(最後のシーン)
なんか中途半端な終わり方だなあ
ここはエンディングというよりブリッジみたいだ
ここは最後のコーラスが欲しいところだけれど

ここはブリッジですね。うーん、いいですね。2 度観た感想ですが、本当に感銘を受けました。非常にクオリティの高い K-POP の MV です。今後ストーリー展開のようなものがあるんでしょうか? 私はストーリー性があるのが大好きなんで。この MV、プロデュースも曲も非常に気に入りました。さっき言ったように、 エンディングはちょっと奇妙ですが、減点するほどでもないので、10 点満点で 10 点をつけましょう。曲の方は 9 点にしますが、それ以外のすべての面で非常にクオリティの高い出来だったと思います。単なる MV のレベルを超えている。
最近は MV のクオリティが非常に向上しているので、新人でスキルが未熟でもそれ を隠すことが出来てしまい、ステージでパフォーマンスして初めて彼らが新人レベルだということが分かっ たりする。だから JUST B もステージや他の MV を観たら違うかもしれないけれど、この MV のプレゼンテ ーションという点では、10 点満点中 10 点です。

これは華麗なデビューでした。ゴヌは期待にきっちり応え ました。
それから、優秀な MV 制作チームが背後にいると思います。次もこのチームを使ってほしい。たと えば、このシーンで 6 人が立ち並んでいる順番を見ると分かるんですが、一番背が高い子を両脇に配置して、真ん中に行くにしたがって背がなだらかに低くなって行くという、これは些細なことのように見えます が、私はこういう細かいこだわりは評価に値すると思うんです。というわけで、制作陣も曲も私の好みに合 うので、デビュー評価は 10 点満点中 10 点です。
まあ、あえて苦言を呈するとすれば、JUSTB のロゴがザック・スナイダーのジャスティス·リーグのロゴにそっくりだということですかね。そう思っているのは私だけかもしれませんが。

とにかく今回のデビューは本当に素晴らしかった。皆さんの感想はいかがだったでしょうか?私が大ファンだった I-LAND からついにデビューを果たしたゴヌとジミンに JUST B のイメー ジは合っていると思いますか?

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ご視聴ありがとうございました。またお会いしましょう。

『Form of Therapy』パトロン募集のお知らせ patreon.com/formoftherapy
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えりぃの翻訳あとがきコーナー♬ 08/22/21
動画は基本的には話し言葉なので、繰り返しが多かったり、文のアタマとシッポが一貫してなかったりします。そこ を、話の内容は変えないまま、もう少しスッキリさせて、限られた時間内に(動画の和訳は旬度が大切だと思うので) しかも、日本語に直すというのはかなりのアタマの体操です!でもそこが翻訳者としての醍醐味だったりもします。併 せて、できるだけ語り手の話しぶりや雰囲気をそのまま伝えるのにも気を遣っているつもりなのですが、そこを楽しん でいただけていたらすごく嬉しいです。(つぶやき長い)

えりぃの今日の萌えポイントは、
『これは(このイメージは)ゴヌが今後の JUST B としてのキャリアを通じて。。。』という表現です。ああ、ゴヌは もう練習生じゃなくて、プロのアーティストとしてキャリアを積んでいく身になったんだという感慨ががががが。さ て、皆さんの萌えポイントはどこだったでしょうか?

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