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アメリカの村上春樹的小説家、ポール・オースター逝く!!

こんにちは。

先日、新聞の社会欄に以下のような囲み記事が掲載されていました。
「ポール・オースターさん死去 米作家、「ガラスの街」」

このニュースを見て、変な話、昔、若い時にポール・オースターの小説が好きだったことを思い出して、とても懐かしい気持ちになりました。

ポール・オースターは1985年から1986年に「ニューヨーク三部作」と称される
「ガラスの街」
「幽霊たち」
「鍵のかかった部屋」

を発表して、一躍、現代米文学の旗手として注目を集めた著名作家です。

その後の作品としては、以下のようなものが挙げられています。
「最後の物たちの国で」1987年
「ムーン・パレス」1989年
「偶然の音楽」1990年
「リヴァイアサン」1992年
「オーギー・レンのクリスマスストーリー」1992年
「ミスター・ヴァーティゴ」1994年
「ティンブクトゥ」1999年
「幻影の書」2002年
「オラクル・ナイト」2003年
「ブルックリン・フォリーズ」2005年
「写字室の旅」2007年
「闇の中の男」2008年
「インヴィジブル」2009年
「サンセット・パーク」2010年


以上は日本で新潮社から販売されているもので、日本語翻訳は全て柴田元幸さんという方がされています。

柴田元幸さんは、調べてみると、日本のアメリカ文学研究者で、なんと東京大学の名誉教授の方でした。
ちなみに、柴田さんは1995年にポール・オースター「ムーン・パレス」で「BABEL国際翻訳大賞日本翻訳大賞」を受賞されていました。

さて、この記事のタイトルに勝手に書いた「村上春樹的小説家」という但し書きについて説明します。

私は、村上春樹の小説の愛読者ですが、村上春樹の小説には「ストーリーの先の見えない面白さ」という魅力があります。私がポール・オースターの小説を読んだ時にも、それと全く同じ感覚を感じたのです。その「先の見えなさ」や、さらには「不条理な物語の流れ」に強く惹かれました。

もっと簡単に言うと、彼の小説は、常に何か起きるのでは、と妙な緊張感があり、ハラハラするのです。私としては、そんな「村上春樹的ジャンルの小説」として、「ポール・オースター」を位置付けています。

ちなみに、実際は、村上春樹さんがポール・オースターを敬愛しているようです。つまり、村上春樹さんの小説がポール・オースターに影響を受けているのかも知れませんね。

実は、久しく(たぶん10年以上)彼の小説から遠ざかっていました。そして、このポール・オースター死去の記事を見たとき、そういえば、昔、彼の小説が、結構、好きだったことを思い出したのです。そして、自分の本棚からポール・オースターの小説を引っ張り出してみました。

そして、今回、この記事を書くために、ポール・オースターの情報を整理してみたわけです。
新聞でも書いてあったように、ポール・オースターの代表作で、まず挙げられるのは「ニューヨーク三部作」のようですが、私が一番好きだった彼の作品は1990年に発表された「偶然の音楽」です。

まずは裏表紙の概要をご覧ください。

妻に去られたナッシュに、突然20万ドルの遺産が転がり込んだ。すべてを捨てて目的のない旅に出た彼は、まる一年赤いサーブを駆ってアメリカ全土を回り、<十三ヶ月目に入って三日目>に謎の若者ポッツィと出会った。<望みのないものしか興味の持てない>ナッシュと、博打の天才の若者が辿る数奇な運命。現代アメリカ文学の旗手が送る、理不尽な衝撃と虚脱感に満ちた物語。

どうですか、この「理不尽な衝撃」そして「虚脱感に満ちた物語」
読んでみたいと思いませんか?
ただ文体はとても読みやすく、その意味でも「村上春樹的」ではあります。私がこの「偶然の音楽」を読んだのは、リアルタイムではなく2000年代に入ってからなのですが、読んだ時に、物語にものすごく引き込まれ、すごい展開だと衝撃も受けました。

とにかく、「偶然の音楽」「先の見えなさ」が半端ないです。まだの方は、是非一度読んでみてください。読みやすくおすすめです。

また、同時期に発表された「ムーン・パレス」も良かったですね。その後、ポール・オースター作品については、「幻影の書」「オラクル・ナイト」あたりまでは読んでいたのですが、それより新しい作品は読んでいなかったので、これを機会に買い足そうと思っています。

これ以外で、ポール・オースターで思い出すのは2009年に発表された「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」です。この本はポール・オースターがラジオ番組のために全米から募った「実話」を短編集のようにまとめたものです。
こちらも読んで面白かった記憶があります。

その5年前の2004年に発売された「トゥルー・ストーリーズ」も小説ではなく、オースター自身の魅力的なエッセイ集です。こちらもおすすめです。

「偶然の音楽」も含めて、オースターの作品を読んでから、大分時間が経ってしまったので、もう一度オースター作品集を読み直したいと思っています。また、併せて、持っていない作品は、大人買いで買い足しておこうと思います。
しばらく読書のマイブームはポール・オースターになりそうです。

それでは。

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