見出し画像

「住環境」と密接に関わる「仕事」の話(後編)

先週更新をした前編では、様々な住環境の選択肢を増やすためには、意外とお仕事を頑張ることが大事かもしれません、という話をしてきました。


安定した収入やキャリアを求められる理由


そもそも、どうして家を借りたり買ったりするときに、安定した収入やキャリアを求められるのでしょうか。また、同性カップルはどうして限られた金融機関でしかローンが借りられなかったり、ルームシェア可能物件が少なかったりという不便に直面せざるを得ないのでしょうか。

それは、家を貸す側の大家さんや不動産会社さん、保証会社さん、または住宅ローンを貸す金融機関が、「この人は支払い能力がどのくらいあるか」ということを客観的な指標で見極めようとしていることに理由があります。

不動産会社としては「もっと柔軟にならないものかな…」と思うこともたびたびありますが、貸し倒れを心配する側としては勤続年数一年未満であったり、雇用形態が不安定な職業であると、いくら住む側が「延滞しないようにきちんと支払いをします」と言っても「証明するものがないので難しい」とどうしても考えてしまいます。また、「結婚している」という家族であることの証明がない場合は、「いつ片方が出て行ってしまうかわからない=急に家賃や住宅ローンの返済が滞る可能性がある」と思われてしまうこともあります。


同性婚の重要性と、社会構造の問題

ですが、よくよく考えてみれば、結婚していても、離婚して片方が家を出て行ってしまう…ということは異性のカップルでもよく起こっています。また、フリーランスの方や会社経営をしている方でも、月々の収入が安定している場合もあります。それなのに差があるのは、おかしいと思う方もいらっしゃるでしょう。

また、日本では同性婚の制度がまだありません。そのため、「結婚している」という家族であることの証明がないと判断されてしまい、同性カップル同士で利用できる住宅ローンが決して多くはないというのも悩ましい問題です。

その上、社会構造の問題で、どうしても男性のほうが安定した職につきやすく、女性は非正規雇用であったり収入が低くなってしまうという問題もあります。

多くの大家さんや、金融機関、政府が思考停止に陥らず、常に考えていっていただきたい問題です。


LGBTsの働きにくさも一つの原因

LGBTsが職場で働きにくいという問題も、LGBTsが住環境で困難を感じる原因の一つでもあるかもしれません。
厚生労働省の調査では、なんと同性愛や両性愛者の約4割、トランスジェンダーの約5割が職場で困りごとを抱えていることがわかったそうです。また、SOGIハラ(LGBTsへのハラスメント)を経験したことのある方も1割程度いらっしゃったり、メンタル不調を経験したことのある方も少なくないなど、LGBTsの働きにくさが、残念ながら一つの職場での勤続年数の短さや、雇用形態が安定しないことにつながってしまっているということも考えられます。


理想の住まいを得るために個人でできる努力

社会構造の問題や、法整備の不備の問題、職場の問題は見過ごせないものですが、それでは、現状今すぐの住環境の不満を持っていて改善したいと思っている方は、何もできることはないのでしょうか。

一度踏ん張って入社した会社で一年以上は継続勤務してみる、転職をきっかけに正社員を目指してみる、フリーランス(自営業)でも安定して支払いができる能力があると示すために実績を積み重ねていく、ということを考えてみてもよいかもしれません。住宅購入のためだけでなく、将来的によりよい仕事を得るためにもとても大切なことです。

もちろん、現在メンタル不調を抱えている方や、SOGIハラを受けているという方は、「理想の住まいのため」と我慢しすぎる必要はありません。無理なく継続できそうな、よりよい職場を探していけばいいのです。また、職場環境に悩んでいて、改善するために戦いたいと思っていらっしゃる方は、ユニオンなどに頼って、今の職場環境を改善していくという手もあります。

今はいくつかのNPOでLGBTsと労働問題に取り組んでいるところもあります。例えば以下のイベントを開催していたPOSSEさんという団体や、プレカリアートユニオンという労働問題に取り組む団体があります。

一度ご相談してみてはいかがでしょうか。

また、プリンセススクゥエアーでは、「派遣だから…」「年収が低いから…」とお悩みの方の住宅購入のサポートもたくさん行ってきた実績があります。

何度も引越しを繰り返す「引越し貧乏」になる前に、是非一度ご相談ください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?