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自営の医療従事者に保険不要論はマッチするのか?ガン罹患などから考える

一昨年くらいから、台頭してきているのが「保険不要論」

これは民間保険会社のうち生命・損害保険に対して「従前のような契約は無駄」「保険会社が儲かるだけ」のような事を理由付けして「保険に入る必要は無い」「情弱者ダマシである」として、保険不要を主張されている方々です。

さて・・・このマガジンは、自営でもある医療従事者に対して広範囲で有意な情報を提供する趣旨でもありますので、今回はこの理論に対してメスを入れてみたいと思います。

ただ「保険は晴れの日に傘を売る」商売と表現される事もある「実態の測りづらい商品」でもあります。

その特性は踏まえると同時に、単純に保険不要論を否定するだけでは活きた情報とは言えないと思っております。

今回は自営業でもある、とある医療従事者の方の家族が、ガン罹患されましたことから、そこからの情報を踏まえてお伝えします。

私も保険屋さんを20年やっていれば、それなりに給付の実績はあるので、現実はそれなりに見てきました。


そこから、1つの提案として保険を考える際の現実問題をご案内させて頂きます。
これは、安っぽいフィクションとかは無い、FPとしての知識も合わせてにしてゆきます。

①保険不要論を要約するとこうなる

②自営業で大病した場合を実際を考える

③保険不要論から本当に不要なのか?と木だけでは無く森を見て考える

の3点から展開していきます。


①保険不要論を要約するとこうなる



いわゆる一部のインフルエンサーや、最近ではリベラルアーツ大学などが「生命保険は不要」として展開しています。
本業はDr.のYouTuberも何人か展開しており、社会的にそのような人物が主張するというのはインパクトがあります。

念のためにchatGPTに聞いてみました
(※バージョンは3.5です)

Q:生命保険そのものが不要であるという人たちの主張をまとめてください


chatGPT:生命保険そのものが不要であるという主張をする人々の立場をまとめると以下のようになります:

①自己責任と貯蓄の重視: 生命保険の代わりに、自己責任と貯蓄によって将来のリスクに備えるべきだという考え方があります。彼らは、十分な貯蓄や資産を持つことで、緊急時や将来の不測の事態に備えることができると主張しています。

②保険料の支払いが無駄だとの見解: 生命保険に支払う保険料が高額であると感じる人々もいます。彼らは、その保険料を貯蓄や投資に回す方が将来的に有益であると考えています。また、何十年も保険料を支払った後に給付が受けられる可能性が低いことから、保険料を支払うこと自体が無駄だと感じる場合もあります。

③自己保険の概念への信頼: 一部の人々は、自己保険として自分自身や家族のために資金を用意することで、生命保険に頼る必要がないと考えます。彼らは、自分たちでリスクを管理し、必要な場合には自己資金で対処できるという信念を持っています。

④保険商品の複雑性や不透明性への疑念: 保険商品が複雑であり、契約条件や給付条件が不透明であることから、生命保険に対する信頼が低いという人々もいます。彼らは、生命保険会社や商品がリスクを不当に評価している可能性があると疑い、保険に頼ることを避ける傾向があります。

これらの主張は、生命保険に依存せず、自己責任や貯蓄、投資などの手段でリスクを管理することを支持する人々の立場を反映しています。ただし、個々の状況やリスクに応じて、生命保険が必要である場合もありますので、慎重な検討が必要です。




なるほどね~。非常に、キレイに纏めてくれていると思います。
ただ、AIの限界も感じますね。

キレイですが、保険不要論の主張から、噛み砕かれた内容をさらに纏めている感がぬぐえませんので、ちょっと実態を加筆してみます。

まず、保険不要論は極論を出すことに特徴があります。
よくある保険不要論を抜粋して、簡単に解説します。

①保険商品にはコストがかかっている。そんなことより新NISAや投資や貯蓄をした方がいい
→金融庁が管轄している金融商品にはすべてコストがかかっています。
そうでなければ働いて人間は生活として成り立つ給与をもらうことができません。
そういった事も全て金融庁は把握した上で、さまざまな商品を認可しています。
ほかの金融商品と保険が違うのは、その成り立ちに相互扶助の考え方があるからです


②保険をするより貯蓄した方がいい
→貯蓄で追いつかない分を保険で補うためにあります。
貯蓄は目標額に至るまで時間がかかるものですが、相互扶助の特性を持つ保険は加入した時からリスクをための契約をした金額を保障・補償します

③積立保険は高額であり保険会社にとって高い利益性があるので無駄な商品である
→終身保険のことを言っているのでしょうけれども、契約した一定の期間だけを保障する掛け捨て保険の定期保険とは、運用方法が違います。

「契約期間だけ注視して人は何人死ぬか?」の確率論で保障を成り立たせる定期保険に比べ、人は必ず亡くなり支払事由が発生する終身保険は、確率ではなく運用で将来を準備しなくてはいけません。
利幅は当然ながら掛け捨てより低いので、おのずと儲けは連動するので手数料も掛け捨てに比べて高くありません


④医療保険は無駄である。日本の社会保障制度を考えればそれで賄える
→この考え方はそこそこ古く、2003年頃からFPの内藤真弓さんが提唱してから、ずいぶん経過している考え方です。

ちなみにそもそも医療保険は「治療費を賄うもの」よりも「治療費と治療に係る費用を補填するもの」という商品です。

人は病気にかかったり怪我をしたりして入院すると、当然ながら治療費もかかりますが・・・それだけでなく、関係してくる諸費用や低下する生活のための収入も検討しなくてはいけません。

医師のインフルエンサーでも、治療費のことばかりフォーカスして、いわゆる木を見て森を見ずのような「社会保障があるんだから医療保険はいらない」と判を押したような展開をしていますが・・・今回の記事の発端となったような・・・実際の生活まで考えると、そこまで不要なのか疑問が生じます。

それに・・・現在の社会保障としていつまであるの?社会保障費が爆上がりして、破綻寸前なのに・・・

⑤日本には社会保障制度がある
→これは④でも出していることではありますが、確かに社会保障制度が「現時点では」充実しているほうの国家ではあります。

ただいろんなところで危惧されておりますがこれが未来永劫続くとは非常に言い難いような状態・・・なので、自己責任の観点から「備える方法」の一つが保険なのです。

⑥保険は情弱に対する「だましビジネス」である
→正直笑ってしまうのが、保険不要論を唱えている方々の情報ソースが二次利用・三次利用・・・それ以上だったりします。

逆にエビデンスをしてしまった場合、ことごとく崩れるような内容ばかりなので、逆に情弱ビジネスどっちだろうと思います。

「金融庁も問題視する外貨建て保険」という記事もちょいちょい拝見しますが・・・問題とされているのであるならば金融庁は販売中止しますが現在その様子は全くありません




確かに販売する人間個人の素養により、お客様に対してふさわしくない勧誘を行っている人もいます。でもそれは保険不要論の言っていることは別問題です。

逆に情弱ビジネスはどっちなんだろうか?疑問が湧き出て止まない今日この頃です。

ちょっとだけでもこれぐらいになるのですが・・・保険は形がないだけに、このようなデマを受ける事で影響を受けやすいのは事実ではあります。

なので私が記事化しているというのもあります。


②自営業で大病した場合を実際を考える


さて・・・皆さんが大病を時の事を想像し、考えてみましょう。

先に申し上げますが、とかく日本人はこのようなネガティブなことを連想することを嫌います。いわゆる「縁起でもない」という話です。

しかし頭の中ではどこかで「何かあったら困るよな」と、社会人としての当然な責任をもっていれば持っているほど思うものです。

自営でもある治療家がガンに罹患したとしましょう・・・保険等は、保険不要論を心酔していたために全く入ってなかったとします。

1・治療にかかる費用を考える
当然ながら、標準治療で行くならば多くが入院をして、手術なり処置を受けることが多いです。
手術以外としても放射線治療や抗がん剤治療などが日本でもありますね。
高額になるので、先進医療として別に立てている「重粒子線治療」などもあります。

保険不要論者が連呼する「高額療養費制度」これは収入に応じて、月額負担額の上限が決められており、概ね平均すると約9万円ほどしかかからないとし、それを超えたものに関しては、健康保険からの適応として補填されます。

ただし先進医療に関しては、その費用が別となり、受けた本人に対して高額療養費と別途請求されることになります。

ちなみに私は、神奈川県にある『iROCK』という施設に見学に行ったことがありますが・・・重粒子線治療は5~6回を1クールとし、費用は360万円前後ということでした。
前述の通り、高額療養費としての扱いではありません。

また、退院をしてからも通院で受ける治療に「抗がん剤治療」などがありますので、それ相応の費用がかかりますが・・・継続していればその分費用がかかります。

高額療養費制度は全体に対して一回ではなく、毎月のことに対して精算していくことなので・・・治療を継続していけば、その分費用もかかるわけです。


さて・・・どんどん現実問題を出していきます。

2・闘病している間の生活費を考える

当然ながら闘病期間も、人間は生きていかなくてはいけないので生活費がかかります。

大概の闘病期間においては、仕事は休むことが大半です。

会社員であれば、休職扱いとなり、会社規定によっては最低限の生活が保障されていたりします。

しかしながら自営業ではそうはいきません。
その分自助努力で対応しなくてはいけないのです。

保険不要論者が主張するような高額療養費だけで考えると、闘病生活は成り立たないことの方が多いです。


3・職務のための費用も考える
治療費・生活費のほかにも、休んでいたとしても開業していれば・・・・

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