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GW特別公開:とうとう正式に告知された8号通達。これにて交通事故事案における特別材料費ならびに近接部位の考えはアップデート必須。時代が変わります

今回は中身が中身だけに、全文無料公開として設定しています。

3月にnoteにおいて、改訂内容をほぼほぼ無料記事枠でご案内をさせて頂きました。

https://note.com/primecare_sugi/n/nbd6d4504ad66

この中では、先に労災改訂があったが、通達内容が一部だったが故に、先に主張する自賠責損害調査事務所の見解が、現場におりていなくて混乱が生じていたとしていました。

リンクから読み直して頂く事を推奨しますが、こちらにも少しコピペします。


<その1:特別材料費>
8号通達において
「4・その他の事項」に特別材料費に関しての設定が(4)とされ「ア:特別材料費の対象になるのは、使用した固定部品が金属副子、合成樹脂副子または副木・厚紙である場合に限ること」とされ、
これに関する文言から、包帯・テーピング・サポーター等がNGとなったとして判断されたと思われます。

<その2:近接部位>
8号通達において
「4・その他の事項」に近接部位に関しての設定が(1)ア~カ明記され、算定できる出来ないが書かれています。

概ねの内容が、ほぼほぼ療養費基準と同じになっており、労災の改訂に際して近接部位の概念が共通事項になった・・・と言うことが明確に採用されたという形になります。

以上の様に、保険会社が「自賠責損害調査事務所からの・・・」というコメント通りに、労災が上記の様な改訂をされ、準拠するということで同様に自賠責保険を統括する自賠責損害調査事務所が判断しています。

この判断は、ある意味で運営上では絶対レベルのですので「なんで保険会社や自賠責損害調査事務所の言うことを聞かなくてはならないじゃ~!」と感情を荒げれば荒げるだけ無駄です。

仮に裁判になっても、司法判断は自賠責損害調査事務所の判断を尊重に近い形で採用します。

抵抗しても民法709条の観点から「じゃあ、その請求するだけの証拠を出せ!」となります。

自由診療ではあっても、無条件に請求出来る訳では無いので、ある一定の目安は必要になります。
その目安を、公的保険を準拠するという、最強レベルのソースで採用しているので個人戦で覆す事は、不可能だと判断します。

まぁ・・・法治国家でありながら、特別に除外をしたいのなら、この国の独裁者になるくらいしか無いので・・・やはり無理ゲーという事になります。


これが、通達が諸事情あってか正式リリースされておらず「なんでだよ」「本当の事なのか?」と、混乱ばかりが先行し、保険会社側の与太のように思われ消化されていた状況でした。

しかしながら、この度厚生労働省からこの8号通達が正式にリリースされました。


くり返しますが、8号通達が一般への通達成立していないが故に、自賠責損害調査事務所からの主張はまだ(ほんの少しだけど)説明すれば抗弁の余地があったかも知れません。

しかしながら、この様に厚生労働省からの正式なリリースがされたことで・・・「知らない方が悪い」というステージに上がったことになります。

この様な制度改正の場合における、抗弁の種類については
・そもそも交通事故は自由診療だ
・これまでも言われていないし言われる筋合いも無い
・健保・労災・自賠責は別モノだろう

等がありますが、前回の労災改訂における記事でもご案内しましたように、これは一切通じなくなります。

自賠責保険と労災保険は別になりますが、そもそも論として、自賠責保険が労災保険をベースに保険補償内容を構築していること。

そして、自賠責保険の運用を管理・審査する調査事務所が、決定打のように各保険会社へ労災改訂内容を採用している旨を回答しているので、これは覆せません。

この調査事務所の判断は司法判断でも、公的保険としての自賠責保険運用の基礎としています。

例えば、20年ほど前でなら調査事務所の判断による後遺障害等級審査結果を不服として、異議申し立てを地方裁判所に提訴することで再審査を行う事はあったかも知れません。

ですが、私が交通事故専門医療コーディネーターとして、弁護士や病院のフォローをバリバリしていた時から、地裁判断は自賠責損害調査事務所の考え方を尊重していました。

確かに「これはどう考えてもオカシイだろう」という審査もあるのは事実。

しかし
「それを地裁で間違いとして異議申し立てするなら、先に調査事務所でやる方が筋だろう」
と、司法が地裁での異議申し立てを棄却している実例を、仲間間で共有しています。

要は、自賠責損害調査事務所が自賠責保険の運用を決めているので、それを覆す方法は・・・時間の無駄。

プライドとして、近接なんか認めないと主張するのは自由ですが、公的な一定の基準を作られてしまったのです。

それで運用するのだから仕方無い。

まぁ、向こうに言わせれば
「そういった基準は設けるが、そもそもがある意味特別扱いでの高い料金目安なのに、これ以上を言ってくるの?」
という反論になりそうです。

過去も「自賠責は曖昧だ!その回避の為に基準を作れ!」という声もありました。

しかし私は「あえての曖昧」を歓迎していました。

なぜか?

こんな公的なことが、締め付ける方に注力すれど、緩和して出す方向性に改訂することなんか・・・まず無いですよね。
だから、ある意味で今回の様な「曖昧さの回避」は、歓迎しなかったのです。

と言うことで、動き出しました。
制度も変わりました。
これからの材料費・近接部位は、労災改訂に伴い準拠されますので、請求の際はご注意下さい。

患者さんに、サポーターとか出しちゃった後でNGとかになりかねませんからね。

今年からの「医療従事者のための交通事故勉強会」でも、この事はちゃんとお伝えしていきます。

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