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高齢の友人の代わりにネット通販をしてみて感じたこと。高齢者のスマホ教室で学んだこと

田舎に住んでいるので、道を歩けば出会うのは高齢者です。

移住し、子育てをするようになり、初めて同世代の女性ともネットワークが生まれましたが、それまでは高齢者だけ。

初めて友達になったのは、自分の母親よりも年上の女性でした。


ネット通販の代行を請け負う

「私はギリギリまでスマホを持たない。パソコンも使えない。天気予報はテレビで見る」という彼女の依頼で、ちょくちょくネット通販を代行しています。

彼女は読書家で、図書館で借りられない本は、Amazonで中古を探す方がスピーディかつ安価だからです。

ただ、Amazonの中古本を買うと、「すべて違う本屋から送られてくる」というのが常。購入時のみ表示される一括金額をメモし忘れ、バラバラに到着する本の値段を足し算するだけでも疲弊し、「これはもう業務かもしれない」なんて感じることも。

(そこで、途中からは配送先を友人の家にして、到着したら伝票を自分で確認し、計算してもらうことしました)

同世代の友人からも頼まれる

さらに。

ママ友の中にも、ご主人の意向で「絶対にWEBから買い物をしない」人がいます。カード番号の登録その他のリスクを考えているのだと思います。

が、「Amazonの方が安いから、買ってくれる?」と頼まれること多々。

子供へのクリスマスプレゼント、ご主人が使うヘッドセットなど頼まれ、さらに「パパには内緒で買い物をするから、申し訳ないけどあなたのうちに到着するようにして」などのケースも。

ネットで買い物をする回数が増えていくと、この需要は結構あるんだろうなあと。ビジネスになるほどの利益にはならないかもしれませんが。

流石に断った案件もある

ある時、高齢の友人から「コンポストを買ってほしい」と頼まれました。

こちらは布製のコンポストバッグに、専用の土を入れ、そこに生ゴミを入れて発酵させる系の商品です。発酵が済んだらその土は庭などに撒き、新しい土を入れてもう一度使う仕組み。

だから「毎月1回、新しい土を配達してもらう」スタイルの買い物。

最初は手軽に「いいですよ」と返事をしたものの、Amazonで一回こっきりの商品を買うのとはワケが違う。私の個人情報をすべて開示して、カード番号を入れ、毎月購入するというシステムに乗っからねばなりません。

会員システム系のショッピングは、やっぱり代行するのは無理じゃないだうか。と感じて、本人に「これは難しいと思う」と伝えました。

これについては、「代わりの土をもらえるステーションみたいなところが、近くにあると思ってた。毎月宅配してもらう必要があるなら無理ね」と。ホッ。

ネットで買い物をする。ポチッとすればすぐ届く。それはとても便利でありがたいのだけど、「それを代わりにやってくれ。簡単でしょ?」というのはちょっと違うかもなと。リスクを肩代わりしている面が多いのと、Amazonや楽天以外のネットショップで買う場合は、私の個人情報を新しく提示する必要が出てしまうので。

そして高齢者向けスマホ教室へ

さらに。

地域の民生委員さんからのご依頼で、「高齢者向けのスマホ教室」のサポーターをしたのです。

そこで、私が考えている以上にお年寄りにとってスマホは恐怖の対象だと知りました。

皆さん大体、docomoの「らくらくスマートフォン」をお持ちなのですが、まず、ボタンの意味はわかっていない。アップデートの言葉の意味も知らない。写真を撮ったことはなく、撮った写真がどこに保存されるかも把握していない。

「アップデートしろって毎日言われるの。でもアップデートってなに?000日前からアップデート可能なんですよって開くたびに言われるから、怖くて触ってないの。docomoに行っても、私たちが何をわかってないかさえ理解してくれないし、相手にしてもらえないのよ」

「息子はいるけど、面倒くさがって教えてくれないから。娘から月に一回電話がくるかこないかで、普段見てもいないねえ」

上記のような会話の連続。そして私が「天気予報など使うと便利ですよ」とウェザーニュースのアプリをタップしたら、「アップデートしてください」。ああ。

ご自宅にwifiがあるわけでもなく、アップデートするたびにデータ通信料がかるなら、「使わないアプリはアップデートしなくていいし、アップデートは無料で最新の状態にしてくれるだけで怖いことはありません。気をつけるのはお金を払ってとか、口座を確認してとか、身に覚えのない宅配物を届けたいとか、そういうことに関して知らない番号からショートメッセージが来た時だけ。それは無視!」

ひたすら、上記のことをお年寄りに伝え続けましたが。

ん?

日本は10人に1人が80歳以上なんでしょう?

一体、高齢者の何割がまともにスマホを使えるのか、誰かご存知なのだろうか。
私の母は75歳で自在にスマホを操れるので(ゲーム廃人)、そういう人ももちろんいますが。でも、自分でマイナポイント申請ができたかというとそれは怪しい。

私の世代が高齢化した時、仕組みがもっと複雑になっていたら、私は自分で対処できるのかどうかも心配です。

そういうことを色々考えていたら、常にアップデートが必要で、若い人の俊敏な感性がなければ対応が難しくなるシステムを開発し続けることが、果たしていいのかどうかわからなくなってきます。自分が高齢化する頃には若者がググンと減っているはず。

「スマホは怖くないよ、毎日ちゃんと使っていたら、いつか命を守ってくれる道具になるよ」

それがこの会合の目的なのですが。
※主催者の方の親族が、病気で倒れた時、スマホが手元にあったのに、使い方を熟知してなくて連絡ができなかったことがきっかけで亡くなられてしまったというエピソード。それがこのスマホ教室の原動力になっていました。

本来なら、地域の人たちがお互いを見守り、粘着性の高いネットワークで監視することで(言い方は悪いのですが)、命を守りあってきた地域。

その粘着力を剥がすなら、スマホはどうしても必要なのですが。

簡単とはいえ簡単ではなく、リスクと隣り合わせの便利なものを、うまく使いこなしていく必要がありそうです。



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