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パレート最適とナッシュ均衡の違い

ゲーム理論において、「パレート最適」と「ナッシュ均衡」は、どちらも重要な概念です。
しかし、それぞれの意味と役割は大きく異なります。
今日は、パレート最適とナッシュ均衡の違いについて解説します。

パレート最適

パレート最適とは、ある状態において、誰一人として現状よりも悪い状態にならずに、誰か一人 (または複数人) の状態を改善できる状態を指します。
言い換えると、全ての参加者が協調的に行動することで、全体的な利益を最大化できる状態です。

パレート最適な状態は、以下の条件を満たします。

  • 誰一人として現状よりも悪い状態にならない: すべての参加者の効用が現状よりも低下することはありません。

  • 少なくとも一人の状態が改善される: 少なくとも一人の参加者の効用が現状よりも向上します。

以下の例を考えます。

  • AさんとBさんがそれぞれ1枚ずつケーキを持っている。

  • AさんはBさんのケーキの方が好きで、BさんはAさんのケーキの方が好きである。

この場合、AさんとBさんがケーキを交換することで、お互いの効用を高めることができます。つまり、ケーキの交換はパレート最適な状態となります。

ナッシュ均衡

ナッシュ均衡とは、各プレイヤーが他のプレイヤーの戦略がどのようなものであっても、自分の戦略を変えることで利益を得られない状態を指します。言い換えると、各プレイヤーが自分にとって最適な戦略を選択している状態です。

ナッシュ均衡は、必ずしもパレート最適とは限りません。

以下の例を考えます。

  • 囚人Aと囚人Bがそれぞれ殺人罪で逮捕された。

  • 2人が自白すれば、それぞれ懲役10年の刑となる。

  • 1人が自白し、もう1人が黙秘すれば、自白した者は懲役5年、黙秘した者は無罪となる。

  • 2人とも黙秘すれば、それぞれ懲役2年の刑となる。

この場合、それぞれの囚人が自白するという戦略はナッシュ均衡となります。なぜなら、どちらか一方が黙秘しても、もう一方が自白すれば、自白した方が有利になるためです。

しかし、この戦略はパレート最適ではありません。なぜなら、2人とも黙秘すれば、それぞれ懲役2年の刑で済むため、2人にとってより良い結果となるからです。


パレート最適とナッシュ均衡は、どちらもゲーム理論において重要な概念ですが、それぞれの意味と役割は大きく異なります。

  • パレート最適: 誰一人として現状よりも悪い状態にならずに、誰か一人 (または複数人) の状態を改善できる状態

  • ナッシュ均衡: 各プレイヤーが他のプレイヤーの戦略がどのようなものであっても、自分の戦略を変えることで利益を得られない状態

パレート最適は、全体的な利益を最大化できる状態である一方、ナッシュ均衡は、各プレイヤーが自分にとって最適な戦略を選択している状態であるという点が重要です。


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