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2018年ドラマ『満願』第1夜「万灯」感想

2018年ドラマ『満願』第1夜「万灯」(脚本/大石哲也)鑑賞。

東南アジアでガス油田開発に携わる商社マン・伊丹(西島秀俊)は窮地に追い込まれていた。土地の買収が地元民の反対で頓挫していたのだ。そんな伊丹のもとに地元民から手紙が来る。地元民の中でも意見が分かれていて、長老たちは金が欲しかったのだ。長老たちは伊丹とそのライバル会社の森下(近藤公園)の二人に反対派のリーダーを殺すことを要求する。

NHKスペシャル『満願』公式サイトより抜粋

「あの国にある天然ガスを使い、日本に運び、街の灯りにしたかった。」
男が語る言葉はある意味、仕事熱心で一途ではあるが、己の熱意を妨げようとする者の口を封じ込めてしまうのは狂気の沙汰だ。

『満願』全3話の中のひとつめの物語「万灯」。西島さんは主人公、伊丹。
西島さんの風貌はいつも通り白シャツ姿のサラリーマンなので、どんどん不穏な状況に追い込まれて行く中で、どこかどんでん返しがあっていい人に転じるのでは、と思いそうになるが、このドラマでの西島さんは冒頭の、たったひとつの仕事をやり遂げたかったために殺人さえも厭わない。更にその殺人を隠すため、新たな殺人も犯す。しかし思わぬ落とし穴があり、逃げられなくなる。そこで終わる。

結局、成し遂げたかった仕事には死がついて回り、自らの首をも締める。行き過ぎた正義感のようなものは幻想であり、現実には負ける。
しかしここでの西島さんは凄まじかった。視線が定まらず、口で荒く呼吸をする姿は恐ろしくて、見ているこちら側も苦しくなるほどだった。

第2夜、第3夜もありますが第1夜でKO食らいました。ギブアップです……。

この作品の後に、あの愛おしいAI、マリオ役を演じたのだから凄い。未だにフィクションであると判っていてもマリオをインストールできたらいいのに、と思ってしまうもの。

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