さらばストーム久保 きりすとVSりゅうきちを見たかった・・・

4月15日、広島TEAM iXAの公式ツイートよりアナウンスがあった。

 
ストーム久保選手のチーム脱退と現役引退についてだった。
 
 遂にこの時が来たという何とも言えない感覚。ハイタニ選手が実質的には活動範囲を変え、半ば引退のような状況ではあるものの、今回のストーム久保選手はプロ格闘ゲーマーとしての現役引退をはっきりと表明した最初のケースと言っていいかもしれない。
 
 その第一号がまだ中堅層にあたるであろう30歳前後の選手から生まれたというのも我々としても驚かされた部分である。
 
 他のeスポーツタイトルのプロ選手の寿命は非常に短く、30歳を超えて現役プロを続けている選手は稀だが、こと格闘ゲーム界においては最年長が45歳、それに追随し40代はもちろん30代後半の選手も多数第一線で活躍している土壌がある。 
 もしかするとこれから円熟味すら出てくるかもしれないが、ここでストーム久保は引退を決断した。
 
 今回このnoteを書こうと思ったのも、彼に思い入れがあったため。
ストリートファイターシリーズから一度離れた私が、再度興味を持ったきっかけが他ならぬ彼の影響だったからである。
 
 ストリートファイター5が発売され、もちろん発売当日に喜び勇んで購入した私だったのだが・・・発売当時のスト5といえば、今でも語り継がれるバランスの歪み方やオンライン対戦環境の未成熟さなど、多くの問題を抱えたタイトルだった。
 その直前のタイトルだったウル4からのゲーム性のギャップやスト5以前に発売されていたストリートファイター×鉄拳の大コケを目の当たりにしていた私としてはモチベーションを保つことができなくなり、さらには同時期に並行して遊んでいたBLAZBLUE CENTRALFICTIONの方もとんでもないバランスで稼働したため一気にモチベーションが落ち、気持ちが格闘ゲームから離れ、スプラトゥーンとFF14にドはまりしてしまっていた。
 
 そんな日々から1年が経過した頃、世界大会EVOからのれん分けをした日本国内でEVOJAPANなる大規模格闘ゲーム大会が開催されるという。あのゲームどうなったんだろうかという、ある種怖いもの見たさもありながら大会を覗いてみた。そしてストリートファイター5部門のTOP8に名を連ねていた選手の中に、「ストーム久保」という名前があった。

 当時その強さに注目が集まり始めていたアビゲイルを駆り、ときど選手と対峙する彼は、高難易度コンボであったダブスクコンを高い精度で決め、最終的に負けてしまったものの、華やかなプレイスタイルで会場を沸かせていた。そんな彼を気になり調べてみると、かつてのプレイヤー名「きりすと」と出てきた。知ってる人は知っている、スト4時代に横浜の超若手ルーファス使いとして名前を馳せていたあの「きりすと」が名前を変えストーム久保として活動していたのだった。

 当時中、高生だった彼がプロとして活動しているということを知り懐かしくなったこと、活動開始したばかりの近接キャラで固めたゲーミングチームであるアトラスベアというチームに所属していることなどを合わせて、当時ザンギやアレックスを使用していた私にとっては親近感を抱いたのが彼だった。
 
 そこからは彼の活動を追う機会が多くなり、SFL2018に参加した際のネモブラック事件や、彼がLCQを勝ち抜いた「REDBULL KUMITE2019」には現地まで応援にしに行ったことも懐かしい。

 当時書き残したnoteが残っていた、当時の感覚、感情はこちらに詳しく書き記している。

このRED BULL KUMITE以降のアトラスベアの解散や、チームiXAのメンバーとしてチームに所属すること、SFLの面接で結構な圧迫面接を受けたこと、ジャパンオンラインプレミアで見せたふーど選手との死闘など、彼に関する思い出は多い。そして念願かなってチームiXAとしてSFLへの出場も果たした彼が、この度プロとして引退をする。
 サービス精神旺盛な彼だが、結構ナイーブな側面もあり、遠巻きに眺めていた私でも、近年の活動にすこし思い悩んでいるように見えていたが、このタイミングでの決断となったことは驚きだった。

 ちょうど先日のEVOJAPANで本人と少しだけお話する機会があった。思えば応援を始めてからもう6年がたち、ようやく本人と話せたのがまさか引退発表後になるとは、掛ける言葉が「お疲れ様でした」になるのはすこし切なさもあった。
 まだ今後の活動は決まっていないとのことだったので、これからもゲーム配信と動画を中心にひとまずは活動するのだろう。プロ格ゲーマーのセカンドキャリアのモデルケースとしてストーム久保の今後の活動には注目も集まるだろう。

 そして個人的に残念だったことがある。
 それはFAVGAMINGに先日加入したりゅうきち選手とストーム久保選手とのSFLでの対戦を楽しみにしていたからだ。

 実はりゅうきち選手もスト4時代広島の天才格ゲー少年として有名だった存在。リュウ、フェイロン、殺意リュウ使いとして名を馳せ、彼はもう忘れたいだろうが「若老害」という2つ名で界隈をすこしざわつかせた存在でもあった。スト5時代は名前を変え、表舞台に出ることを避けていたように見えたが、スト6への移行後は「俺を獲れ」での活躍はもちろん、その後のライセンス大会での優勝、REDBULL KUMITEのLCQ突破等怒涛の結果を残し、見事チームとの契約にこぎつけ今年のSFL出場も確実とした。 

 スト4から格ゲーを始めた私にとって、西のりゅうきち、東のきりすとという東西天才格ゲー少年の15年後の舞台がSFLで見られるかと思って楽しみにしていたのである。

 残念ながら2人の対決を見ることは叶わなかったが、次の舞台に移るストーム久保を応援したい。

 

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?