【キミの女装の中心線#07】シリーズ最終回は、元◯◯隊のAVデビューした男の娘のキミと
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#07
この記事は【キミの女装の中心線】シリーズ最終回。
人にインタビューをするのは初めてで、正しいやり方も分からないまま、私のやり方で、7回も執筆をお任せしてくれた女装サロンRAARさんには足を向けられない。
そして私にとって、自分以外の人間がどんどん綺麗になって嬉しい体験をしたことも初めてであった。
*
今年「男の娘」としてAVデビューした平手志帆梨さんとお茶をすることになった。
待ち合わせのカフェに、大きな瞳のひときわ美しい人がいた。
「平手志帆梨さんですか?」
「あ、どうも〜〜〜」
「どうもどうも、平手志帆梨です」
「お会いできて嬉しいです、作品観ました!」
「わははははは」
「すいません、急に。とてもよかったです。初めて出演されたとは思えない存在感でした」
「・・・・・ありがとうございます」
「これからも出演していく気持ちはあるんですか?」
「はい、お楽しみに」
作品を観た後に、ご本人に直接会う体験もなかなかレアだよな〜と思いながら紅茶を飲んだ。
映像の彼女と、いま目の前にいる彼女の美しさは変わらなかった。写真ではいくら盛れても、初めての出演動画でさらけ出す表情まではコントロールできないと思うのだけれど、これは天性の才能なんだろうか。
「あの表情や声って、やっぱりカメラを意識して出てしまうものですか?」
「自分もカメラ回るまで意識しちゃうんじゃないかと思ってたんですが、いざ始まると演技じゃない声が出たんです」
「天性!」
最初から本音を話してくれる志帆梨さんは、サービス精神の塊のような人だ。みんなも一度、彼女の作品を観てこの記事に戻ってきて欲しい。
★こちら★
続けよう。
「普段は何をされているんですか?」
「新宿2丁目の脱毛サロンで働いています。店長してます」
「え、脱毛!女性も行けるんですか?」
「はい、ジェンダーフリーな脱毛サロンなので大丈夫です」
「いま若い男の子でもしっかり脱毛してる人多いですもんね〜。でも初めから脱毛の道に?」
「いえ、元は◯◯隊に所属していました」
「今はその要素0ですね。いろんな訓練をされていたんですか?」
「7キロの鉄パイプ持って走らされたり毎日死ぬほどきつかったですし、人の生死も沢山みてきました」
「それで、人って死ぬんだよなと当たり前だけど実感したんです。自分の命も大事にしなきゃなって」
「普通に生きてるとなかなか死を体感しないですよね」
「それでいろいろあって辞めて新宿にきたところ、女の子クラブという女装サロンバーで働かせてもらうようになって」
「ああ、先日取材させてもらいました。みんな登竜門みたいになってますね」
「ふふ。そこで働きながら日々過ごしてたんですが、今から1年前くらいに脱毛サロンのお誘いがあって現在に至るって感じです」
「仕事の転換を大きくされてますね。脱毛の仕事、たのしいですか?」
「接客業は初めてで正直不安だったんですけど思い切って飛び込んでよかったです。すっごく向いてましたね。誘ってくれたサロンのオーナーも強くて好きです。働いている子、みんな個性が強いです。」
「未経験で入っていま店長されてるなんて才能もあったでしょうけど努力しないと、なかなか登り詰められないですよね」
「そ〜んなことないですよ〜わははは」
豪快に笑ってくれるので、私もつられて笑ってしまう。脱毛に通ううちに元気で快活な彼女と会話したくて通うお客さんも多いだろうと思った。
仕事で何かをつかんだ瞬間というのは人それぞれだけど、こうやって誰とも比較しないその人だけの仕事の話を聞くと短時間だけれど努力が見えてくる気がする。
私もいろんな仕事を体験してきたので、異業種に飛び込んで活躍している人に会うと同志のような気がしてすごく元気が出る。
しかも彼女はAVデビューもしているし、ここからどこまで活躍の場を広げるのか誰にも想像できない。次々と自分の想像の枠を超えた会話ができて、わたしも既に感化されて新しいことをしたくなってきている。
「これから志帆梨さんのやりたいことって何ですか?」
「自分も大事にしつつ相手を大事に思って働くこと。そして自分主催のイベントをやってみたいですね」
「すぐに叶いそうです。そして次の作品も楽しみにしています」
新宿の地下街でさよならをした。
彼女のいろんな要素が私に与えた影響は大きい。画面の中にいても外にいても、それは変わらない。
*これからもっともっと女装が当たり前になって、女装という言葉も無くなるほど広がるだろう。遠い未来、このシリーズを読み返して彼女達と出会った日が懐かしくなるのが楽しみである。
いま気になっているキミへ。
はじめての女装は、女装サロンRAARで頼みたい。きっと素敵に変身できるから。ずっと頭の中にあった何か、になれる場所である。
まずは週末の変身からどうぞ。
それではご機嫌よ〜!
全部を賭けない恋がはじまれば
(ひろのぶと株式会社)
ぜひ読んでください。感想、すご〜く嬉しいです。精神がお腹いっぱいになります。
思いっきり次の執筆をたのしみます