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熟女を取るか、ドイツを取るか

どうも。福岡は雨降ってる。
みんな、最近、深呼吸していますか?

息を深く吐いたり吸ったりしてないと、不安になりやすくなるそうなのでわたしも今、スーハーしています。占いをする時でも、相手を鑑定する前に冷静になるため深呼吸必須です。

ふう、落ち着いてきた。

いま、福岡の誰もいない公園のベンチに足を組みながらこの文章を書いています。桜の花びらが足元に散っていて、春の終わりを感じる。今日も、よく生きた。


仕事がつらくてたまらない、と悩んでいる同級生からの相談が最近増えてきました。

私の年齢(アラサー)くらいになると、後輩も出来てきて、責任が倍にのしかかってきて負担がすごいんだとか。

もう全部辞めてしまって、海外にでも行きたいけど思い切ったことをやるのも体力がいるし、なかなか発散が出来ずに困っているようです。

良きアドバイスなんか出来ないんだけど、「ほー」と長〜く息を吐きながら聞いています。私自身、前職で後輩が出来たときには助けてもらっていたので、みんなすごいな〜というお気楽な気持ちです。もっと深刻になればよかったかしら。

一応「なぜ、私に相談するの?」と相談者に聞くんですが、みんな「ただ聞いてくれそうだから。否定をしなさそうだから。」とベリーハッピーなお答えを頂けました。

そういえば「仕事がつらい」という言葉を聞くたびに思い出すことがある。わたしの元カレも仕事がつらくて、つらくて仕方ない一人だった。

毎晩終電すぎに帰ってきては、イライラしながらカップラーメンを食べる生活。出会った頃の彼の目の輝きがどんどん失われていきました。


ある休日の日に、自動販売機に貼ってある怪しいアルバイト募集の紙を発見した彼。

「熟女の簡単なお手伝い、月給30万」

わたしが「へー、あやしー、こんなん誰が応募するんや」と言うと、

「ねぇマリちゃん、おれ、明日会社辞めてこのバイトしてもいい?」と真剣な眼差しで聞いてきました。

「え?熟女の簡単なお手伝いで、30万貰えるとほんとに思ってんの?ていうか簡単なお手伝いってなんなんだろうか」

それほど彼が仕事で追い詰められていたんだなと今では思いますが、そのときは熟女に負けたくないという気持ちでいっぱい。

「たぶんセックスするんじゃないかな」

ぼーっと、張り紙を見つめ、そういう彼に対してムカついてきて、

「30万のセックスって、どんなもんか分かってんの?もうちんちん、取れるからね?!」

彼の手を引っ張り、どんどん張り紙から離れて歩きスネている私をなだめることを選んだ彼。

その日は一緒にご飯を作って食べました。

「仕事さ、辞めようと思う」

「うん、辞めなよ」

「おれ、ドイツ行ってくる」

「え?ドイツ?熟女じゃなくてドイツ?」

「うん、別れないよ君とは。でもドイツ行ってくる」

「そっかぁ、パスポートは新宿でお作り頂けます」

白飯をかきこむ。いやぁ、突然のドイツ宣告。
熟女の方を選んでくれた方が一緒にいれたじゃないか。

でも彼はいま辛いし、逃げたいんだよな。
でもドイツか。めちゃくちゃ離れているなぁ。

熟女かぁ、30万か。簡単なお手伝いかあ。私がしようかな。

そうこうしているうちに、彼は本当にドイツへ渡りました。

わたしが泣きながら空港で見送ると、「死ぬわけじゃないんだしさ。ソーセージいっぱい食べてくるね」

ソーセージ食べてくるって、あんた。和食だいすきじゃん、ぜったい飽きるでしょ。


帰りがけに、また熟女のバイト張り紙の横を通り、なんとも言えない気分になる。あのとき、熟女を選ばせていたら、もっと一緒にいれたのかな。

その後、アマゾンでドイツ単語集を買って、彼が帰ってくるまで覚えようとしました。

会社の上司からは「お、ドイツ語?行くの?」とからかわれましたが、行くあてもない中で気持ちを落ち着かせる行為がドイツ単語を覚えるということだったんです。

彼からの連絡はほぼなく、時々「クラブで未成年に間違われて、入れなかった!」というLINEが来るだけ。

ドイツアルファベット、完璧になってきているわたし。

彼が帰ってくるまで、同じドイツを感じているつもりだし、NHKのドイツ語番組も鬼リピしてるよ。はぁ、、、仕事から解放された彼は幸せそうだ。

数ヶ月後、やっと彼が帰ってきました。

坊主にボロボロの古着。眉毛は金色になっている。

見送ったときとは、かなり違っているけれど、顔の表情が赤ちゃんみたいでかわいい。出会った頃の目の輝きに戻ったな。

「また仕事がんばれそう!」

向こうでケバブばかり食べてた彼は、うどんを半泣きで食べながらそう言っていました。よかったなぁ。

わたしはもう寂しくないから、ドイツアルファベットを忘れちゃってもいいかもと思い、勉強しなくなりました。

大事な人のこころがピカピカに戻っていくのを見ると、わたしまで嬉しいんだとその当時グッときたのを覚えています。

それから仕事がつらくて仕方ないという人がいると、横でうんうんうなずく運動をするようになりました。

どれだけ辛くても、もとに戻ることが必ずできると思うから、それを信じて接していきたいなぁと決めています。

病んでるときは、病みきるところまで落ちてみることも大切かもね。

まぁ、困ったらさ、30万で熟女の簡単なお手伝いの仕事しなくてもいいけれど、よく頷いてくれる人を探してみてくれ。いるよ、きっと。

それでは、ばいちゃ!桜の季節、またきて欲しいね。


毎日、瓦版のように世の中で起きたかもしれない、いや起きてないかもしれない個人的大事件を軽く書き連ねていきます。世の中、苦しいニュースばかりで耐えられないので自分で書くことにしました(動物が産まれたニュースばかり希望)。完全見切り発車小説、としとこう。瓦版があった当時、2〜3文で売られていたようなので、今回から書いていく瓦版も100円にしたいです。これを最後まで読んで気に入ったら100円サポートしてください。記事のオススメボタンも押してもらえると飛んで喜びます(^^)やった〜。

思いっきり次の執筆をたのしみます