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Cocco「強く儚い者たち」

初めて聴いた時はメロディーに引き込まれた

けど、「飛び魚のアーチ」とか「あなたのお姫様は腰を振ってるわ」とか

よくわからない歌詞と、唐突な過激な歌詞に、毎度のごとく数日間一曲リピートを繰り返した

この曲が歌いたいことはなんなんだろう

数日経って、私がだした現段階の答えをまとめたいと思う



愛する人を守るため
大切なもの築くため
海へ出たのね
嵐の中で戦って
突風の中生きのびて
ここへ来たのね

登場人物は結婚して数年経つ30代くらいの男女だとする

結婚してから、幾つもの試練を乗り越えてきた

別れようとさえ思ったけれど、家族という大切なものを築くためにお互い嵐のなかでも必死に目を開けて前を向こうと頑張っていた

社会の風向きがきつかろうと愛する人を守るため、必死に働いた

自分にとって大切なものは家族だと信じていた

家族がどんなものとか、どうあるべきものなのかなんてわからないけれど
確かに感じた幸せだった時を守るために

この港はいい所よ
朝陽がきれいなの
住みつく人もいるのよ
ゆっくり休みなさい
疲れた羽根を癒すの

(男性目線)
ある日、知人から誘いが

よくある、「風俗に行ってみないか」、そんな程度の誘い

家で幼い子供の面倒を見てくれている妻に後ろめたさがあったから

飲み会があると言って、こっそり行くことにした

そこには、綺麗な女性がたくさんいて、金を出せばなんでもしてくれた。

女の頭を掴んで自分に押し付けたことなんて初めてだった

苦しみ、嗚咽しても自分の力のままに思いのままに女を揺さぶった

普段自分が妻にはしてもらえないようなこと、快楽という麻薬が自分を満たしてくれるそんな場所だった

そんなこと現実でしたら、妻はどんな顔をするだろう

帰り道にふと考えた時、興奮ではなく、ただただ妻の悲しむ顔が思い浮かんだ

だけど飛魚のアーチをくぐって
宝島が見えるころ
何も失わずに
同じでいられると思う?

人は弱いものよ
とても弱いものよ

帰宅した時には妻と子供は寝ていた

部屋は散らかっていて、夜ご飯を食べた器はそのままで

子供に毛布をかけ寄り添う妻には、何もかかっていなくて足をすくめている

私は妻と子供の顔を直視できなかった

私が興奮と快楽に溺れている時妻は、

きっと腹を空かせていただろう

風呂に入って暖まりたかっただろう

好きなアーティストのTV番組をみたかっただろう

ゆっくり寝たかっただろう

私は妻を裏切ったというのか

愛する人の未来など
遠い目のまま言わないで
声が聞こえる?
私の部屋へいらっしゃい
甘いお菓子をあげましょう
抱いてあげましょう

固い誓い交わしたのね
そんなの知ってるわ
'あんなに愛し合った'と
何度も確かめ合い
信じて島を出たのね

あれから何日かたった

普通の、いつも通りの日常だった

私は朝から夜遅くまで真面目に働いて、その間家で妻は子供の世話をして夕食を用意して

けれど、ある日夜遅くに家に帰ると、リビングに離婚届が置いてあった

ラップがかかってるハンバーグは、ラップが曇るほどにはまだ暖かくて

妻は子供の隣で横になっているけれど、本当は起きているのなんて知っていた

家族のために、朝から晩まで働いて、帰ってきて寝てまた仕事に行って

家族のためにしていたことに少しずつ、苦痛を感じていたことを

自分も妻も気づいていたのかもしれない

まだ愛し合っているはずなのに

どうしてうまくいかないのか

だけど飛魚のアーチをくぐって
宝島に着いた頃
あなたのお姫様は
誰かと腰を振ってるわ

人は強いものよ
とても強いものよ

(妻目線)

あなたが風俗に行ったことなんて、知っていた

子供ができてから、私には余裕がなくて

あなたの相手をできるほど綺麗にもしていられなかったから

風俗に行ったとしても、裏切られたなんてひとつも思わなかったわ

ただ、女としての悲しみではなく

あなたが守りたかったのが「家族を持った自分」だったと知ったから。

私だって家族がなんなのか今でもわからないの

けれど、何かに見返りを求めず、親切にできるのが愛だとしたら

もうあなたに愛を感じることができなかった

昔はそうだったのかもしれない。あなたのそばに入れるだけで幸せで

あなたに送る私の気持ちに、見返りを求めることなんてひとつもなかった

少しの違和感にも目を瞑ったわ

けれど、私が重い瞼をなんとかひらいて、重い体に鞭を打ちながら洗濯物をしていた時、あなたが風俗に行っていたことを知って、もう希望が見えなくなってしまったのよ

私は私が幸せになるために、これを終わりにするから

あなたとはもうさようならをするわ


あとがき

「あなたのお姫様は誰かと腰を振っているわ」

までの直接的な描写は触れれなかったけれど、自分が考えたこの女性は

子供を抱えながらも、また幸せを掴むことができて。愛する人を見つけることができると思う

それに反して、男性は、第二の愛する人をなかなか見つけられず、悲観的になりまた風俗へ行く(笑)

いっときの幸せを得るために己の欲望にに負け、全てを失った
弱い人

全てを失うことで、新しい幸せを得ることができた
強い人

全てを失う覚悟をできる人が、どれだけ強い人なのか、自分自身の失恋を通して実感します

今まで築いてきたものを全てゼロにして、新しく歩んでいくこと

幸せだった思い出が美化されても、振り返らず前に進み、自分自身に勝てる人がどれだけ強い人なのか


でも逆に、幸せという不確かなものを掴もうとして前が見えなくなり、間違いを犯してしまう人の気持ちもよくわかる

人はいつだって自分が可愛いものですよね

幸せになりたいからこそ、足掻くんですよね

どちらを否定するわけでもなく、この歌はひとつの物語を歌った

第三者の目線で。

穏やかで綺麗なメロディーが、暗く沈んだ気持ちをそっと撫でてくれるようなそんな曲

私はきっとこれからも、もっとこの曲を咀嚼し続けると思う。


これはあくまで私がこの曲を聞いた感想にすぎません
このnoteにはこれからもこのように曲を通して感じたことを自分の経験談もちょっぴり踏まえながら妄想を書き綴っていきます

今回題材にさせていただいたCoccoさんについても一大ファンというわけでなくあくまでこの曲を何回もリピートして聞き入っているだけなので、実際に御本人様がどのように考えて書かれた詩なのかも知りません

ファンの皆様がどのように解釈をした、といったサイトも一切見ておりません
どうか、ひとりの人間が思ったただのひとつの感想としてみていただければ幸いです。





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