見出し画像

サラダ or グラタン?

お料理クラブパルタージュ 主催の竹本です。
これから不定期で、フランス南部のリヨンの暮らしの思い出をご紹介します。

今日ご紹介するのは、リヨンの食事に欠かせない一皿。
ドーフィネグラタンにまつわるお話。

ドーフィネグラタンは、もともとはリヨン生まれのお料理ではありません。
一番最初にご紹介するお料理がいきなりリヨン生まれじゃないのもおかしいのですが、
発祥なんて関係ないくらい、ドーフィネはリヨンの食卓に欠かせないのです。

ドーフィネの作り方はとてもカンタンです。
材料はジャガイモ・牛乳・生クリーム・ニンニクと塩胡椒とナツメグ。
それらを一度鍋の中でカンタンに煮立ててから、オーブンに入れて焼くだけです。
カンタンなだけに、食材の良さと、火入れの加減で作る人の味になる不思議なお料理でもあります。

私が初めてリヨンに降り立った日、食事に入ったレストランで出てきたのもこのドーフィネグラタンでした。

「サラダor グラタン?」

リヨン名物の豚肉料理を頼んだはずなのに、グラタンとは一体なんだろう?訝しがっていると、観光客にもう何万回も同じ説明をしているのか、サラサラと流暢な英語で教えてくれたのでした。

「リヨンではお料理にサラダかジャガイモのグラタンがセットになるんです。」

グルメの街とは聞いていたものの、付け合わせにグラタンとは。
またその熱々のグラタンのおいしかったこと。甘みを蓄えた薄切りのジャガイモと良質なクリームだけのご馳走。メインのお料理の印象をかき消してしまうくらいの衝撃でした。

その日から私はドーフィネグラタンの虜になりました。
美味しいドーフィネが食べたくて、ドーフィネが自慢のお店を回る日々。
そんなとき出会ったマダムが、私にリヨンの家庭料理を教えてくれたのですが、彼女も並々ならぬ愛情をドーフィネに注いでいたのでした。

ジャガイモの煮え加減、塩を振るタイミング、生クリームと牛乳の割合。
これらの違いが各家庭や各レストランのドーフィネの味の違いになります。
大胆に見えるけれども繊細な気配りの積み重ねで美味しい家庭料理は生まれることを、彼女は教えてくれました。

ヨーロッパの家庭にはガスオーブンが備え付けてある場合もありますが、そういう家庭では前もって煮ずにそのままオーブンで焼いても美味しくし上がるようです。

大きな陶器のグラタン皿でこんがりと焼き上がったドーフィネは、温かなリヨンの食卓の象徴です。

パルタージュではこのドーフィネグラタンをほとんど毎回ご提供します。
次回は3月23日(土)のお昼。
皆様のご参加をお待ちしています。
参加はこちらから。
https://www.facebook.com/cookingclubpartage/

お料理クラブパルタージュ 
主催 竹本ともこ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?