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薬剤師国家試験105回224-225|抗菌薬とディフィシル菌腸炎

初めに

  抗菌薬投与によって引き起こされる偽膜性大腸炎について聞かれている出題です。抗菌薬によって腸内細菌が殺されてしまうと腸内で保たれていた調和が崩されてしまいます。それにより特定の細菌の勢力が増してしまう状態が偽膜性大腸炎です。



問題の要点

設問224 

  • 問題文より抜粋
    62歳 男性 肺炎球菌感染治療を目的としてスルバクタム・アンピシリンの点滴投与
    S: 水溶性下痢 腹痛 発熱
    O: 
    検査)  CRP上昇 白血球数上昇
    直腸内内視鏡) 多発する黄白色の偽膜 浮腫 びらん

    →偽膜性大腸炎と診断された
    →スルバクタム・アンピシリン投与中止
    →抗菌薬変更についてカンファレンスを行う事に

    ※関連検査基準値

  • 偽膜性大腸炎の起因菌は一般的にディフィシル菌(Clostridium difficile)
    →グラム陽性 桿菌 偏性嫌気性
    →健常人の腸管内に少数生息 常在細菌叢を形成
    →熱、乾燥、アルコールに抵抗性を示す芽胞を形成
    →外毒素(トキシンA トキシンB)を産生することで大腸粘膜に潰瘍を引き起こす。
    ※トキシンAは下痢を引き起こす腸管毒 トキシンBは細胞障害を引き起こす細胞毒

外毒素まとめ

細胞毒: ジフテリア毒素 
  • 偽膜性大腸炎は抗菌薬投与による菌交代現象が原因になる事がある
    →βラクタム系、リンコマイシン系などの抗菌薬で起こりやすい。

外毒素についてはこちらも是非!

設問225 偽膜性大腸炎の治療薬

  • バンコマイシンもしくはメトロニダゾールの経口投与
    ※バンコマイシンは腸管から吸収されないので腸内のディフィシル菌を狙い撃ち出来る。
    ※メトロニダゾールはピロリ菌除菌等にも用いられる抗菌薬。


調べておきたいキーワード

生物

肺炎球菌 

化学

抗菌薬の分類別構造を整理
→βラクタム(ペネム ニューキノロン マクロライド etc・・・)

衛生

・腸内細菌科 食中毒(腸内細菌関連として)
→経口感染する感染症って何がある?

・肺炎球菌感染症
→62歳の男性だけど予防接種の基準になるのかな?
これについては良く出題されるので調べておきましょう!

↑代表的な感染症原因細菌の感染経路をまとめたものになります!

薬理

スルバクタム・アンピシリンナトリウム
バンコマイシン メトロニダゾール

病態

偽膜性大腸炎

薬物動態

バンコマイシン繋がりでTDMについて抑えておこう。



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