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[FACTORY X様] 設立前後のスタートアップ 採用立ち上げストーリー

「2024年3月28日にプロジェクトXに出ることになったので、それまでに求人を外部発信しておきたいんですよね。」

FACTORY Xさんからこんなご依頼をいただいたのは2024年3月上旬のことでした。この類のご依頼は、設立前後のシードフェーズのスタートアップではよくあることです。

本ブログでは、採用活動の「立ち上げ」フェーズにおいて、どのようにスピーディーにクオリティーを担保しながら動いたのか?のポイントについて書きたいと思います。




0. FACTORY Xさんについて

製造工程の在庫を戦略的に持つことで、生産性と収益性を向上させる「在庫戦略モデル」の開発・展開を目指していらっしゃる企業さまです。

FACTORY Xさんの話は本ブログでたくさん出て参りますので、本項についてはこのくらいにしておきます。


1. FACTORY Xさんとの出会い

2023年6月に、ソフトバンクさんが運営しているステーションAIにお伺いすることがありました。先方のご好意で、愛知(現地)のあらゆるスタートアップの方々とお話しをさせていただき、主にHRにまつわるお悩みを聞いておりました。その中で、FACTORY Xさんともお話をする機会がありました。

当時はおそらく従業員はほぼ0名。つまり代表の神谷さんお一人の状態だったと思います。前項でご説明した通り、FACTORY Xさんは、「製造領域における在庫」について取り扱う企業で、僕自身が大学にその領域について触れていたこともあり、その場は盛り上がった記憶があります。ただ、僕が過去に接点を持ってきたスタートアップの経営者の中でも、すごく変わった(?)方で、話すスピードが速く、独自の世界を持っており、見ている視点が一般の方とは大きく異なり、「あ、天才なんだな」と言う感触を持ちました。

仮にもこれまで数百名のスタートアップの経営者さまとお話をして参りましたので、そこまで衝撃を受ける事はなく、ただ「あ、これまでお会いしてきた方の中でも、勢いとスピードを持っている方だ」と言う感想を持っていました。今から約1年前に初めての接点を持ってから、3ヶ月に1回位のタイミングでHRについてのご質問をMessengerで定期的にいただくようになったのですが、転期となったのは2024年の3月上旬のHRについてのお問い合わせでした。
本ブログの冒頭に記載している「求人を立ち上げて、何かしらのアウトプットをしたい」と言うご依頼でした。


2. 取り組んだこと

具体的に何を取り組んだのか、そして工夫したポイントを説明したいと思います。

シンプルに、事業概要や求人内容をヒアリングして、求人票の作成をして参りました。ただ、本ブログをご覧いただいている方々に質問なのですが、求人票の内容がどうしても淡白になってしまうことはありませんか?特に、新しい求人を作成する際に、現場の方にヒアリングしたとしても、職務内容もありきたりな説明しかなく、求人票の職務内容欄が2行程度になってしまう、そんなこともあったりします。すごく重要なのは、ステークホルダーの方に求人内容のお話をしていただけるように「引き出す」ことです。「職務内容を教えてください」と言う質問だけでは、仕事内容の説明があまり出てきません。では「なぜそうなってしまうのか?」その答えはシンプルで、「まだその企業でその仕事をしている人が少ない」からです。その仕事を開始してみて、何が起こるかわかりませんし、何がポイントかもわかっていない状態で、求人票を作成することがあります。特に、アーリースタートアップではよく起こり得ることで、むしろ仕事は「作っていくべきもの」と言う思想の経営者の方も多く、むしろ「仕事内容は自分で考えてくれ」と言うこともあります。

蛇足ですが、僕個人的にも、もし仮に今から違う会社の社員として勤める場合、求人票における仕事内容にはそこまで興味がありません。おおまかな「Mission」だけ書いていただければ、そのMissionを達成するための「プロセス」「人員構成構成」「予算取り」などは自分でやります。おそらくスタートアップの経営者さまはそのように考えて、求人票を淡白につくっている可能性もあります。もちろん、ただ単に職務内容がイメージできていない可能性も大いにあります。そこで、どのようなポイントを工夫したのかを次項にて説明したいと思います。


3. 工夫したこと

スタートアップの求人立ち上げについて、工夫したことを細かく記載したいと思います。おそらくシリーズAくらいのフェーズの企業さまは参考にしていただけるかと思いますので、ぜひご覧ください。

3-1. 募集背景が大事

募集背景とはその名の通り、「その求人を募集する背景(理由)」です。
スタートアップフェーズの求人は「職務内容」よりも「募集背景」の方が大事なのではないか、と言えるほど重要度が高いと個人的には思っています。どういうことかと言うと、スタートアップフェーズにおいて「なんとなく」求人を作成する事は少ないです。可能性としてなんとなく作成をすることもありますが、何かしらの強い背景(理由)が存在しています。ただ、重要なのは、その背景(理由)を、「何段も上に上がって考えていく」ことです。
ここで言う「何段」と言うのは、下記をご覧いただけるとわかりやすいかもしれません。

本項に沿った説明しやすいスライドを添付しました。
何を申し上げたいかと言うと、

  • 「採用」戦略は「人事」戦略に紐付いており、

  • 「人事」戦略は「事業」戦略に紐付いており、

  • 「事業」戦略は「経営」戦略に紐付いており、

  • 「経営」戦略は「Mission / Vision」に紐付いている

ということです。
採用市場でアウトプットされている求人票の中で「事業拡大に伴う増員です」と言うキーワードを拝見することがありますが、それはその通りだと思います。ただ、「事業拡大」をなぜしたいかと言うと、経営戦略を達成したいからだと思います。経営戦略をなぜ達成したいかと言うと、その企業が掲げているMission / Visionを達成したいから、そういった理由になると思います。

詳しくはこちらに記載がございますが、募集背景はここまでこだわることができます。そして、「職務内容」がぼんやりしやすいスタートアップにおいて、募集背景は間違いなく濃いめに書くことができます。なぜなら、スタートアップには「想い」が確実に存在しているからです。

FACTORY Xさんの募集背景

こちらをご覧いただければと思うのですが、これくらいの粒度で細かく記載をさせていただきました。

3-2. 職務内容の作成

少々ダイナミックな話をすると、今回のFACTORY Xさんの各求人内容については、ヒアリング「前」に半分以上の作成を終えていました。どういうことかと言うと、募集職種と募集背景がなんとなくわかれば、職務内容は想像で書けるのです。前述した通り、スタートアップにおいて、職務内容が充分すぎるほど明瞭になっている事は、個人的にはないと思っています。職務内容を「考える」ことも求められると思っており、必要である職務についてはすべて優先順位をつけて取り組んでいく、そんなことが求められるのがスタートアップだと思っています。

例えば、経理業務に取り組んでいる方が、人事業務を兼務したり、マーケティング業務に取り組んでいる方が、採用広報業務を兼務したり。経営企画の方が、営業現場に入り込んで商談をすることもあるでしょう。そんな中で、幅が広すぎる求人の職務内容を書いてしまっても、ぼんやりしてしまいますので、どこまで「幅」を広げて説明をしていくのか?がポイントとなります。そんな中、作成をし終えた求人の職務内容はこちらになります。

人事/採用ポジションの職務内容
PdMの職務内容
PMの職務内容
テックリードの職務内容

前述した通り、僕の方でヒアリング「前」に記載をした内容、FACTORY Xさんの代表 神谷さんにヒアリングをした「後」に追記した内容もあります。

概ね求人の職務内容のボリュームにはご満足いただいたようで、リッチな内容が完成しています。

3-3. 求人を「分ける」

これまで諸々記載をした通り、スタートアップでは「職域」を明瞭に記載することが難しいと感じています。明確なMissionがある求人もあるかと思うのですが、事業環境が変わりやすいこともあり、実際に取り組む職務内容が変化することが多いからです。

その中で、求人を「分ける」事は非常にお勧めです。例えば、FACTORY Xさんの場合で言うと、当初「エンジニア」を採用したいと考えていました。ただ、直近においては「業務委託」のエンジニアが1名おり、いわゆるシステム開発の業務は外部パートナーの方のお力もお借りしながら、取り組んでいました。現時点においては開発を「完全に内製化する」事は考えていらっしゃらないようだったのですが、ただ良いエンジニアの方がいらっしゃれば、内製化もありかなと。逆に、現時点においては、システム開発を完全に外部パートナーの方に任せて進める。つまり、「良い候補者さまがいらっしゃれば」と言う前提で、分けるパターンで対応していこうか、と言う話をしていました。その結果として、「エンジニア」の求人については、下記3パターンを作成することにしました。

それぞれ簡単に説明すると、

テックリード
- 技術的に長けた方向けの求人。

PM
- 今回開発するプロダクトのシステム開発におけるプロジェクトマネージメントをしていただける方向けの求人。

PdM
- 今回開発するプロダクトの機能の企画などPMの職域よりもさらにプロダクト企画寄りの求人。

と言う分類をいたしました。
本事例についてはエンジニアの類でしたが、ビジネスサイドにも同じような分類をすることができます。例えば、事業開発(BizDev)の募集があるとします。スタートアップフェーズで事業開発を募集する場合、机にかじりついて事業戦略だけを実行する業務ではないと思います。つまり、お客さま先にお伺いして、市場調査/ユーザ調査をしたり、実際に顧客商談(セールス)を兼務する場合も大いにあると思います。そのため、

  • 「事業戦略」

  • 「マーケティング/市場調査」

  • 「ユーザ調査」

  • 「営業戦略」

  • 「営業(販売)」

  • 「営業企画」

などの業務が必然的に発生します。これらを合算して「事業開発(BizDev)」と言う求人を作成しても良いのですが、すべてを全うできる人材はなかなかいません。そのため、間口を広げて、事業開発の求人を3つほどに分類して作成するイメージです。具体的には、

  • 事業戦略/事業開発

  • マーケティング戦略/推進

  • 営業戦略/営業企画

などに分類すると、それぞれに強みがある方からのご応募をいただくことができます。最も採用したいのは、すべてのスキルを兼ね備えた「スーパーマン」のような方だと思いますが、スーパーマンが採用できれば御の字です。ただ、スタートアップにおいて採用の「スピード」はとてつもなく命です。そのため、

①のスキルはあるけれども、②のスキルは満たしていない

と言う方を早期に向かい入れるかどうかは、その経営者の判断次第になります。

②については、副業の方にジョインをいただく、などのパタンもあり得ますので、ご認識ください。


4. 求める人物像の設計

本ブログで詳細にご紹介はいたしませんが、(別のブログで書きたいと思っています)、求人票がうまく立ち上がった今、次のステップとして「求める人物像の設計」のフェーズに入っております。
Wantedlyに求人を掲載しており、候補者さまからの応募も増えてきていると聞いています。ただ、面談や面接をするにあたり、FACTORY Xさんはどのような軸で選考をしていくのか?これがぼんやりしていると聞いています。

繰り返しになりますが、別のブログで書きたいと思うのですが、スタートアップフェーズにおいて「求める人物像」は最低限決めておいた方が良いと個人的に思っておりますので、次のブログをご期待ください。


最後に

皆さんいかがでしたでしょうか。
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