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採用ブランディングにおける新ノウハウ「IFA」について

「"魅力" はなぜ "魅力" と感じるのか?」

この問いは非常に深いです。

人によって魅力の感じ方は異なります。また伝える人(発信する人)が変わると、魅力と感じないこともあります。

「カジュアル面談が上手、と言う企業や人がいますが、それはなぜなのか。」

そんな問いを悶々と考えていました。

ポテンシャライトには「採用ブランディング」というサービスがあります。採用活動における魅力の「発掘」「言語化」「整理」をするサービスです。採用ブランディングを実施すると、必然的に企業様の魅力が整理された状態になります。繰り返しになりますが、ここで言う「魅力」とは何なのか?と改めて言われると、…となります。

本ブログはそんな抽象度の高い問いに対して独自にアプローチし、わかったノウハウを記載したいと思います。


0. そもそも魅力とは?

こちらの問いに対しての答えは下記のブログがヒントとなりました。

こちらのブログでは、企業側は「魅力」と思っていたとしても、その内容は多くの企業様が同じように発信しており、希少価値が高くなく、魅力とは感じない、という内容になります。また、ブログに記載しておりますが、「事実」と「魅力」は異なる、という内容も強くメッセージングをしています。「御社の魅力は何ですか?」という質問に対して「〇〇です」と自信満々な顔をして回答いただいたとしても、「それは魅力ではないんだよな」と思うことが多数発生していました。

こちらのブログを改めて見返して、「魅力とは何か?」という問いについての答えを個人的に炙り出すことができました。

それは、

魅力とは:
「事実」を相対比較して、希少価値を上げた事項

つまり、「魅力」は「事実」がベースになっており、事実を「装飾」することによって「魅力」に変換されるのだろうと気づきました。ここで言う「装飾」と言うのは、わかりやすく言うと「比較」と言い換えることができます。

そのため、ある人が説明すると「魅力」に聞こえるのに、別のある人が説明すると魅力に感じない事象が発生するのは、これが起因してるのではないかと感じました。つまり、魅力に感じない場合は、「比較」観点が薄く、希少価値もないのです。

少し別の話をしましょう。「流行(トレンド)」についてです。
2017年頃に突如トレンドとなったタピオカについて。タピオカがトレンドになり始めた時期には、行列で買うのが本当に大変そうでした。皆さまもタピオカに対して魅力を感じていたのではないでしょうか?ただ、時間が経つにつれて、タピオカ屋が増え、タピオカの希少価値が埋まり、タピオカに対して「魅力」と感じる人が少なくなりました。

つまり、タピオカ黎明期は、他の飲み物と比較しても希少価値が高く、人々が魅力に感じていたのですが、お店の数が増え、希少価値が薄まり、魅力に感じなくなったのだと思います。

話を戻して、HR市場の話をします。
企業様の魅力を表現するためには、企業理念や事業内容、福利厚生など企業様の「事実」を文言化していきます。そしてその事実を 他社様と相対比較しながら希少価値を打ち出し、「魅力」に変換します。

「事実」と「魅力」、口に出すのは簡単ですが、理解するまで時間がかかったと同時に、自分でたどり着いた答えだったので、非常に腑に落ちました。


1. 事実と魅力だけで、求職者様はワクワクしてくれるのか?

次に直面した問いは、「魅力がいまいち伝わりにくい」ことです。

前項で説明した通り、企業の打ち出す内容が「事実」に留まらぬよう、比較や希少価値の観点を用いて、事実を「魅力」に変換し、アウトプットをしていました。

ただ、「魅力」をアウトプットしているのにもかかわらず、ある求職者様には魅力と捉えていただき、別の求職者様には魅力と捉えていただけないことがあります。もちろん求職者様によって「転職活動の軸」は様々でしょうし、それが異なるから魅力としての受け取り方も異なるだろう、そう解釈していました。

ただ、本当にそうなのか?「転職活動の軸」が異なる方に対して、自社の魅力が伝わりやすい、伝わりにくいでその議論を終わらせて良いのだろうか。そんなことを考えていました。

そんな時に、自社のあるメンバーからこんな質問をもらいました。

「ある求職者様がいらっしゃって、自分が担当している企業と、他社様の2社で内定が出ています。その求職者様の転職活動の軸を考慮すると、他社様がマッチしているように思えます。ただ、自分が担当している企業に入社してほしいと思っています。どうしたらいいでしょうか?」

HR業界で仕事をしている方はよく直面する事象ですよね。僕もエージェント時代も含め、今でもこの事象にはよく直面します。

ちなみに僕は、このパターンにおいて、その求職者様を深追いしないことのほうが多いです。その求職者様の「転職活動の軸」にマッチしている企業があるのであれば、その企業に入社すれば良いですし、その企業が他社様だった場合、致し方ないかなと思っているタイプではあります。

ただ、ここで言う「不利」になってしまっている企業は「どうしても入社してほしい」と思っているはずです。そう思っている企業様にも、もちろん力になりたい気持ちもあります。

話を戻して、前述した質問をメンバーからもらったときに、僕はこんなことを回答しました。

「その求職者様の "転職活動の軸" を凌駕するような転職活動の軸を、新たに作り出す必要があるかな」

どういうことかと言うと、この状況下において「転職活動の軸」に沿った決断をすると、概ね他社様にご決断されるかと思います。ただ、これは転職活動の軸が「変わらない」ことを前提とした話です。乱暴な言い方をすると、転職活動の軸を「変える」ことができれば、この前提論は崩壊します。

ただ、ここでこんな疑問を感じる方もいらっしゃるかと思います。

「先ほど山根さんが、転職活動の軸に沿った企業に入社決断をすれば良い、と言っていたのに、転職活動の軸を変えるアクションは好ましいのか?」

その通りです。

ただ、僕もHR業界15年目にして新たな気づきがあったのです。

それは、

その求職者様が「重要」と理解をしていない、会社決定の軸があるのではないか

「転職活動の軸」は、これまでの人生で接した方々や所属したチーム によって形成されています。

ただ、その求職者様が接してきた個人やチームの全てが、あなたの価値観形成にとって「最適」ではない可能性もあります。かく言う僕もそうでしょう。これまで36年間生きてきて、偏った価値観になってしまっている可能性もあります。もし仮に僕が今、転職活動をするのであれば、今の軸で会社決定をするでしょう。ただ、僕がこれまで「気づいていなかった」会社選びにおける「重要」な軸を教えてくださる方がいらっしゃるのであれば、それはぜひお会いしてみたいと思っています。なぜならば視野が広がるからです。

一方で、これまで形成してきた価値観も大事にしたいですし、これから出会う方々に教えていただく価値観も同じように大事にしたい。

話を戻すと、「転職活動の軸を変える」と表現しましたが、もう少し詳細に説明をすると、

「その求職者様がこれまでの人生経験の中で構築された転職活動の軸 "以外" の項目の中で、その求職者様のキャリア形成において "重要" であることも同時に伝えて、転職活動の軸を"再考" できると良い」

こんな感じでしょうか。
つまり、無理矢理 転職活動の軸を変えさせるのではなく、その求職者様がこれまで見ることがなかった景色を見ていただき、そういった景色(世界)もあることを知っていただき、企業の選択基準を再考していただく、そんな伝え方になるかもしれません。


2. そもそもその魅力を「重要」だと気づいていない人が多い

少し大枠から説明します。
ポテンシャライトには企業の魅力を大分類した「6P+CGM+tech」というフレームワークがあります。

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企業の魅力はこの10項目に分類されるとご理解ください。
ここで皆さまに質問です。この10項目の中で、あなたが転職先に求める優先順位はいかがでしょうか?

おそらく人によって様々かと思います。そしてもう一つ質問です。
優先順位をつけた項目を「なぜ」重要だと思っておられますでしょうか?原体験を元に回答してください。

この質問は考え込む人もいるかもしれません。優先順位の質問は、割と感覚的に回答いただけたかと思うのですが、その理由を問う後者の質問は「うむ…」という感じかもしれません。

何が言いたいかというと、僕らは感覚的に優先順位を決めている項目もあり、それは「絶対的」なものではないかなと思います。

本項の主題に戻します。
本ブログは、そもそもその魅力を「重要」だと気づいていない人が多い、というタイトルにしました。どういう意味かというと、先ほどの優先順位が「低い」項目は「重要ではない」とジャッジしているはずです。

ただ、もし別の項目が「重要である理由」がわかったとしたら、皆さまいかがでしょうか?おそらく優先順位が変化するのではないかと思います。

具体的な話をしましょう。

あなたは、25歳のHR業界の営業マンです。
「とにかく成長したい!」という意欲が強く、転職活動の軸は「成長できるか?」です。これからもHR業界で仕事をしたいと考えており、成長軸でいうとベンチャー企業が良さそうだと思い、ベンチャー企業を見ています。

もしあなたがこちらの方であれば、「より成長ができる企業」にスポットを当てて、仕事を探すはずです。そして、転職活動の最中にある方からこんな言葉をいただきました。


「○○さん、成長意欲が非常に強く素晴らしいですね。いつまでもその想いを持っていただければと思います。また、今後のキャリア形成にあたり一つ伝えておきたいことがあるので、聞いてください。
成長というのは結果論だと思っています。つまり "成長をしたい" と思って仕事をするより、仕事に没頭をした結果、成長をするものだと私は思っています。そのため、"成長ができる企業" よりも "没頭ができる仕事がある企業" を選択すると良いのではないでしょうか。
ちなみに、人が没頭するためには "動機" が必要です。その動機は "個人" に帰属しているかと思うのですが、私は "企業の存在意義" にも帰属していると思います。具体的には企業の "ミッション/ビジョン/カルチャー" などです。なぜ その企業が存在していて、なぜ その仕事をする必要があるのか?について共感できる企業でないと "没頭" は難しいのではないかと。あなたが長期的に成長をするためには、この要素が必要だと思ったので、ただ "成長できる" ではなく "ミッション/ビジョン/カルチャー" に共感できる企業を第一の軸にして転職活動をしたほうが、良い転職先に出会えるのではないかと思っています」


皆さま、こちらを見ていかがでしたでしょうか?
これは「成長軸」⇒「ミッション/ビジョン/カルチャー軸」への変換の事例です。つまり、ミッション/ビジョン/カルチャー が「重要」であると説明をしています。

ちなみに同じ状況(上記の言葉の代わりに下記言葉をいただく場合)では、どのように感じますでしょうか?

「当社のミッションは●●、ビジョンは●●、カルチャーは5つ文言化をしており、こちらの資料の通りです。当社のミッション/ビジョンは他の日本の企業は表現していない内容が多く、希少価値があり共感していただきやすいです。カルチャーも文言化しており、あなたにはマッチしているかと思うのです!是非一緒に働きましょう!」

いかがでしょうか?
こちらはミッション/ビジョン/カルチャー が「重要」であることを説明「していない」パターンです。おそらく「そうなんですね〜」という感想で終わってしまうのではないかと思います。


3. 「事実」と「魅力」と「重要」はリンクするのでは?

本ブログでここまで説明した内容を整理しましょう。

 - 「事実」と「魅力」は異なる
 - 魅力とは事実を「装飾」したもの。
 - 装飾とは、「比較」「希少価値」を加えたもの
 - 転職活動の軸を正当に「変える」ことは可能
 - 「変える」というより、視野外だった軸を「形成」することが可能
 - 形成は、別の魅力項目を「重要」だと思ってもらう必要がある

上記におけるキーワードは「事実」「魅力」「重要」だと思っています。
このキーワードをもとに内容の要約をすると、

「事実」を装飾して「魅力」に変換をする。その前提としてその「事実」が「重要である」ことを気づいてもらう必要がある。

このように表現できるかと思います。

下記の図をご覧ください。

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こちらは先ほど要約をした文章を図にしたものです。

さらっと記載してしまいましたが、僕にとってこれはものすごく大きい発見でした!なぜかというと、自分なりに魅力の定義ができましたし、何よりその魅力が「重要」であることを説明しなくては、魅力の最大化ができないことを気付けたからです。

「この企業さま、いまいち魅力が伝わってこないんだよな」
「何となく面白そう、と思うのだけど、いまいちワクワクしないんだよな」

こんなことがよくあるのですが、これに対して「何となく」「いまいち」という表現をしており、体系化した回答ができていなかったのですが、その回答が頭の中で整理できた気がしました。


4. IFAの事例

I:insight (重要であること)
F:fact (事実)
A:attract (魅力)

上記の概念を元に事例を見てみましょう。

 4-1. factのみの場合

現プロダクトに加え、新規事業(プロダクト)を開発しようと考えている。

 4-2. fact + attract の場合

現プロダクトに加え、新規事業(プロダクト)を開発しようと考えている。
完全なる新しい領域ではなく、自社の強みを生かせる領域における新規事業を企て始めている。当社が●●の領域においては日本No.1なため、この領域における強みを活かした▲▲の新規事業を考案中である。

 4-3. insight + fact + attract の場合

現プロダクトに加え、新規事業(プロダクト)を開発しようと考えています。
完全なる新しい領域ではなく、自社の強みを生かせる領域における新規事業を企て始めています。当社が●●の領域においては日本No.1なため、この領域における強みを活かした▲▲の新規事業を考案中です。

また、SaaSの領域において1プロダクトだけで攻めていくのは難しいと感じています。一定の規模感があるSaaSは、1プロダクトだけでなく、複数プロダクトに拡張をするのが一般的であり、狭い領域において課題解決はできるかもしれないが、ミッション/ビジョンの達成を目指す場合は、異なる角度で攻めていくことも必要だと感じています。

そして、将来的にGmail や Slackのようなグローバルサービスまで成長させるためには、新規事業が必要だと考えています。1プロダクトに拘ることは悪いことではないですが、グローバルサービスに成長をさせるためには、複数プロダクトを顧客に受け入れてもらうくらいの覚悟とアクションが必要だと考えています。
日本がこれまでチャレンジをしていたグローバルマーケットにおいてチャレンジをし続ける必要がある。これまでもチャレンジはしているが、アメリカの企業に負けてしまっています。
 アメリカの企業は、グローバルマーケットで戦う前提で会社作りをしている理由もあり、世界中から人材が集まりやすく、資金も集まりやすいです。日本のSaaSと環境が異なりますが、当社はチャレンジしたいと考えています。

こちら、いかがでしたでしょうか?

こちらのパターンは「新規事業」を開発することが「事実」となり、それに装飾を加えて、魅力として、且つインサイト(重要であることを気づいていただく)を作成することにより、魅力をさらにスケールアップさせています。


最後に

皆さんいかがでしたでしょうか。
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