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振り切ることは良いことです「ゴジラ×コング 新たなる帝国」


#ネタバレ


楽しかった!!!感情豊かな怪獣たちの生き生きとした大活躍がとことん味わえる、こういうのを観たいのよやっぱり

もはや映画と言うよりはアトラクションと言った方が作り手も喜ぶんじゃないかと思える程度には、豪快で熱い少年心が鼻水垂らして全速力で駆け抜けていくような作品でした





2014年にモンスターバースが始まって以降、シリーズを追うごとに少しずつ知能指数が下がり、それに伴って爽快度はどんどん上がっていったこのシリーズ

その上で前作「ゴジラvsコング」は、いよいよ人間ドラマを完全に排除した、大胆とも雑とも言えるひたすら思い切りのいい作劇で
怪獣プロレスがわんぱくであればあるほど楽しい、という根源的な興奮を味わうことができるという意味でアトラクション的ですらあった、小栗旬を中心に「あれは何だったんだ」を数えだすとキリがない
配信ドラマのモナークも観てないな〜

しかし前作、人間ドラマは皆無(手話を巡る一連のあれだけは良かった)だけれども怪獣ドラマに関しては、使命と決意に関する一定の盛り上がりがあった
何より決着を経ての大いなる和解にグッとくる、それと同時にこの後シリーズ続けていったい何をやるつもりなのかと疑問も強くなったわけだけど




今回も案の定と言うべきか、とにかく極端な作劇がね!!予想してはいたけどここまでとは

最高に楽しいパートと強烈に眠いパートとで大きく分かれる、まぁこれはアクションの濃度を考えると適切なペース配分なのかもしれない


作品内での温度差については、図らずもゴジラ−1.0でも同じことが起きているわけだけど、今回の×コングは割り切り方が清々しいからね!
個人的にはこういう作りの方が誠実だとは思う

人間ドラマは主人公まわりで「居場所」に関する軸をひとつ置いて、他にあれもこれもと欲張ることはしない、これは今回すごく適切な選択だったと思う!
他のエモーションは全部怪獣たちが担うわけだし、さらには登場人物の人数が前作より整理されてたのもよかった



しかしウケ狙いというわけではないんだろうけど、こちらの予想を過剰に超えてくるバランス感は独特の味わいだったな〜

コングに武装を与える
→「気に入ってくれるだろうか、無理やり外すだろうか…」
→大好き!!!雄叫び&掲げる拳!!!!!

とかね、芸風がなかやまきんに君のそれなので笑ってしまった

そのぶんドラマパートのギャグ要素はスベってるとこがほとんどで、このチープさがこれまた良かったりもするんだけど



さて今回のメインである怪獣ドラマはと言えば、あちこちで既に言われている通りヤンキードラマの基本パターンをとことんベタにこなしていく、見たことないのに既視感ありまくるストーリーだった

まぁゴジラは全編通して飯を食って暴れるだけなので、そこにドラマがあるかと言われるとよく分かんない、一応はSOSをキャッチして駆けつけるという役回りではあったけど

ヴィランと言うよりはライバルとしてのスカーキングも、予告の印象以上にのびのびと悪役をやり切ってて好きだったな〜!深みも何もない、誰もが思い描く悪役としての活躍は安心感すらあった

「悪として振る舞う」ことにこれまた振り切っている、余計なことをしないシンプルなストーリーテリングの重要な役割を担ってくれていたと思う、あの地下労働は何をどうする何のための労働だったんだ…



ただこの作品、こんな感じで普通にただの猿ヤンキードラマをやってる弊害とも言うべきか、怪獣の巨大感を味わうことができる部分がそんなに多くはないのがね〜もったいなかった

コング襲撃の場面なんかは猿たちが横並びになるのを全身映したりしてて、そうなるともう人間大にしか見えなくて

あの地下労働ひとつ取っても、もっとこう巨大猿が巨大奴隷として巨大謎労働をさせられている!という部分を強調してくれたら、意味不明さにブーストかかって強烈な場面になったんじゃないかな〜せっかく怪獣映画なんだから



なので最後のバトルが市街地だったのは本当にほっとした、その直前まで無重力バトルなんてやってていよいよ見応えなくなってたからね

取ってつけたようなモスラの活躍も含めて、終盤は誰が何してたか具体的にはほとんど覚えてない、ひたすら轟音と破壊の中で楽しいことが起こりまくってたということしか

終盤に限らず、全編に渡って繰り広げられる数々のバトルはどれも笑っちゃうほどの圧倒的な迫力

もちろん劇場で観るのが一番だとは思うけどおそらくは家で繰り返し観ても楽しめそうな、構図のかっこよさもよく練られてると感じた


総じてCGの違和感なさは相変わらず間違いないものがあるよね、本当に毎度驚かされるしもはや驚かなくなってきた感すらある
そりゃジオラマ特撮の緊張感を超えられるものを提供してるとまでは言わないけど、少なくとも違和感なく没入できるレベルには余裕で到達してると思う

戦いを終えて人間のキャラが喋り始めた時、「あ〜これ人間も出る映画だったな」と静かな驚きがあったのは忘れがたい経験だった








ただひとつ気になった点として、これはゴジラ映画全体の2割も観れていないような立場から勝手に思ったことなんだけど

ばっちり楽しいヤンキードラマ要素も含めて徹底的に勧善懲悪のストーリー、正義の怪獣と悪の怪獣、という並びを振り返ったときに、今回これゴジラである必要あったのか?と思ってしまう部分はあった

コングが伸び伸びとドラマを積み重ねていくその一方で、ずっと飯を食って暴れるだけのゴジラ

しかもその動機がSOSをキャッチしたことだったりもするので、いよいよ今回のゴジラから恐怖を感じることはできなくなってしまってるとは思う、コロッセオ寝かわいいし


戦争や災害、他にもいろいろモチーフはあると思うけどとにかく恐怖を象徴する怪獣であり怪獣映画というイメージがどうしてもあって
メガロやヘドラも観てるので多少は幅のある楽しみ方も心得てるつもりだったけど、ちょっとそれでも今回の振り切り方には圧倒された



しかし裏を返せばこれ、誰かを意図的に傷つけたり、使役したりしてはいけない!そんな非道な奴は氷漬けにして粉微塵にぶち砕いてやるから!という、命の尊厳にまつわる至極まっとうな物語でもあって

ヒーローものが担ってきたような教育的メッセージを派手にねじ込んだ広い意味での反戦映画として、シン・ゴジラを経てなお輝く現代のポジティブかつアゲ方向のゴジラ映画、と位置づけることはできるんじゃないだろうか

深みもなければ余韻もないけど、楽しさと素直さだけは他の追随を許さない、恐怖以外の文法で観客に語りかけるのもひとつの怪獣映画のあり方なのかな〜と思えた



なお今回は4DXで鑑賞したので、アクションシーンの詳細な部分はちょっとよく覚えてない、楽しかったし迫力だけは受け取れたけど脳細胞が頑張れなかったです

また観たいなと思える程度にはまっすぐ豪快で楽しい作品でした、これをハリウッドが全力注いで作ってくれてるのがまた嬉しいし!もういっそこの感じで他にもいろんな怪獣出してほしいな〜


#映画 #ゴジラコング #ゴジラ #感想

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