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貴社も一方通行の魅力訴求? 突き詰めた結果辿り着いた「Best Attract」とは

「採用活動でどのような魅力を打ち出せばいいのでしょうか?」
「●●の魅力よりも▲▲の魅力を打ち出したほうがいいのでしょうか?」

ポテンシャライトの採用支援先企業様から上記のご相談をいただくことが多いです。
ご支援開始フェーズでは、「採用ブランディング」のご依頼を多くいただいています。

本ブログでは、採用マーケティングにおいて「自社のどのような魅力を打ち出すべきなのか」を考える上で、「判断材料」となるようなノウハウをお伝えできればと思います。


1. 自社が打ち出したい魅力 ≠ 求職者様に訴求できる魅力

「自社が打ち出したい魅力」と 「求職者様に訴求できる魅力」はイコールでは”ない” とご認識ください。つまり、下記のような事実が頻発しています。

🏢 企業様 「うちは成長環境(growth) の魅力を打ち出したいんですよね」

🙎‍♂️ 小池   (えっと、実はその成長環境(growth)は他社と変わらないし、別の項目のほうが良いかと…)

企業様が打ち出したい魅力は、もちろん魅力の”一つ”として打ち出しますが、その魅力が即ち求職者様に訴求できる魅力ではないことをご認識ください。

背景としては「採用市場の激化」です。

これまでは、何となく魅力をPRするだけでも採用活動で勝てていたかもしれませんが、各社魅力の打ち出し方が上手になってきておりますし、自社が打ち出したい魅力だけを表現したとしても上手くいく確度は小さくなってきているのです。

そして、現在発生しているのは「魅力のコモディティ化」です。

自社では魅力だと思っていても、求職者様視点では「他社と何が違うの?」という事象が発生しています。つまり、「魅力が魅力になっていない」状態です。

例えば(先ほどの事例と同じような話をします)、
「弊社はモダンな技術を使って開発ができます」
と魅力を打ち出しているWebサービス企業があったとします。

上記の魅力は、全く同じ魅力を打ち出せる企業が多いです。求職者様から見ると、それは「事実」であり「魅力」ではありません。
結果として、「興味」は持ってもらえても「応募」にはつながりません。

僕は魅力には、2パターンあると解釈しています。

- 「他社と差別化 ”しやすい” 魅力項目」
- 「他社と差別化 ”しにくい” 魅力項目」

つまり、
「Best Attract(打ち出すべき魅力)」=「自社で打ち出したい魅力項目」×「差別化しやすい魅力項目」

と言えます。

■Best Attractとは
自社として打ち出したい魅力かつ、他社と差別化がしやすい魅力のこと

「自社で打ち出したい魅力は、他社と差別化ができているのか?」
を考えた上で、採用マーケティングを実施できると採用成功に一歩近づけるのではないでしょうか。

では、それぞれについて説明させていただきます。

2. 「差別化 “しやすい” 魅力」と「差別化 “しにくい“ 魅力」

差別化 “しやすい” 魅力と、差別化 “しにくい” 魅力というのは、どういうこと?
そう思われた方もいらっしゃるかと思いますので、ご説明させていただきます。

ポテンシャライトが定義している、魅力項目である「6P+CGM」。この項目の中で、差別化 “しやすい” 魅力と、差別化 “しにくい” 魅力があります。

6P+CGMとは「魅力」の要素を9つに分類しています。

philosophy:(創業背景や思想、Mission/Vision/Valueなど)
profession:プロフェッション(職務内容/事業内容など)
person:人(組織/人材など)
privilege:特権(福利厚生/人事制度など)
product:事業、製品など
phase:フェーズ
culture:文化、カルチャー
growth:成長、キャリア 
market:市場規模、業界の成長性 

魅力項目の詳細は下記のブログで説明しています。(最新版の発信ができていないため、一つ前の「5P+CGM」のブログを記載します)


下記の図をご覧ください👇

横軸:魅力項目
縦軸:真似しにくさ(差別化しやすいかどうか)

になっています。

つまり、

「右」にいくほど差別化 “しやすい” 魅力項目
「左」にいくほど差別化 “しにくい” 魅力項目

といえます。

最も「差別化“しやすい” 魅力項目」は、「phase」です。

phaseとは、「事業フェーズ」を指します。

「小池テクノロジー」と「ポテンシャライト」というシリーズAの企業が2社あった場合、事業フェーズでの差別化はできません(シリーズAは、大体15〜30名フェーズの企業だとご理解ください)。

最も「差別化 “しにくい” 魅力項目」は、「philosophy」です。

philosophyとは、創業背景や思想、Mission / Vision / Valueのことです。

創業背景や思想について、Mission / Vision / Value が他社と全く同じであること(ほぼ)あり得ないかと思います。

「魅力項目」を、独自の基準で点数化してみました。
下記をご覧ください👇

そして、それぞれの魅力項目を3つのカテゴリーに大別しました。

- 差別化 “しにくい” 魅力項目
- “やや” 差別化しにくい魅力項目
- 差別化 “しやすい” 魅力項目

2-1. 差別化 “しにくい” 魅力項目

下記が差別化 “しにくい” 魅力項目と言えます。

- phase (事業フェーズ)
- privilege( 福利厚生や社内制度)

phase」は、前項でも触れさせていただきましたが、採用上のライバルと事業フェーズが同じだった場合、魅力として打ち出しても求職者は魅力として認識はしません。糠に釘を打つような状態になってしまいます。

privilege」は、ユニークな人事制度や福利厚生のある企業様もありますが、大きな差は生まれにくい項目です。

2-2. “やや” 差別化しにくい魅力項目

- market( 業界の市場規模や成長性など) 
- product( 事業や製品など)
- profession (仕事内容)
- growth (成長環境、キャリア)

1つだけ抜粋して説明させていただきます。

「market」は、同業他社と比較しにくい項目です。
例えば、建設業界向けのSaaSプロダクトをもつ企業が2社あったとします。この2社の「market」は建設業界です。市場規模や業界の成長率は同じとなるため、同業他社と比較した際には差別化ができなくなります。

2-3. 差別化 “しやすい” 魅力項目

差別化 “しやすい” 項目は、言い換えると「どのような求職者様に対しても同じ打ち出しをできる」魅力です。

- philosophy (創業背景や思想、Mission/Vision/Valueなど)
- culture( 文化、カルチャー)
- person (人、組織など)

例えば「philosophy」です。これは代表の経歴、創業背景、社会において何を成し遂げたいのか、という企業の根幹となる考え方なので、最も差別化 “しやすい” 魅力項目といえます。仮に、似たようなVision を掲げていたとしても、 Vision 決定までの背景やニュアンスには必ず違いがあります。

3. 自社で打ち出したい魅力

前項では、魅力には、

- 他社と「差別化 “しやすい” 魅力」
- 他社と「差別化 “しにくい” 魅力」

があることを説明いたしました。
ただ、「打ち出すべき魅力」を算出するためには、もう1つ要素があります。

それは「自社で打ち出したい魅力」です。

「自社で打ち出したい魅力」が整理・言語化されている企業様は、この項目はスルーしていただいて大丈夫です。

6P+CGM観点で自社がどのような魅力を打ち出していきたいのか、整理してみましょう。
打ち出したい魅力を下記のように配点をします。
※あくまでも「自社で打ち出したい」かどうかで判断します。

1点:打ち出したい魅力ではない(または魅力にきづいていない)
3点:必要であれば打ち出してもいいと思う
5点:絶対に打ち出したい

下記のようなシートで算出します。

左の2列は魅力項目となっており、それぞれに点数をつけています。
(算出方法は本題ではないため、詳細の説明は割愛させていただきます)

「自社で打ち出したい項目」を端的にまとめると下記のようになりました👇

つまり、上記の表で点数が高かった下記4つ項目が、魅力項目となります。

- philosophy(創業背景や思想、Mission/Vision/Valueなど)
- product(事業、製品など)
- market(市場規模、業界の成長性など) 
- privilege(福利厚生、人事制度など)

上記の4項目を魅力として打ち出したいところですが、この4項目が候補者にとって魅力になりうるとは限りません。
最後に「差別化しやすいかどうか」の観点を加えてみましょう。

4. 「自社で打ち出したい魅力」×「差別化 “しやすい” 魅力」=「Best Attract」

一旦、これまでの内容を整理します。

アジェンダ2では、「差別化しやすい魅力」とは何かをご紹介いたしました。
アジェンダ3では、「自社が打ち出したい魅力」を整理することができました。

これらを、組み合わせて、
差別化しやすい魅力」 ×「 自社が打ち出したい魅力Best Attract(打ち出すべき魅力)」になるのではないかと考えました。

下記の表をご覧ください。

差別化しやすい魅力」と「自社で打ち出したい魅力」を並べてみました。

表の見方は下記です。
▼魅力項目ごとの「差別化しやすい度

  - 「phase」 は差別化「しくにい」ので2点
  - 「philosophy」は差別化「しやすい」ので10点
赤枠で囲った行のことです👇

▼魅力項目ごとの「自社で打ち出したい度

「market」「product」「privilege」「philosophy」が 5点です。つまり、自社で打ち出したいと思っている魅力です。(赤枠で囲った行のことです👇)


上記の「自社で打ち出したい魅力」×「差別化しやすい魅力」を掛け合わせて数値化した表が下記となります👇

つまり、「合計点」が高い下記の項目が「Best Attract」だといえます。

philosophy : 50点
product   : 25点 
person  : 24点

可視化することによって、
自社で打ち出したい魅力(黄色で色付けした項目)」と
Best Attract(赤色で色付けした項目)」にギャップがあることがわかります。

例えば「privilege」は、

・絶対に自社で打ち出したいと思っている
・しかし、合計点が15点と低いため、打ち出すべき魅力”ではない

といえます。
最近でいうと、「フルリモートワークができます!」といった打ち出しがこれにあたるかもしれません。(フルリモートワークが可能な企業が増えてきているため、他社と差別化が難しくなってきました)

対して、「person」は、

・絶対に打ち出したい”というわけではない
・しかし、合計点は24点と高いため、打ち出すべき魅力”である

といえます。魅力があるのに気づいていない可能性もあるので、改めて考えてみるのもいいかもしれません。

つまり、「自社で打ち出したい魅力」≠「Best Attract」ということです。

もちろん、求職者様の希望や志向性に合わせて訴求する魅力は変わってくるかと思います。
そのため、採用マーケティングの際などマスに向けた魅力訴求するシーンでこの考え方を取り入れていただけたらと思います。

このギャップに気づくことができれば、採用成功に一歩近づけるのではないでしょうか。

5. 最後に

いかがだったでしょうか?

「なんとなく頭ではわかっているものの言語化がしにくい」ような題材だったかと思います。
このブログを読んで、貴社の採用に少しでも生かしていただけたら大変嬉しいです。

魅力設計含め、ポテンシャライトでは採用/人事の支援をしております。
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