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抽象度が高く、情報量が少ない状態でもアプローチ可能な”シークレット求人”

採用パートナーとして、ご支援をさせていただいている採用企業さまから下記のお悩みをご相談いただきました。

新しい事業を計画しており、早期に採用活動を進めていきたいです。仕事内容の詳細が決まっていない状態でも、求職者さまに対して何かアプローチする方法はありますでしょうか?

このような状況に当てはまる共通項としては以下が挙げられます。

・人ありきの事業を計画している(採用した方に事業計画を立ててほしい)
・仕事内容の詳細が決まっていない

本ブログでは、まだどんなポジションか詳細が決定していない、”抽象度が高く、情報量が少ない状態”での求職者へのアプローチ方法"についてお伝えいたします。

※本ブログの本題は「4」です。
 内容が複雑であるため、前提知識の記載ボリュームが多くなって
 おりますこと、予めご容赦いただけますと幸いです。


1. 前提


前提として、経営理念(Mission/Vision)から採用活動に至るまでには以下のプロセスが発生します。

改めてプロセスを記載すると以下です。

Mission/Vision → 経営戦略 → 事業戦略 → 人事戦略(採用戦略)

それでは各プロセスの詳細について説明していきましょう。


1-1. Mission/Vision

Misson/Visionをポテンシャライトでは以下と定義しています。

 - Mission :「思想/世界観」
 - Vision      :「目指すべき方向性」

Visionは具体的に目指すべき「地点」、Missonはあくまで「思想」になるため「こういった世界観を構築したい」という意思を指します。

ポテンシャライトの事例を見てみましょう。

 - Mission :「Grow Up Ventures」
 - Vision      :「ベンチャー採用/転職のstandardをポテンシャライトに」

ポテンシャライトの具体的な目指すべきVision(地点)は「ベンチャー採用/転職のstandardをポテンシャライトに」です。また、Visionを達成した暁にどのような「世界観」を創造したいのかというMissionは、「Grow Up Ventures」です。なります。


1-2. 経営戦略/事業戦略

「経営戦略」とは、

企業が競争環境の中で自らの経営目的・経営目標を達成するための方針や計画全般

「経営戦略」の定義や種類とは?

「事業戦略」とは、

企業の各事業における目標を設定し、それらの目標を実現させるための方法を策定すること

事業戦略とは?策定に活用できるフレームワーク、成功に導くポイントを解説

「経営戦略と事業戦略との違い」とは、

事業戦略が「事業ごとの目標実現」を目的に策定されるものに対し、経営戦略は「企業全体としての目標」を達成するための方針です。

経営戦略は事業戦略と比べ、より中長期的な視点で策定され、組織戦略や全社戦略と呼ばれることもあります。
事業戦略は、各事業が個別に動いているように見えても、経営戦略など常に全体の方向性と照らし合わせながら整合性を保とうとしています。各事業戦略同士が有機的に結びつくことにより、企業全体が成長していく強い力が生み出されるのです。

事業戦略とは?策定に活用できるフレームワーク、成功に導くポイントを解説

つまり、経営戦略/事業戦略はMission/Visionよりも「短期的な目標」に向けての戦略を指します。


1-3. 人事戦略(採用戦略)

「人事戦略」とは、

人事戦略とは、企業の採用活動や人材の育成・配置など、人事全般にまつわる業務やオペレーションを改善し、組織の生産性を高めていくための戦略を指します。

人事戦略とは?戦略人事との違いや策定フローを解説

経営資源である「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の中でも「ヒト」にフォーカスした戦略です。「ヒト」にまつわるさまざまな仕組みを変革することによって、企業の成長をサポートするのが「人事戦略」となります。

基本的には、「Mission/Vision → 経営戦略 → 事業戦略 → 人事戦略(採用戦略)」の順番で採用ターゲットを定め、採用活動は進みます。しかし、採用ニーズは各プロセスで発生する可能性があります。


2. 採用ニーズの発生源により抽象度が異なる


採用ニーズは各プロセスで発生する可能性があり、求めているターゲットの抽象度が異なります。本項では各プロセスの詳細を説明していきます。


2-1. Mission/Vision

Misson/Visionをもとに採用ニーズが発生する場合、抽象度が「非常に高い」です。なぜなら、実際に展開する事業が決まっていなく、自由度が高いためです。

ポテンシャライトのMission/Visionを例に見てみましょう。

 - Mission :「Grow Up Ventures」
 - Vision      :「ベンチャー採用/転職のstandardをポテンシャライトに」

「Grow Up Ventures」のMission(世界観)を創造するための選択肢は多くあります。現在は「HR」事業を展開していますが、その他の事業を展開を通してMission達成を目指すことも考えられます。また、Visionも同様に現在展開している事業以外の手段を活用してVision達成を目指すことも考えられます。

したがって、Misson/Vision起点で採用ニーズが発生する場合、抽象度が「非常に高く」なります。


2-2. 経営戦略/事業戦略

経営戦略/事業戦略をもとに採用ニーズが発生する場合、抽象度が「少し高い」です。なぜなら、事業内容は大体決まっている状態であるためです。ただ、具体的なターゲットや仕事内容までは決まっていない可能性が高いため、「少し高い」と表現しています。

以下を例に考えてみましょう。

・「経営戦略/事業戦略」から新しく「飲食事業」を立ち上げることを計画
・ただ、出店計画、業態、客層もまだ何も決まっていない状態
・社内には飲食業界のノウハウに長けた人材は誰もいない
・採用人数はまだ決まっていない

したがって、経営戦略/事業戦略起点で採用ニーズが発生する場合、抽象度が「少し高く」なります。


2-3. 人事戦略(採用戦略)

人事戦略(採用戦略)をもとに採用ニーズが発生する場合、抽象度は「低く」、これが本来の採用活動におけるプロセスです。事業内容から具体的なターゲット、仕事内容まで決まっている可能性が高いため、採用活動がスムーズに進めることができると思います。

また、採用背景としても「事業拡大に伴う、人員補充のため」や「欠員のため」など現在のメンバーと近しいターゲットを想定することが多いため、具体的なターゲットをイメージしやすいのではないかと思います。

改めて採用ニーズの発生源ごとの抽象度は以下になります。


3. 採用ニーズの発生源ごとに適した解決方法(採用手法)


では各プロセスで発生した採用ニーズに対してどのような解決方法があるのでしょうか?各プロセスで説明していきます。


3-1. Mission/Vision

Misson/Visionをもとに採用ニーズが発生した場合の解決方法は以下が挙げられます。

3-1-1. M&A

Misson/Vision達成のために必要な要素をM&A(買収や資本提携)という形で他企業と協力し、解決する方法です。

2023年は以下のM&Aが発生しました。

・ゼンショーによるロッテリアの買収
・クラウドワークスによるシューマツワーカーの買収
・フルキャストホールディングスによるグロービートの買収
・エムスリーによるMessly(英)の買収
・エムスリーによるベネフィット・ワンへのTOB

【2023年版】M&A事例と動向

これらのように、「ヒト」の採用ではなく、「企業」単位でMisson/Vision達成を目指す方法が挙げられます。

3-1-2. “既存メンバー”の強みやポテンシャル

Misson/Vision達成のために”既存メンバー”の強みやポテンシャルを軸に事業を計画・推進する解決方法です。

例えば、

・「新規事業提案制度またはそれに類する制度」を取り入れ、実際に起案を事業化
・「既存メンバーのバックグラウンド」を活かした事業展開

などが挙げられます。

「新規事業提案制度」を発案した「熱量の高い」メンバーや既存メンバーの強みやポテンシャルを最大限発揮するひとつの解決方法です。

※ご参考までに以下の記事をご覧ください。

複数年度にわたり新規事業提案制度またはそれに類する制度を取り入れ、実際に起案が事業化されている企業をピックアップしている記事です。

3-1-3. “新規メンバー”の採用

Misson/Vision達成のために”新規メンバー”を採用する解決方法です。

新しく採用した方を起点に経営戦略/事業戦略を立てていくため、採用ターゲット及び採用難易度は非常に高く予想されます。

したがって、中長期的な視点での採用を目指す「リファラル」採用やSNS採用をおすすめします。

👇難関ポジションの採用手法について、詳しくはこちらをご覧ください。


3-2. 経営戦略/事業戦略

経営戦略/事業戦略をもとに採用ニーズが発生した場合の解決方法は以下が挙げられます。

3-2-1. “既存メンバー”の強みやポテンシャル

経営戦略/事業戦略達成のために”既存メンバー”の強みやポテンシャルを軸に事業を推進する解決方法です。

基本的には「3-1-2」で記載した内容と同様ですが、既存メンバーの「異動(配置転換)」も解決方法のひとつとして挙げられます。

3-2-2. “新規メンバー”の採用

経営戦略/事業戦略達成のために”新規メンバー”を採用する解決方法です。

事業内容は決まっているが、具体的なターゲットや仕事内容は決まっていないフェーズのため、「3-1-3」同様にハイレイヤーの採用となるため、採用難易度は非常に高く予想されます。


3-3. 人事戦略(採用戦略)

人事戦略(採用戦略)をもとに採用ニーズが発生した場合の解決方法は以下が挙げられます。

3-3-1. “既存メンバー”の強みやポテンシャル

「3-2. 経営戦略/事業戦略」で記載した内容と同様に人事戦略(採用戦略)達成のために”既存メンバー”の強みやポテンシャルを軸に事業を推進する解決方法です。

3-3-2. “新規メンバー”の採用

人事戦略(採用戦略)達成のために”新規メンバー”を採用する解決方法です。

事業内容から具体的なターゲット、仕事内容まで決まっているため、他プロセスと比較すると、採用難易度は低く、以下の採用手法での解決が好ましいです。

・求人媒体
・エージェント


4. 新たな解決方法“シークレット求人”


※ここからが本ブログの本題です。

Misson/Vision、経営戦略/事業戦略起点の採用ニーズに対して「”新規メンバー”の採用」の解決方法を提示しました。主にハイレイヤーが採用ターゲットであるため、「リファラル」や「SNS」での中長期的な採用手法をおすすめしましたが、その他の解決方法をお伝えします。

それが、“シークレット求人”です。


4-1. “シークレット求人”とは

“シークレット求人”とは、

求人情報がメディア上には非公開で、なおかつ採用活動を行っていること自体もシークレットしている求人のこと

シークレット扱いの非公開求人とは?

“シークレット求人”にする理由は主に以下が挙げられます。

・人員戦略を競合他社に悟られないようにするため
・募集=社員が退職した、とネガティブイメージを与えないため
・好条件、高待遇の求人を公開する際、応募殺到を防ぐため

シークレット扱いの非公開求人とは?

また、前項でお伝えした通り、Misson/Vision、経営戦略/事業戦略起点の採用ニーズは抽象度が高く、求人票に落とし込めるほどの情報量がないのが特徴です。したがって、本施策がマッチする可能性が高いと思います。


4-2. “シークレット求人”が刺さる根拠

では、なぜ本施策がマッチする可能性が高いのでしょうか?

それは、主な採用ターゲットとなる「ハイレイヤー」の方々が抱えるインサイト(心の中に隠れた真理)を刺激する魅力があるためです。

◆Misson/Vision、経営戦略/事業戦略起点の採用ニーズ

具体的な事業内容や仕事内容が決まっておらず、新しく採用した方を起点に経営戦略/事業戦略、あるいは仕事内容をゼロから作っていただきたい

※人事戦略(採用戦略)は、事業内容から具体的なターゲット、仕事内容まで決まっているのが明確な違いです。

◆ハイレイヤー(シニアクラス)のインサイト

 - 社会的意義がある事業 / 社会課題の解決に寄与したい
 - 子供に説明をしやすい / 関わるような事業に携わりたい
 - 子供が一定いる組織のほうがその環境にいやすい
 - 家庭の事情に理解がある環境が良い
 - 業務時間は自由なほうが良い
 - 落ち着いているある程度社会人歴を積んだメンバーが多いほうが良い
 - リモート/出勤はある程度裁量があるほうが良い
 - トップダウンよりはある程度材料をいただいて自己責任主義でやりたい
 - 成長意欲を失っているわけではないが、自分のペースで仕事をしたい

👇シニアクラスのインサイトについて、詳しくはこちらをご覧ください。

上記2つを照らし合わせてみると、「採用ニーズ」と「太字で記したインサイト」が一致していることがわかります。

したがって、採用企業側のニーズとハイレイヤーのウォンツが満たされる可能性が高いため、“シークレット求人”が刺さりやすいと想定されます。


4-3. “オープンポジション”の違い

“シークレット求人”と類似する募集方法として”オープンポジション”が挙げられます。では、“シークレット求人””オープンポジション”の違いはどこにあるのでしょうか?

以下表をご覧ください。

上記表より、“シークレット求人””オープンポジション”の明確な違いは、「情報公開の有無」「応募プロセス」にあることがわかります。したがって、“シークレット求人”は限定的であり、希少性がより高いことがわかります。

また、“シークレット求人”Misson/Vision、経営戦略/事業戦略起点での求人募集に最適なのに対して、オープンポジションは人事戦略(採用戦略)起点での求人募集に最適です。なぜなら、「4-1」で記載した通り、「経営/事業戦略を競合他社に悟られないようにするため」には情報を公開せずに募集を開始する必要があるためです。


4-4. ワークする可能性が高い企業の特徴

では、次に“シークレット求人”がワークする可能性が高い企業の特徴は何でしょうか。

それは、「企業規模」あるいは「ブランド認知度」が高い企業です。

あくまで一般的な考えですが、「4大経営資源」である「ヒト、モノ、カネ、情報」が企業経営をするうえで必要な要素や能力と言われています。新規事業の立ち上げには、経営資源の投入や、事業展開に関するノウハウや情報の集約が不可欠であり、その資源が豊富であればあるほど求職者さまは魅力に感じることが予想されます。そのため、「企業規模」が大きい企業ほど魅力に感じるのではないでしょうか。

また、「ブランド認知度」も同様です。新しく参入する市場においてアドバンテージになりうる要素として「抱えているファン(会員)の数」が考えられます。。「著名な●●社が●●の事業を新しく展開する」となると、市場に与えるインパクトも大きく、魅力に感じるのではないでしょうか。

その反対に“シークレット求人”がワークする可能性が低い企業の特徴は「企業規模」あるいは「ブランド認知度」が低い企業と言えます。


4-5. ワークする可能性が低い企業の解決方法

では、ワークする可能性が低い企業にはどのような解決策があるのでしょうか。

それは、「ポジション約束」の訴求です。

具体的には以下が挙げられます。

・COO候補
・経営幹部候補
・事業責任者候補

「ポジション約束」の記載があることにより、「役職」や「決裁権」の有無、「裁量権」の大きさなどが読み取れるため、「企業規模」あるいは「ブランド認知度」以外の側面でも訴求できる可能性が高いのではないかと思います。


5. 番外編(事業内容によっても魅力の高低が変わる)


これまで「情報の抽象度」を軸に採用ニーズの発生源ごとの解決方法や新しい解決方法“シークレット求人”について説明してきました。

そこでひとつ疑問が生まれます。

「事業内容によっても魅力の高低が変わるのではないか?」

つまり、参入を検討しているマーケットに「既に他企業が進出している」のか、「まだどの企業も進出していない」のかによっても求職者さまが魅力に感じるのか否かは変わってくるのではないか、ということです。

まだ「どの企業も進出していない」場合、先行優位性が高く、市場占有率を高められる可能性が高いです。したがって、求職者さまにとっても市場に一石を投じられる希少価値の高いポジションであることを訴求できます。一方、「既に他企業が進出している」場合は市場に対して後発になるため、その点での訴求は難しくなることが予想されます。

改めて、マーケットを新しく創る事業なのか否かによっても訴求方法を変えていくことをおすすめします。


6. まとめ


改めて本ブログでお伝えした内容をまとめると下記の通りです。

・採用ニーズの発生源により情報の抽象度は異なる。Mission/Vision起点では非常に高く、経営戦略/事業戦略起点では少し高い。一方、人事戦略(採用戦略)起点では、抽象度は低く、ターゲットは明確である。
・採用ニーズの発生源ごとの解決方法は、Mission/Vision起点では「M&A」「”既存メンバー”の強みやポテンシャル」「”新規メンバー”の採用」が挙げられる。経営戦略/事業戦略、人事戦略(採用戦略)起点では「”既存メンバー”の強みやポテンシャル」「”新規メンバー”の採用」が挙げられる。
・Misson/Vision、経営戦略/事業戦略起点の採用ニーズに対して抽象度が高く、求人票に落とし込めるほどの情報量がないため“シークレット求人”をおすすめする。なぜなら、採用企業側のニーズとハイレイヤーのウォンツが満たされる可能性が高いため、刺さりやすいためである。
・“シークレット求人”は「企業規模」あるいは「ブランド認知度」が高い企業でワークする可能性が高く、それを満たさない企業は、「ポジション約束」で訴求することをおすすめする。
・また、事業内容によっても魅力の高低が変わる可能性があるため、マーケットを新しく創る事業なのか否かによっても訴求方法を変えていくことをおすすめする。

本ブログでは”抽象度が高く、情報量が少ない状態”での求職者へのアプローチ方法"について記載しました。
是非ご参考にしていただければと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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