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俳句のいさらゐ

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松尾芭蕉の俳句が、上質のエピグラム(寸鉄詩)であることを探ります。
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俳句のいさらゐ・物語仕様 ✧☽✧「松尾芭蕉/影法師①」

🎬 以下の文は、「俳句のゐさらい  松尾芭蕉『続猿蓑』より。「埋火 ( うずみび ) や壁には客…

瀬戸風 凪
17時間前
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俳句のいさらゐ ❍✡❍ 松尾芭蕉『奥の細道』その十三。「あかゝと日は難面もあきの…

🟡 あえて同じ季語の句を同じ段に並べた◈ あかゝと日は難面(つれなく)もあきの風  芭蕉  …

瀬戸風 凪
1か月前
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俳句のいさらゐ ❂◙❂ 松尾芭蕉『奥の細道』その十二。「野を横に馬牽(ひき)むけよほ…

🔶「走馬看花聞香下馬」の思い「野を横に馬牽むけよほとゝぎす」 この句から先ず連想するのが…

瀬戸風 凪
2か月前
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俳句のいさらゐ ✿◎✿ 松尾芭蕉『奥の細道』その十一。時間の奥行きを詠む

「奥の細道」の中の、名吟の特徴として、 🔷 激しいもの、苦難を強いるもの、心を落ち着かせな…

瀬戸風 凪
2か月前
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俳句のいさらゐ ◍◪◍ 松尾芭蕉『奥の細道』その十。「しほらしき名や小松吹萩すゝき…

🟡 二句一対の構成の句ではないか『奥の細道』で、7月24日に金沢を出て小松に着き、7月26日…

瀬戸風 凪
3か月前
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俳句のいさらゐ ⊡▩⊡ 松尾芭蕉『奥の細道』その九。「あやめ草足に結(むすば)ん草鞋…

🟩 あやめは、草鞋の紺の染緒の見立てか?⦿あやめ草足に結 ( むすば ) ん草鞋 ( わらじ ) の…

瀬戸風 凪
3か月前
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俳句のいさらゐ ▰⋄▰ 松尾芭蕉『奥の細道』その八。「庭掃て出でばや寺に散柳」

🌀 曽良との別離の情が句の裏にある『奥の細道』の芭蕉の句は、おそらく自然詠の句の方が取り上げられることが多いだろう。しかし、ある人物を讃えたり偲んだりした句にも、句の裏には幾重もの意味が読み取れる深い思慮があって、さらりと通り過ぎるわけにはゆかない。 今回考察する「庭掃て出でばや寺に散柳」は、分類すれば自然詠になるが、この句は長き旅の道連れ曽良と別れたばかりの、芭蕉の寂しさを抜きにしては読み取れない句だと思う。 逆に言えば、曽良との別れが前日 ( 元禄2年8月5日 ) になけ

俳句のいさらゐ ▣◙▣ 松尾芭蕉『奥の細道』その七。「閑さや岩にしみ入る蝉の声」

❃ 目に映る光景を詠む一貫した創作姿勢❂ 蝉という言葉からつながってゆくもの 今回は、『奥…

瀬戸風 凪
3か月前
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俳句のいさらゐ ◙◈◙ 松尾芭蕉『奥の細道』その六。「世の人の見付ぬ花や軒の栗」

🌕 旅から帰ると芭蕉は隠棲した⦿ 幻住庵―隠棲を望んだ芭蕉 元禄2年、芭蕉は奥の細道の旅を…

瀬戸風 凪
3か月前
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俳句のいさらゐ ☆♦☆ 松尾芭蕉『奥の細道』その五。「荒海や佐渡によこたふ天の川」

以前の記事、「俳句のいさらゐ 松尾芭蕉『奥の細道』その三」の「象潟や雨に西施がねぶの花」…

瀬戸風 凪
3か月前
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俳句のいさらゐ ☪☪☪ 松尾芭蕉の陰の句、陽の句を比べ読み

第一幕 🎦 衣装を詠む句の陰と陽 ⭕ いでや我よき布着たり蝉衣    貞亨4年夏。芭蕉44…

瀬戸風 凪
10か月前
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俳句のいさらゐ ▩▩▩ 松尾芭蕉『奥の細道』その三。「象潟や雨に西施がねぶの花」

◩◩ 『奥の細道』には、童女や若い女性をイメージさせている句が以下のようにある。 草の戸も…

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俳句のいさらゐ ⊸⊸⊸ 松尾芭蕉『奥の細道』その二。

『奥の細道』は、自然観照の中に、人生の機微や人の心の核心が漉きこまれていて、何度読み直し…

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俳句のいさらゐ ⊷⊷ 松尾芭蕉『奥の細道』その一。

俳句の深い世界へ連れて行ってくれる創作者としては、松尾芭蕉の右に出る人はいないと思っている。芭蕉の生み出す小宇宙を味わってみたい。 標題の「いさらゐ」はちいさな泉のこと。にじみ出て来る思いを、そんな古語に喩えてみた。 田植えも柳も、眼前の実景である。 「道のべに清水流るる柳かげしばしとてこそ立ち止まりつれ」と詠んだ西行を慕った芭蕉、下野国(しもつけのくに 現在の栃木県)那須郡芦野の一角に来て読んだ句だ。 立ち去るのは、植えた人なのか、芭蕉自身なのか、と読みが分かれる。私の読