俳句のいさらゐ ▰⋄▰ 松尾芭蕉『奥の細道』その八。「庭掃て出でばや寺に散柳」
🌀 曽良との別離の情が句の裏にある『奥の細道』の芭蕉の句は、おそらく自然詠の句の方が取り上げられることが多いだろう。しかし、ある人物を讃えたり偲んだりした句にも、句の裏には幾重もの意味が読み取れる深い思慮があって、さらりと通り過ぎるわけにはゆかない。
今回考察する「庭掃て出でばや寺に散柳」は、分類すれば自然詠になるが、この句は長き旅の道連れ曽良と別れたばかりの、芭蕉の寂しさを抜きにしては読み取れない句だと思う。
逆に言えば、曽良との別れが前日 ( 元禄2年8月5日 ) になけ