Essay Fragment/日々のうた織り ⑦ 紫陽花
「あなたに会いたい いつもそう思う」
詩人書家の相田みつをさんの寸言に、紫陽花の絵を添えた、いつの間にか醤油の染みもついている父の手製の一本の絵団扇は、父が遺した多くの色紙絵や額装の絵のどれよりも、私にはこころに染みる。この言葉を選んだとき、父が遠い人たちを思いやっていたこころを優しく思う。
「死んだらお母さんに会えるじゃろうか」
父は姉たち一族の集う席で、そんなことを言うときがあった。私が幼い頃に逝いた私の祖母。限りない優しさで私を包んでくれた祖母は、自分の子たちにも同じ愛