ともきんぐ

元々文章を書くことなんてしてこなかったのですが、あることをきっかけに妄想爆発。時々オリ…

ともきんぐ

元々文章を書くことなんてしてこなかったのですが、あることをきっかけに妄想爆発。時々オリジナルもありますが、朝ドラスカーレットを中心に妄想二次小説を書いています。妄想なので、本編とは全く関係ありません。 とても短い話なので、よかったら読んでください。

マガジン

  • じゃがいも〜9ボーダーより〜

    ドラマ9ボーダーより、家族を探しに北海道に行ったコウタロウの話を書きました

  • つよがり

    松下洸平君のデビュー曲つよがりから派生したお話を集めてみました。 「つよがり」の歌詞から広がるみなさんの世界が素晴らしいこと、素晴らしいこと。

  • 恋と愛〜最愛サイドストーリー〜

    ドラマ最愛の優の初恋の話です

  • 松下洸平ツアーP2Pより

    松下洸平ツアーP2Pより、セットリストからお話を書きました。

  • 体温より

    松下洸平さんのシングル、体温からインスパイアされたお話です。

最近の記事

短編小説:じゃがいも(4)~ドラマ9ボーダーより~

次の日の明け方、私は農作業の準備のため日が昇る前から起き始めていた。 外を見ると、コウタロウさんが、テラスにいるのが見えた。 「おはよう」 後ろから声をかけるとコウタロウさんは振り返り、溢れんばかりの笑顔でおはようと返してくれた。 「何してるの?」 「綺麗だなあって思って。この、夜と朝の境目ってホッとするんだ…僕みたいだなって」 「僕みたい?」 「うん。夜なのか、朝なのかすごく曖昧。どっちでもないこの境目。僕みたいにはっきりしない」 コウタロウさんは立ち上がり、

    • 短編小説:じゃがいも(3)~ドラマ9ボーダーより~

      「こーちゃろーー」 「なになになにーw」 翔太がコウタロウさんに襲いかかる。 すっかり仲良しになった2人は、いつでも2人でいた。 親子というより、兄弟のようだった。 あれからコウタロウさんは、初七日まで私達家族に付き添ってくれた。 こうたろうさんが居てくれたお陰で、私は、広大に「おかえり」を言うことが出来た。 まだまだ気持ちが落ち着くことは無いけれど、日常が戻ってきていた。 「こーちゃろー、パパ?」 夕飯を食べているとき、翔太が突然そう言い出した。 「え?」 そ

      • 短編小説:じゃがいも(2)~ドラマ9ボーダーより~

        北海道に留まると宣言したコウタロウさんを、私は状況が掴めず、ボーっと見つめた。 「びっくりしますよね。自分でもびっくりしてます。あの、踏み込んだ事を言いますが、聞いてください」 私はしっかりとコウタロウさんを見つめた。 「これから、広大さんを引き取って、葬儀告別式など行うそうです。きっと、その場に集まる人達がお母さん……?奥さん?えーと、なんて呼べば良いかな。こういう時の選択肢が苦手で」 「みどり」 私は少し笑いながら、自分の名前を小さく告げた。 コウタロウさんは、

        • 短編小説:じゃがいも(1)~ドラマ9ボーダーより~

          一通りの家事を終えて、孫の翔太を寝かしつけた後PCの電源を入れる。 そのまま慣れた手つきで警察のデータベースに進む。 行方不明の息子の消息を探す為だ。 息子が突然消息を絶ったのは、2ヶ月ほど前。 幼い息子の翔太を家に残したままだった。 それからというもの、私たち夫婦は藁をもつかむ思いで、毎日毎日色々な所に聞き込みに出かけ、そして同時に警察の行方不明者データベースで息子が発見されていないかと調べる毎日だった。 何が原因なのか、どうしていなくなったのか。 可能性はいくつも考え

        短編小説:じゃがいも(4)~ドラマ9ボーダーより~

        マガジン

        • じゃがいも〜9ボーダーより〜
          4本
        • つよがり
          22本
        • 恋と愛〜最愛サイドストーリー〜
          4本
        • 松下洸平ツアーP2Pより
          11本
        • 体温より
          9本
        • 写真集「体温」より
          5本

        記事

          短編小説:やわらかもん(5)

          「社長、これを見てほしいんです」 新しい市松屋店舗の看板商品の為、チーズケーキの開発をする中で、まさかのチーズが苦手な事を告白した和樹に「チーズが苦手な人間でも食べられるチーズケーキを作れば良い」と陸太郎は事も無げにそう伝えた。 言葉はとても簡単だったが、それは想像をはるかに超える難儀な作業だったが、それを乗り越えて出来立てのチーズケーキの販売に目途がたった頃、和樹は陸太郎に1枚の絵を見せてきた。 「なんやこれ」 にこやかに笑うおじさんの笑顔のイラストだった。 「社長

          短編小説:やわらかもん(5)

          短編小説:やわらかもん(4)

          自分はこの『市松屋』で何をしたいのか?何が足りないのか? 自問自答の日々が続いた。 あまりに考えすぎて、身体はどんどん硬くなり、頭はガンガン痛くなる。胃もキリキリと痛くなり所謂満身創痍、と言う状態になっていた。 そんな中、野田が会社の帰りにご馳走してくれると誘ってくれた。 正直、そんな体だった為、何か食べ物を食べたい。そう言う状態ではなかったが、野田に誘われるとなんだか断れない和樹がいて、素直についていった。 連れて行かれたのは、メニューが肉うどんのみしか無い古びたお店

          短編小説:やわらかもん(4)

          短編小説:やわらかもん(3)

          「あかん。無理に決まっとる、お父ちゃん気でも触れたか?!」 息子の和樹が、青ざめた顔で隆太郎にそう訴えた。 それは、パン事業の危機を数年かけて乗り越え、市松屋の新たな支店を難波にどうですか?と言う銀行からの打診に応え、隆太郎が出店を決めた、その翌日の話で、隆太郎はその店を、息子の和樹に任せる。そう言い出したのだ。 「お父ちゃん、第一俺、まだ大学生や。働いたこともない。そんな人間になんで任せられる?」 あわてる和樹に、隆太郎はにっこりと笑う。 「お父ちゃんかて、アホやな

          短編小説:やわらかもん(3)

          短編小説:やわらかもん(2)

          あったかいの食べたら、うまいんちゃうかなーと言う、少年の何気ない言葉に、隆太郎は雷に打たれたような感覚になった。 そうや、そうや!そうや!!そうや!!! 何で自分はお菓子を作っているのか? 幼い頃屋台で食べた玄米パンが出来上がる過程を見つめながらワクワクしながら食べた、あの時の自分のような顔を見たかったから。 そして、奉公先で初めてカステラを食べた時のあの柔らかい食感が忘れられなかったから。 お菓子は、出来立ての温かい時と、少し時間がたって冷めた時では別物のように味が変

          短編小説:やわらかもん(2)

          短編小説:やわらかもん(1)

          カランカランカラン!! 焼きたてのチーズケーキの出来上がりに鳴らす鈴の音だ。 お客様は、その音を聞くだけで、あのチーズケーキの柔らかい感触が、口の中いっぱいに広がるとおっしゃってくださる方が多い。 ありがたい ────────ありがたさと共に、僕はその音を聞くたびに、自分がリヤカーを引いて、洋菓子を手売りしていたあの頃を、思い出す───── 昭和31年 世の中は好景気に湧く中、隆太郎は1人打ちひしがれていた。 リヤカーの中にある売れ残った菓子たちを眺め、ため息をつく。

          短編小説:やわらかもん(1)

          短編小説:花が好きな君とそうでもない僕〜YOU&MEより〜

          花屋に勤める君が、すごい花束を抱えて僕のところに来た日を今でも鮮明に覚えてる。 なんなら、花束の花の色までしっかり覚えてる。 それくらいの出会いだった。 部屋の扉を開けると、視界いっぱいに広がる花束が僕を出迎えていた。 「おめでとうございまーす!」 え? おめでとうございます?  なにか祝われるような事があったかな? 僕は眠い目を擦りながら、それでもと朧気な記憶を掘り起こすが、そんな出来事はひとつも思い出せなかった。 「あ、えーと」 「すごいですねー!こんな大きな

          短編小説:花が好きな君とそうでもない僕〜YOU&MEより〜

          短編小説:くらげ〜いちばんすきな花・君を想うより〜

          クラゲは自分で泳ぐことができる。 できるけども、波の力に打ち勝つ事はできず、結局ゆらゆら波に揺られて漂っている様に見える。 でも、実は必死に泳いでいるのだ。 そう見えないだけで。 俺と純恋のようだ。 俺と純恋はトモダチだ。 思い出しても何の話をしたか思い出せないような話をしたりする事ができるし、自分の恋人にも言えないような事を言えたり言われたりする。 もちろんそれで喧嘩したりもするけど、いつの間にかまた元に戻って、何の話をしたか思い出せないような話をする。 だから俺たちは

          短編小説:くらげ〜いちばんすきな花・君を想うより〜

          短編小説:手が届く月(3)〜いちばんすきな花より〜

          久しぶりに2人で向かい合う。 私と椿君が住むはずだった家。 私がこだわって決めた家具たち。 そのソファに、私の知らない3人が座っていた。 それだけで、そこはもう、他人の家だった。 椿君の言葉を聞きたくて、勇気を振り絞って一度来たときは、荷物を纏めるだけで精一杯だった。 最後に「私に言う事ない?」って聞いてみたけど「駅まで送ろうか」と言う、ある意味見当違いな答えだった。 ああ、私ばかりが話をしていたから、いざ話そうとするとこんなにも話せない2人になっていたんだと、現実を突

          短編小説:手が届く月(3)〜いちばんすきな花より〜

          短編小説:手が届く月(2)〜いちばんすきな花サイドストーリー〜

          「純恋??」 森永君に話しかけられて、私はハッとする。 友人の森永君に誘われてご飯を食べて、少し散歩をしていたのだ。 私たちは小さな公園にたどり着いていて、そこには池があった。 今日は月がキレイで、水面に月が映り込んでいた。 「純恋も結婚しちゃうんだなあ。仲間で最後まで残った2人だったけど、ついに俺もひとりぼっちか」 そう言って森永くんは池に石を投げた。 「ぽちゃん」 と言う音と共に、池の月は割れて粉々になる。 「寂しい?」 私は森永くんの隣に座り込む。 「

          短編小説:手が届く月(2)〜いちばんすきな花サイドストーリー〜

          短編小説:手が届く月(1)〜いちばんすきな花より〜

          小さい頃、うんと高いところに登れば、月に手が届くと思ってた。 夜になったらジャンプして月に乗り移ってウサギと一緒に餅つきをする。  そんな事を本気でできると思ってた。 いつかな。 そんなこと、出来なんいんだよ。 そう思うようになったのは。 そんな事が出来ないと知ってから、私はそんな空想をしていた自分を封印した。 恥ずかしいとさえ思った。 いつの間にか純恋と言う名前でさえ、恥ずかしくなっていた。 『純粋に恋をする』なんて、いつまでも子供でいなさいと名前に言われているみたい

          短編小説:手が届く月(1)〜いちばんすきな花より〜

          椿の花言葉〜いちばんすきな花サイドストーリー〜

          「あの花を私と同じくらい愛して」        ────オペラ「椿姫」より 椿の花言葉には、「控えめな優しさ」「控えめなすばらしさ」などの言葉がある。 控えめ、控えめ。 まさに僕の人生を表していた。 昔から大人数が苦手で、大人数になるとマフラーを何重にも首に巻いて、息苦しい上に身動きが取れなくなってしまったかのように、その場でただいるだけの人間になってしまう。 でも、変に思われたくもないので、ニコニコと笑っていられる術は、いつのまにか身につけていた。 そのニコニコは、一

          椿の花言葉〜いちばんすきな花サイドストーリー〜

          短編小説:初恋じまい(3)〜体温より〜

          さっきまで抜けるような青空だった沖縄の空が、雲で覆われていた。 「あ、いつの間にか対流雲が出てる。雨降るかもしれない」 紗和がそう言ったと思った瞬間、雨がポツポツと当たってきた。海から上がる頃には、大粒の雨が降ってきていた。 「ちょうど良いな。天然のシャワーだ」 そう言って俺は両手を広げた。 その姿を見ながら、紗和が穏やかな顔をしていた。 「これが、浅い対流雲だよ。温かい穏やかな雨を降らすんだ。ね、敏樹みたいでしょ?」 「俺?」 「うん。今の敏樹の笑顔は温かい

          短編小説:初恋じまい(3)〜体温より〜