僕らのオールシングスマストパスについて

今年の1月5日に配信リリースした、海の散歩の「僕らのオールシングスマストパス」というEPを、台湾の bvbvhoo records 協力の元CD発売することとなりました。

その機会に乗じてEPについて振り返ってみることにしました。所謂セルフライナーノーツ的なものです。個人的にはセルフライナーノーツを読むのが好きなので、乗るしかない的な気分でした。


制作の進め方

下記のような手順で行っていました。

  1. 郷古が自宅で曲のデモと歌詞を作って共有する

  2. スタジオで歌詞の譜割の認識合わせやコーラスアレンジを考えながら仮歌を録る

  3. ギターとベースの本テイクを録る

  4. 歌の本テイクを録る

歌録りに関しては共有していた歌詞が最新のものじゃなかったり、メロディに対して歌詞の文字数が多いということが頻発していました。美音さんの対応力に感謝しています...(郷古)

制作時期

2022年12月 〜 2023年10月の間に断続的に録音を行いました。また曲の制作に関しては、M-1 滲む青い遊泳の歌詞とM-3 魔法とは以外の曲は2023年7月までには完成していました。

制作期間の大半が所属しているバンド2つの制作と被っていて大変でしたが、時間がない状況だからこそ有効に時間を使おうと思い制作を進められたのかもしれないなと思います。今は時間がありますが、なかなか作業が捗りません。作曲でいうと2023年に 魔法とは と Small Baseballの2曲を作って以降、今年の2月まで曲が出来なかったので、そういう時期に入っているのかもしれません。(郷古)

使用機材

マイク: 
SHURE SM58
・リハスタのものを借りて使用しました。
A I/F: Steinberg UR-RT2

エレキギター: Fender Japan Stratocaster(2005年製)
アコースティックギター: 2012年くらいに島村楽器で3万くらいで買ったもの
エレキベース: フェルナンデスのプレシジョンベース・中古で2万くらいで購入

エフェクター:
・1x telescope - Downpour (M-1,3で使用)
・BOSS - FZ-1W (M-1で使用)
・BOSS - MD-2 (M-3で使用)
・ELECTRO-HARMONIX - RAM'S HEAD BIG MUFF (M-6で使用)
・STRYMON - blueSky (M-6で使用)

プラグイン:
・アンプシミュレーターはBIAS AMPを使用しています。他は大体Logicに付いてきたものを使用しました。その他ボーカルにWavesのScheps、空間系はVallhalaのSupermassive辺りをよく使いました。

各曲について

1 滲む青い遊泳

2022年11月頃に歌詞以外が出来ました。RideのTwisterella、ART-SCHOOLのフローズンガール、M83のGraveyard Girlをオマージュしています。

この曲に限らずコーラスを入れている曲がありますが、特にそれがハマった曲かなと思っています。

全体の音像がなかなか良い形にならず、ミックスが一番大変だった曲です。(郷古)

今までの曲と比べ少し明るめな曲調だったので1番元気のあるイメージで歌いたいなと思った曲です。

なのでサビ辺りは特にがっつりめに歌わせていただいてます。なのでこの曲を歌ってる時は爽快な気分でした。コーラスワークの部分が、とても好きな曲です。(美音)

2 君の彼方

2022年11月の休日に、オルゴール化したら映えそうなドリームポップ的な曲を作ろうとなんとなく制作し始め、半日くらいで曲とアレンジの大半が出来ました。

また、歌詞がないデモの段階で 君の彼方 という仮タイトルが付いていたのですが、Small Baseballの制作に参加して頂いた黒澤さんのソロアルバム「彼方」や、制作の2ヶ月くらい前に観ていた frozen frog の 「彼方の白」Release Live の影響があると思います。

録音したいくつかのコーラス音源を整理するため、アウトロの最後の最後に移動させておいた状態で聴いたところ、それがよかったので採用しました。
海の散歩として初めての録音はこの曲とFarewellで、EP制作を見据えた初めての制作でした。(郷古)

海の散歩、初レコーディングのイメージが強いです。歌詞をしっかり聞き取れるようにしたいと思い、 はっきりめに強調しながら突き抜けていくような声を目指して歌わせていただきました。

最後の歌詞、「その彼方まで」という部分の高音をしっくりとはめる事ができるか心配だった事もありました。今でも歌ってみてと言われたら最後の部分は緊張感がでてきそうです。

これを機に、もっと裏声ではない高音を突き抜けるような歌い方をしたいと思わされた大事な1曲です。(美音)

3 魔法とは

2023年2月頃に曲のイメージが浮かび、そのイメージに沿うように弾き語りでメロディーとコード部分を作り、仮のオケを8月頃作りました。

君の彼方から始まったEPの制作は、この曲の最後の2行の歌詞に行き着いたことで、終わりを迎えることができたと思うことができました。君の彼方と並んで特に気に入っている曲です。

年々こういったミドルテンポでアルペジオが沢山鳴ってる穏やかな曲が特に自分に馴染むようになっている気がします。美音さんの柔らかい歌い方が曲の雰囲気を作ってくれました。(郷古)

この曲は繊細なイメージがあったので力加減を抜いて柔らかめに歌わせていただきました。リズム感が1番苦戦していた曲です……

個人的に1サビ終わった後のギターの部分、その後の歌詞がとても好きで、この曲は苦戦したところもありましたが本当にお気に入りの曲です。どれも選びきれないところはありますが…(美音)

4 Saturdays Youth

2022年11月頃に歌詞以外が出来ました。曲の展開や雰囲気が好きで気に入っていましたが、当初はユニットでやる感じの曲じゃないかなとボツにしようかと思っていました。

どの曲も美音さんのボーカルが入る度凄くいい感じになった!と思うのですが、この曲は特にそう思いました。(郷古)

全体的にシンプルめに歌わせていただきました。サビ辺りの高音を聴かせたかった曲です。映画のエンディングテーマに似合いそうだなと勝手に思っています…笑

この曲に関しては、レコーディングでは私の中でシンプルめに歌わせていただいたのですが、これから聴いていただける機会があるとしたら、シンプルかつ、切なさ寂しさをもう少し表現できるようになりたいなと思っています。(美音)

5 After the Daydream

2022年3月頃にイントロ ~ サビのデモが出来ていて、そこからAメロとサビを作り直し2022年10月頃に曲は出来上がりました。

自分の好きなAlvvaysやフォトハイ、Rocketships辺りのギターポップ感を出したくて作った曲です。イントロのフレーズが難しく、通して弾けません。

途中めちゃくちゃ歪むところがありますが、自分の曲が採用された Moon In June の Robert という曲でも同じような展開があったりと、そういう仕掛けを作るのが自分は好きなんだろうなと思います。(郷古)

曲や歌詞が可愛らしい印象だったので歌もそれに合わせて少し可愛げある感じをだせたらなと思っていました。
この曲に関しても力まずに歌わせてもらってます。 サビの「紡いだ糸を渡るのは」の「わ」の音を特に力を抜いて裏声で出せるように意識をしました。ラスサビも同様。(美音)

6 Farewell

一番古い曲で、サビ部分に関しては2017年秋頃に作ったものです。イントロで鳴っている2つのギターフレーズが綺麗に重なるよう試行錯誤した記憶があります。

複数のフレーズが近づいたり離れたりするミッドウェストエモ的な感じのものを作るというテーマがあり、少しそういった雰囲気があるかもしれないです。

アウトロはギターのフレーズにメロトロンを重ねていますが、僕が参加しているscarfilというバンドの鍬形君のアドバイスを参考にしました。(郷古)

まだ海の散歩が結成する前にfarewellを聴いて郷古さんの曲と歌詞の世界観に惹かれたので私の中で思い出の1曲です。

これからも海の散歩のボーカルとしてやらせていただく事ができてとても嬉しく思います。(美音)

7 Small Baseball

2023年2月頃にGecko & Tokage Paradeの黒澤さんと一緒に作りました。非常に攻撃的な轟音やマリンバのアレンジ等、自分ではやらない、思い浮かばないアイデアを入れて頂きました。

レコーディング作業は、曲の全容が固まっていない状態で開始して半日もかからずに完成しました。音楽を生業としている人の凄みをまざまざと感じました。

また、レコーディングは N.R.H.D studio で行いました。エンジニアのゴトウダさんにも色々ご対応頂き心強かったです。
(郷古)

終わりに

いざ書き出してみたら、何を書けばいいかわからなくなりました。
読むことが好きでも、書くことはまた別ですね。

EP名の「僕らのオールシングスマストパス」がこのEP自体やEPに纏わることを表しているのではないかと思っています。
制作を開始してからずっとタイトルを考えていましたが、割と長いことしっくり来るものが浮かばなかったので、そう思えるタイトルをつけられてよかった。

自宅とリハスタの往復で作られたこのEPをCDプレスしてくれたbvbvhoo records、そして聴いてくれた皆様に感謝しています。ありがとう。(郷古)

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