服を買う基準は、ハッピーな心。



頭から被るワンピースが、ストンっと肩に落ちるときの気持ち。

あれはきっと、高揚感。

ワンピースを着て過ごす日の私は、いつもより背筋を伸ばしている気がします。


平日は仕事用、オフィスの中に溶け込める服を選んで着ています。だから休日は、家から出なくても、ワンピースを着ていたかったりするのです。


ワンピースは、女性らしさの象徴とされたり、モテる服と称されることが多い印象です。

けれど、私はその反応がなんだか苦手です。
私にとってワンピースは、女性らしさの象徴でもなく、モテる為の衣服でもない。


身に纏うと、気持ちがハッピーになるもの。
ただそれだけなんです。



メルボルンの郊外にある洋服屋さんで、私は口角を上げて目を細め目尻を下げながら、心の中をあたふたさせていました。

脳内をフル回転させて考えていたことは、


“さて、どうやって断ろう?”



3着も試着してしまったから、どれか買わなきゃいけない気がする。

でもなぁ。正直どれもピンとはきていない。買うのなら、今履いているジーンズかな。

店員さんのにこやかな笑顔に、申し訳なさは増していきます。



「今はセールでね、20%OFFになるの。それはフランス製のジーンズ。その形はラスト1点ですよ。」


セール価格、フランス製、ラスト1点。

購買意欲を掻き立てる三拍子が、揃っている。


買うなら今がお買い得だし、フランス製の服ってだけでお洒落になった気分になれるし、ラスト1点に出逢えたのかと思うとなぁ。


確かにこのジーンズは、私が隠したい部分をカバーしてくれている。でもカバーしすぎというか、何というか、スッキリ見えない気がする。

鏡にうつる自分の姿に、どこか納得がいかないというか。

断る理由を悩む私が、あたかも購入するか否かを悩んでいるかのように演じていると、店員さんが口を開きました。


「確かに、今セールでお買い得なんだけどね。
それよりも大切なことは、この服を着たあなたの心がハッピーになるかどうかだよ。」

「それが、いちばん大切なこと。」


20代前半は、仕事のストレス発散方法が服を買うこと、になっていたりもしました。現在より沢山の服を所有していたし、服を着ることではなくて、服を買うことが目的の買い物になっていたなと思います。

おしゃれを楽しみたい、という純粋な服への愛ではなかったなぁ。

そして、スーツケースひとつに詰め込めるだけの服で1年間を過ごしてみて気付いたことは、私にはそんなに多くなくていい、ということ。



小学生の頃、私はおばあちゃんになったら、どんな服を着てどんな髪型をすればいいんだろう?と、割と真剣に考えたことがあります。

自分の祖母と似たような服装をするのかな?彼女と同じようなベリーショートのパーマは似合わない気がするなぁ。という具合に。

けれど、そんな迷いとも、もうおさらばです。


年齢も、性別も、関係なく、


鏡にうつる自分の姿を見て、ハッピーになった?

この服で街を歩く自分を想像して、わくわくする?


その答えがYESだったのなら、私は服を買おう。服を買う基準は、いつも心に確かめよう。


身に纏ってハッピーになる服を着よう。


じっくり読んでいただけて、何か感じるものがあったのなら嬉しいです^^