マガジンのカバー画像

恥と外聞

12
何考えてるか分からん奴は大抵何も考えてません。
運営しているクリエイター

記事一覧

我思う故に

1人じゃないと生きていけない私に、死なないで欲しいという人が嫌い。

ただ、私が毎日着ている服を見て、人知れずその素材を調べてくれるような人となら、たぶん生きていけるような気がする。

消しカスなんて見当たらない机の上で、とんとんとんと、束ねた紙を揃えている。

3回同じ壁にぶつかると、私たちは進路を変えるから。

黒目を平たく潰すように、笑うようにしている。

奥歯がよく見える人は信じられないか

もっとみる

勘違いをする人がいるから言っておくけど

寝たら全て忘れるんです、と、言葉にする人。

今日はそんな人の前で、いいですねと笑っていました。

そういう人でいたいは、そういう人といたいという思いじゃないかなと、そういうことを考えている。

勘違いをする人がいるから言っておくけど、私の話じゃないからね。

例え、そんなことはありえないかもしれないけど、私のことを好きだという人がいたとして。

そういう人でいたいは、そういう人といたいということ

もっとみる

履歴書

例えば、ちょっと気になってた人が、もしかしたら好きな人に変わったかもしれなくて、恋になったかもしれなくて、そうしたら愛になったかなってやつとか、そういうのはきっと、どこかで誰かの縁になってる。

質量保存の法則。きっと世界にある幸せの量は決まっていて。

僕の動き一つ、または僕を動かす理由はもちろん自分の運命を変えるけど、他の人の運命も変えている。

僕が受け取るはずだった幸せだって、誰かに渡って

もっとみる

梅雨に向けて

この世の中に絶対なんてないというけど、全てのことにははじめの一歩がある。

あなたが何を言いたいか分かるよ。だけど、これは絶対だと口に出したいことにさえ、理由があるじゃない。

そこから生まれた首尾一貫だとか、そんな言葉が頭上でミミズのように這い回っている。だからアタシはどっちかといえば、足元に転がっている竜の頭や羊の頭の方を拾い上げたい。

全てのことには、はじめの一歩がある。それを模って一つず

もっとみる

アゴラみたいな私の友達

背中の真ん中くらいまでしか届かない手を、藁を掴む時くらい伸ばして。

そのあと、後ろの襟を合わせて、左手でつかみ上げる。上から右手を背中に下ろして、人差し指と親指でつまむ。

薄暗い部屋に隅々まで広がった静寂を、じっ、じっ、じ、という音が噛んでいく。どんどん上がりづらくなっていくのはそのせいだと気付いて、指の先に脱力感が広がる。そっちの方が上手く上がったり。

じ、じ、じ、

自分の体から1番遠い

もっとみる

履歴書

28歳の恋だから。

遠くから投げられた小石でちょっと方向が変わるみたいに、少しの角度が到着点を決めるみたいな恋愛になる。どうしても。

ただ、そこからあまりにもまっすぐ歩いてきたから、振り返った時にすこしだけ、小石が当たった点が見える。角度がついた場所が見える。

真っ直ぐ丁寧な道を振り返る。そこで角度をつけて良かったんだろうか。

あなたのことをずっと思っていた。

でもそんな夕焼けみたいな思

もっとみる

賞味期限なし

いつも、息が、言葉が、身体を離れた瞬間に壊れる気がしている。

なにもかも、空気に触れて、酸化する。

自分の胸に、喉に、耳の後ろにあった時とは色も形も変わっているけど、目の裏にふわふわ浮いているこれを渡すしかないみたい。

ずっと、言葉以外の方法を考えている。

体の中心で生まれたものを、拾って、重ねて、そのままの姿で包んで、あなたの身体に埋められたら。

そんなことはできないから、お腹に、背中

もっとみる

納豆混ぜれば混ぜるほど美味しくなる教

「最近納豆混ぜてる?」

「まさかそれ独り言?」

「な訳ない。混ぜてる?」

「混ぜてるよ」

「本当に?」

「『本当に?』」

「、、、最近、納豆混ぜてないことにふと気付いた」

「今?スタバの待ち時間で?」

【いらっしゃいませ、ご注文お決まりですか?】

「、、、、、、」

「紫芋」

「あっ紫芋の、、、」

「スタバ注文する前にスタバ以外のこと考えられるようになったんだ」

「うん?次

もっとみる

月が綺麗ですね

【白味噌は嫌い?】

「、、、」

「、、、だめ?」

「味噌汁ね。毎朝作ってくれるってことね」

「一応実家は白味噌だったし」

「あれでも今日のやつが白味噌?」

「いや。別にその辺に売ってた普通のやつ」

「何でもいいんじゃん」

「強いて言うならってこと。ちょっと趣ある感じがいいんでしょこういうのは」

「、、、次の日から白味噌で作ってくれんの?」

「ええ、、別にそこまで考えてないよ。単

もっとみる

こういう女を抱きしめて生きたい

振り返らない。

昔から、自信はないのに引っ込みがつかないタイプではあった。

振り返らない。

幼稚園とかからあった。
感情に任せて踵を返した後、世に言う全集中で視界の端に注意を向けても、絶対に届くことのない後方160度はその瞬間、どんな場所よりも遠くなる。なのに、認識できるはずがない後頭部の向こうから刺してくる視線は、首が回らないように私の頭をぐっと押す。

振り返らない。

去り際にぎこちな

もっとみる

居酒屋で聞こえてきた幸せになれなさそうな寂しい女

「水の中で泣いている人に気付ける人間になりなさい」って、頭弱くない?

わざわざ水の中で泣いている人は、きっとそこで泣いてるなりの理由があるよ。気付いて欲しい人はそもそも水の中で泣いたりしないでしょ。

ーーーーーーーーーーーーーーー

無理しないでいいんだよって言葉って嫌い。なんか、【あなたが無理してることに気付いてあげられる私】に酔ってるみたい。

別に、無理をしない私の代わりにそっちが無理し

もっとみる

私の友達の話なんだけど

届いて欲しくはないけど、伝えて欲しいような気もする。

忘れたいような気がするけど、ずっと大切にしたいような気もするし。

鈍感で優柔不断な私の一滴が、じわっと広がって、シミになって、取れなくなったらどうしよう。そんな話をどこかで聞いたよ。

もし、私の気持ちがあなたに届くなら、部屋の掃除を少しだけしてね。

観葉植物に水をやってね。

タオルを綺麗にたたみ直して、日光が当たらないように本棚を少し

もっとみる