CBTで97%を獲得した勉強法
CBTは全国の医学科の学生が臨床実習に出る前に行われる試験です。computer based testingの略で、実際にコンピューター上で出題される問題に答えていく試験になります。
合格をすれば晴れて臨床実習に出ていくことになるのですが、意外と"CBTだけは良い点を獲得したい!"という学生も多い印象があります。
医師になってしまえば話題にのぼることもないCBTですが、確かに良い点をとっておくと、自信を持ってその後の臨床実習に臨めるかもしれません。
また、その先に続く国試に向けた勉強の土台になるので、生活に切羽詰まっていない限りはある程度力を入れて勉強することをオススメします。
ということで、今回はCBTでできる限り高得点を獲得するための勉強法を経験談を交えながら考えてみます。
私の成績
得点率は97.17%でした(大学/個人情報に関連する部分は白抜き)。
全国的に見ても高得点を獲得できたのではないかと考えています。
CBTの基本情報
①モデル・コア・カリキュラムから出題される
医学教育モデル・コア・カリキュラムと呼ばれる学修目標から出題されます。とにかく、出題範囲が決まっていることを知っておきましょう。
医学は膨大な情報量を有する学問であり、例えば"この疾患ってCBTに出るの?詳しく覚えなきゃダメ?"という疑問の答えになります。
②プール問題のみ採点対象となる
全部で320問も出題されますが、240問がプール問題で80問が新作問題です。
新作問題は採点対象に含まれず、その正答率などを確認したうえで翌年以降のプール問題になります。適切な正答率とならない新作問題も多数あるため原則として本番は難しく感じます。
このように本番では"既出の適切な正答率であったプール問題のみ"で採点することになります。そのため、テスト直後の手ごたえと実際の得点が解離して、手ごたえより実際の得点が高いことが多いと言われています。なお、プール問題は万単位であり全てを網羅することは不可能だと考えられます。
③合格基準
最低合格基準はIRT 359(得点率 約65%相当)で、大学ごとに合格基準が設定されます。
自分が受験した際は"7割以上で合格!"という認識の人が多かったです。
IRTは問題の難易度も考慮した数値で、各人が解く問題が異なるCBTならではの評価基準です。
※今後は試験公的化に伴い、合格基準が全国統一となる可能性があります。
90%以上を目指す勉強法
①努力すれば誰でも達成可能な目標
個人的な意見になりますが、90%以上であれば適切な勉強法で誰でも達成可能だと思います。
後で述べるように"95%以上"とか"学年1桁順位のような相対的な目標"はモチベーション維持といった観点ではよいですが、精神的に負荷がかかります。
"苦しむほどの努力は嫌だけど達成感も得たい"という方は90%以上を目標にしてみることをオススメします。
②勉強開始の時期
90%以上だった友人は、6か月前あたりから勉強を開始している人が多かったです。なお"合格のみ"を目指すのであれば2か月前からで十分だと思います。
③勉強法
"クエスチョン・バンク(以下QB)を解いて解説を読み、その疾患の病気がみえるの該当ページを参照する"というシンプルながらも王道の勉強法が90%以上を目標とする場合に最も効率の良い勉強法だと思います。
この際に是非オススメしたいのが、"レビューブック"を併用して各疾患/事項の説明欄に追加したいと思った内容を書き込んで、自分だけのノートを作ることです。特にマイナー系, 小児科, 産婦人科, 公衆衛生はレビューブックの使用をオススメします。
基礎医学を極めるのは、後述するように95%以上を目標とした場合のみです。90%以上を目標とするならば、QBの問題を解いて解説を読みこむだけで良いと思います。ただし、理解できない部分があったら参考書やネットで適宜調べましょう。
6か月前からコツコツやれば、ゆっくりな人でもQBを2周はできると思います。3周目は間違えた問題のみを解くなど苦手な部分に注力するようにしましょう。また、直前期は問題を解くというよりも、問題で出てきた疾患/事項のレビューブックをその都度見返すと良いと思います。そこには自分が有用だと思い追記した内容も書かれているはずなので、1問解くだけで複数問の価値があると思います。
私が考える90%以上を目指す勉強法はこれだけです。シンプルながら王道の勉強法を手堅くできればいけると思うので、是非頑張ってみてください。
95%以上を目指す勉強法
①かなり厳しい目標
この記事は、私がCBTを終えた直後に勉強法や感想を記したメモをもとに作成しているのですが、"95%以上を目標としたが、精神的にきつかった"と感想が記されていました。。。
その理由は、単純に難しいことと身体や精神の健康を少なからず犠牲にする必要があると感じたからです。
②勉強開始の時期
基本的には早ければ早い方が良いと思います。
n=1で恐縮ですが、私自身は8か月前からはじめました。
ちなみに、私は基礎医学を含めて毎回の試験で90%を下回ったことはあまりなかったので、普段から勉強を真面目にするタイプではなく、それでも95%以上という高い目標を掲げる場合は更に早くから始めた方が良いのかもしれないです。
後述のように95%以上を目指すなら基礎医学が差を分けるので、基礎医学から勉強を開始することをおすすめします。基礎医学にどれだけ時間を割けるかが、重要なポイントになるためです。
※90%以上を目標にするのであれば、むしろ臨床医学から手堅く押さえていく方が良いと思います。
③基礎医学を仕上げる
勉強が進んでくると、"臨床医学の問題はキーワードやパターン認識も多い"ことに気付いてくると思います。一方で、基礎医学は知識がないと全く太刀打ちできません。雰囲気だけでも解けることの多い臨床医学の問題とは毛色が異なってきます。
従って95%以上を目指すのであれば、"差を分けるのは基礎医学"という意識を持つことが重要です。
勉強法については様々な方法があります。近年の傾向を踏まえれば、各予備校の対策講座を受講するのもよいと思います。私自身はQBで問題を解いたら、問題に関連する部分を参考書で勉強し、ノートを作成していました。
参考書は過去に授業で使用したもので良いと思いますが、下記の2冊は特に役立ったので推薦させていただきます。
"人体の正常構造と機能"は解剖学+生理学で非常に理解しやすく、問題を解くうえで最も役に立った参考書と記憶しています。
"ラングマン人体発生学"は言わずと知れた発生学の名著です。発生学は基礎医学でも特に難しかった印象があり、この参考書が勉強の役に立ちました。
④プール問題数を稼ぐ
この項については、個人的には95%から97%までの得点率上昇に寄与したのではないかと考えています。③までで95%を目指せると思うのですが、残り5%程度はどうしても初見だと解けない知識問題が存在していると思います。この対策として、とにかく大量のプール問題に触れるという方法が良いと思います。
勉強時期が早ければQBは少なくとも2周はできると思います。3周目は誤った問題のみを解くことを推奨しますが、それでも時間が余る人が出てくると思います。
この時にオススメしたいのが、QBを更にもう1周するのではなく"こあかり"を解くことです。過去問を収録した問題集ですが、QBでは触れられなかった知識問題も意外と掲載されており、最後の直前期に詰め込むのにもってこいだと感じました。
私自身は最後の直前の1か月はこあかりをひたすら解きました。解説は読まずにとにかく多くの問題に触れることを優先しました。
2018年が最新版で、以降は改訂されていない点が欠点ですが、余力がある人は最後の詰め込みで行ってみても良いのではないかと思います。
最後に
私の医学部生活を振り返ると、本当に勉強に費やした6年間だったなと思います。もっと時間をかけて別のことをやれば良かったのではないか?と考えることもありますが、CBTを含めて勉強を頑張れたことや結果を残せたことはその後の人生において、大きな自信にもなるし原動力にもなります。
普段はそこまで勉強に力を入れていない方も、"CBTくらいは頑張ってみようかな"という思いでこの記事を参考に勉強して頂けると、きっと後の自信につながってくるのではないかと思います。
たかがCBT、されどCBTです。是非頑張ってみてください。