セブ島 語学留学 Day35(モアルボアル#6)

カワサン・フォールズを出発し、まだ日の高いうちにホワイトサンドビーチへ到着した。太陽が沈む方向である西側に目を向けると、まだまだ、日差しは強い。太陽の日差しをたっぷりと注がれた海面はキラキラと輝いていた。西側にはセブ島の隣の島、ネグロス島が見える。そこには、大自然剥き出しの景観が映し出されていた。正確に言えば、サンセットはネグロス島の向こう側に沈んでいくことになる。

オレたち4人は、サンセットまで思い思いの時間をここで過ごした。たっぷりと水遊びしてきて、芯まで冷え切った身体には海岸を埋め尽くす白い砂つぶは、ことの外あたたかかった。オレは横たわったまま全身に砂をかけてもらいながら、フワフワと夢見心地だった。その間に、3人が様々なデコレーションでオレを飾り付けていたことに気づくはずもなかった。後で写メを見せられて知ったことだった。その姿は間抜けのひと言でみんなで大笑いした。それでもまだ、サンセットまで時間がありそうなので・・・砂浜を散歩したり、珍しい貝殻が落ちていないかキョロキョロしたり、また寝転がってみたりした。
観光地には、だいたい物売りの方々がいて、ここホワイトサンドビーチも例外ではなかった。Tシャツなどは結構イケてるデザインもあって、お土産に買って行ってみようかなぁ!? って気にさせられる。
”気に入ったものがないなぁ〜!”って言ってスルリとかわそうとしても、簡単には引き下がらないのが商魂(しょうこん)たくましいセブの女性たちなのだ。一枚でも買ってもらわないと動かない。そんな気迫が伝わってくるようだった。根負(こんま)けして一枚Tシャツを買った。背中にモアルボアルのダイビングポイントが表記されたカッコイイデザインだった。早速、買ったばかりのTシャツに着替えて、少しずつ沈み始めたサンセットが見渡せる位置にスタンバイした。4人が等間隔で横一列に並んで西側を向いて座っている姿は、周(まわ)りにはどう映ったんだろうか!?

黄金の輝きを放っていた太陽が西側に傾くたびに少しづつ、その色が変化していく。当たりがオレンジ色に染まり始めて、赤くなるころには、光の当たらない日陰との間にコントラストができていた。サンセットがネグロス島の向こう側に少しづつ沈んでいく様子を眺めながら誰一人として言葉を発することもなく見入ってしまっていた。赤い光を放つ時間がしばらく続くと太陽は完全に島の向こう側に姿を消してしまった。姿を消してからも光の変化は進んでいく。鮮やかな赤から濃いめの赤になり、紫色へと変化していった。この頃になると光のまったく当たらない日陰は完全な闇となっていた。紫がかった西側の空に名残惜しさもあったが、さすがに帰り道が暗くてヤバイだろうってことでアーノルドとロッキーがわざわざ呼びにきてくれた。そこでオレたち4人はやっと我に返った。自然の作り出す雄大な光のショーに魅了されていたことに気づいた。

当然、他の観光客などはもういない。二人のバイクが止めてある場所まで行き、セブシティまでの帰りの足をどうするか!? と作戦会議が始まった。時間は19時。この時間帯だと来た時に乗ってきたバスは激混みだろう!? と言う二人の意見を尊重して、高くはつくがタクシーで帰ることでオレたち4人の意見は一致した。
タクシーと言っても決まった乗り場がある訳でもないので、タクシー会社に電話して来てもらうことになるのだが・・ここまでタクシーで来てもらうぐらいなら、タクシーの営業所まで乗せて行ってくれると二人が言ってくれた。街灯(がいとう)などあるはずもないモアルボアルの閑散(かんさん)とした道路を、昼間とほとんど変わらないスピードで爆走してくれるアーノルドとロッキーのバイクは、土地勘もなく右も左もわからなくなっている今のオレたち4人には、乗り心地の悪さなんて忘れてしまうぐらい、とっても心強かった。

どこをどう走ったか!? なんてわかるはずがない。気がつけばタクシーが何台か停まっている営業所らしい建物の前に到着した。二人はここでオレたちだけを置いて立ち去るようなことはしなかった。営業所の所長さんらしい人と長い時間交渉してくれている様子だった。恐らく・・現地セブアノ語での会話のやりとりだろう。何を話しているのかはまったくわからない。それでもなんとかセブシティまで走ってくれるタクシーを確保するために二人が粘り強く交渉してくれている熱意はに伝わってきた。その様子をただ見守るだけのオレたち4人だった。
1時間ぐらい経(た)っただろうか!? 一台のタクシーが現れた。二人の交渉が実を結んだようでオレたちはホッと胸を撫(な)で下(お)ろした。これでセブシティに帰れるぞー!ということは・・アーノルドとロッキーとはここでお別れということになる。

今日1日の二人のチャーター代金は、思っていたよりも安かったことに驚いた。この金額じゃ2人に悪いよぉー!と言っても多めに受け取ろうとはしなかった。なので・・りょうくん、ヒカリちゃん、みゆきちゃんには、みんなからってことでチップを多めに渡すってことで同意してもらい、6人全員が納得のいく金額で精算を終えることができた。日本円にしたら、たかだか数百円〜数千円を得したか!? どうか!? って金額なのだ。むしろ・・4人ともアーノルドとロッキーにはもっともっと得をしてもらいたいと思っていた。今日一日、彼らがオレたちにしてくれた”おもてなし”は、それに充分に値することだった。みんなが同意だったことがオレは何より嬉しかった。また、いつかこの4人でどこか旅に行けたらなぁ〜って思った。

セブシティまでのタクシー料金は4人で2,000ペソぐらいだった。もちろんかなりの割高な料金だということは4人とも承知の上だ。このタクシーは、オレたちをセブシティで降したら、またUターンしてモアルボアルへ引き返してくる。そういうタクシーだったのだ。チャーターであり、夕刻から夜の時間帯での利用。を考えれば妥当な金額だと思った。

モアルボアルからセブシティまでタクシーだと2時間30分だとドライバーが言っていた。来たときのバスだとゆうに3時間ちょっとかかっていたので、30分の時間短縮が意味するところは!? 朧(おぼろ)げながらわかっていたはずなのだが・・タクシーが走り出すといやでもそれを体感することになるのだった。

To be continued(つづく)・・・


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