【短編小説】斬釘截鉄 #1
真っ赤なオレンジのゼリーが、日の光に当たってキラキラと輝いている。ラスターは感嘆の息を吐いて、ノアはそれを見てにっこりと笑った。
「ラスターのそういうところ、ほんとに好きだなぁ」
「ゼリーで嬉しくなっちゃうところが?」
「身近なものを楽しむ感性を持ってるところ」
そう語るノアの手元でも、ブドウのゼリーが同じようにして輝いている。二人は商業都市アルシュのカフェで、まったりと至福の時間を過ごしていたというわけだ。
「これが終わったらまた例の事件の調査をする必要があるんだし、こ