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イクメン男とフルタイム女の現実

令和の婚活界隈で大人気な男女をご存じだろうか?それが”イクメン男”と”フルタイム女”である。

イクメン男とはしっかりとした稼ぎがありながらも、平日から育児や家事をしっかり手伝う育児大好き男子のことだ。女性の社会進出が叫ばれる昨今、大学を卒業して男性と変わらないフルタイム労働に従事する女性たちは結婚出産を経ても手に入れたキャリアを手放したくない。そんな彼女たちが望むのが共働きしながら育児を手伝ってくれるイクメン男というわけだ。

それに対して、フルタイム女とは結婚出産後もフルタイムで働き続けてくれる女性のことだ。消費税増税や給料から天引きされる社会保障費の負担増により、すっかりガリガリにされてしまったサラリーマン男子たちの手取り。さらにそこへ追い打ちをかける終わりの見えない住居費や教育費の高騰、そしてついにやってきたインフレの波……そんな過酷で先の見えない経済の中で、今の男子たちが望むのが育児をしながらも共働きしてくれるフルタイム女というわけだ。

国もそんな男女の希望に協力的だ。少子化と人手不足の2つの問題を解決するため、フルタイム共働き夫婦が増えるよう様々な育児支援策を異次元の少子化対策のなかで打ち出してきた。イクメンプロジェクトや女性が輝く社会などのスローガンからもその強い意思が伝わってくる。

厚生労働省:男性の育児休暇取得率上昇などを掲げたイクメンプロジェクト

イクメン男とフルタイム女、割れ鍋に綴じ蓋、ガッチリと噛み合うこと間違いなし。男が稼いで女が家を守る、そんなカビの生えた昭和の悪しき夫婦の形はもう幕を閉じた。これからは政府のあと押しも受けたフルタイム共働き夫婦こそが新しいスタンダード……なのかと思いきや、現実はそうではない。

政府統計:40%以上の既婚世帯がフルタイム男性とパート女性の組み合わせ

フルタイム共働き世帯の数は令和3年においてもさほど変化していないのである。しかし専業主婦の割合は激減している。フルタイム共働きでもなければ専業主婦でもない。平成の始まりから一貫して増加し続けている今最も選択されている夫婦の形、それが”フルタイム男とパート女”である。

フルタイム男とパート女の夫婦とは旦那がフルタイムで稼いで一家の大黒柱を担いながら、嫁がパートなどで働きつつ育児や家事をこなしている夫婦である。パート主婦は当然フルタイム旦那ほどは稼げないが、旦那よりは時間に余裕があるため家事育児をメインにこなしている場合がほとんどだ。さらにパートの稼ぎが年間130万円以下であればサラリーマン旦那の扶養に入ることが出来る(俗にいう三号被保険者)こともパート主婦の増加を後押ししてきた。

20代30代の婚活中男女の多くが金銭面やキャリアなどを理由に結婚後も夫婦共働きを希望している。政府もそれを後押ししている。にもかかわらずなぜフルタイム共働き夫婦の数は増えていかないのであろうか?

DIAMOND ONLINE:共働きを希望する20代30代の未婚男女はおよそ8割

その理由は一つ、”キツイ”からである。

そう、フルタイム共働きをしながら育児をするのはかなり精神的肉体的にしんどいのだ。多くの夫婦が子供を授かった後もフルタイム共働きを継続しようと試みるが、みな道半ばで脱落していく。男はイクメンに疲れ、女はフルタイム労働に疲れる。

男の頭は基本シングルタスクなので、平日に仕事をしながら子供の世話を焼くことには精神的に非常に大きな負担になる。嫁が仕事を休めないタイミングで子供が風邪をひいてしまった場合、仕事に穴をあけてでも看護休暇を取得し、病院へ行って翌日以降の病児保育の手配もしなければならない。マルチタスクにイクメン男の頭は徐々にパンクしていく。

女性も男性ほど体力がない身体で育児と仕事の両立を続けるのはとても大変だ。特に子供が乳児の時期は目が離せず、夜泣きなにも体力を削られる。旦那が出張などに出てしまえば完全なワンオペレーション育児のスタートだ。徐々に楽になるとはいえ、2人目3人目を授かれば確変タイムは延長だ。独りで風邪をひいた子供たちの世話をしながら、もうパートでいいかな…と思ってしまうのも無理はない。

イクメン男とフルタイム女は一部の恵まれた能力や環境を持った男女にしかこなせない修羅の道なのだ。みなその現実に気が付いてフルタイム男とパート女の形態に辿り着いていくのである。

とはいえ、

『いやでも俺/私は結婚後も共働きして子供も授かったうえでキャリアや経済的に満たされた人生を送りたいんだ!』

『自分たちは稼ぎが少ないので共働きしないと生活が出来ないよ……』

『SNSに沢山フルタイム共働きしながらキラキラいてる子持ち夫婦沢山いる。育児や家事を上手くアウトソーシングすればできるはずだ!』

という思いを抱えた婚活中男女もいるだろう。

では一体どうすれば夫婦フルタイム共働きを維持できるのだろうか?SNSで子供達とハワイ旅行を楽しむフルタイム共働き夫婦の秘密は何なのだろうか?フルタイム共働きこそが夫婦の最適解なのだろうか?


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