なぜロスジェネ世代の給与は上がらなかったのか?
サラリーマンの賃上げニュースが止まらない。失われた平成の30年、22万円前後で固定されていた新入社員の初任給は軒並み25万を超え、大企業に至っては30万を超えてくる企業まで登場している。大手は既存社員の給与も2~3万引き上げる大盤振る舞いだ。そんな景気の良いニュースに対して筆者は一言モノ申したい。これだけは言わせて頂きたい。
ロスジェネ世代がタイムオーバーになったタイミングで賃上げとか酷くない?
今更給料を多少上げて貰ったとしても、多くのロストジェネレーション世代はすでに45歳を越えている。お金では失った結婚や子育ての機会は取り返せない。正社員の給与はアップしても、非正規雇用の給与は変わらっていない。未だにロスジェネバイトリーダーから抜け出せていないロスおじは指をくわえて賃上げの情報を眺めることしかできない。
なぜロスジェネ世代の給料はなかなか上がらなかったのか?バブル崩壊後の就職難に直面し、社会に出た当初から厳しい状況に置かれてきた俺たちロスジェネ世代の30年は何だったのか?
1.変わりはいくらでもいたロスジェネ世代の悲劇
バブル崩壊後、就職氷河期に社会に出たロスジェネ世代は厳しい就職難に見舞われた。大手企業の採用抑制や、中小企業の経営悪化により、新卒の就職内定率は大幅に低下。多くの若者が非正規雇用を余儀なくされ、正社員としてのキャリア形成が困難な状況に陥ったのだ。この就職難が、その後のロスジェネたちの給与に大きな影響を与えることになった。
正社員になれなかったロスジェネ世代は、非正規雇用を転々とせざるを得ず、スキルアップやキャリア形成の機会に恵まれなかった。行く先々で便利なバイトリーダーとして中途半端な承認を餌に店長にこき使われ、クリスマスやお正月に休みをとる学生バイト達のシフトの穴を埋めた。年末年始やクリスマス、深夜にコンビニや牛丼屋が回転できていたのはロスジェネバイトリーダーがいたおかげなのである。
そして正社員の椅子を何とか手にしたロスジェネ達も苦しい社会人生活を余儀なくされた。バブルのトラウマから企業はこぞって売り上げを内部保留に回し、社員に還元しなかったのだ。給与を抑制され、様々な福利厚生は削られて行った。新規採用も絞られ、ロスジェネ社畜たちはいつまで経っても増えない後輩たちの分まで、就職から甘い汁を散々吸ってきた団塊の世代やバブル世代の先輩たちにこき使われることとなった。
給与も上がらず部下や後輩ももてない会社なら、さっさと辞めて良い会社に転職すればいいのではないか?今の若者ならそう思うだろう。しかしロスジェネ世代はそうはできなかったのだ。なぜならロスジェネ世代はあまりに人数が多すぎたからだ。
超少子化の令和日本では、ブラック企業はそのうわさが広まればたちまち人手不足になり、労働環境の見直しを求められることになる。給与を上げて労働時間を抑制しなければ誰も働いてくれない。しかしロスジェネはあまりに人数が多く、ブラック企業が次から次へと人を入れ替えてもいくらでも新しい人を雇えたのだ。
お前の変わりはいくらでもいるんだぞ。ロスジェネ世代は常にそういった圧力を会社から掛けられて安い給料で使われていたのである。
大量の同世代がいて企業側が優位に立つ状況では思うような条件での転職は難しい。結果として、ロスジェネ世代は同じ会社で働き続けるか、やむを得ず条件の良くない転職をするかの選択を迫られることになったのだ。
2.少子化万歳!?VIP待遇のZ世代と転職チャンスのゆとり世代
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