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ペアローン夫婦を待ち受けるヤベェ未来

ツイッターを眺めているとある話題が目に飛び込んできた。それが”ペアローン”である。

ペアローンとは住宅ローンを夫婦二人で組む手法であり、都心部の不動産価格の上昇を受けて、このペアローンを利用して住居を購入する夫婦が若い世代を中心に増加しているのだ。アンケートによると2022年の時点で20代のおよそ21%はペアローンを組んで住宅を購入している。我々ロスジェネの世代では旦那の単独ローンが当たり前だったが、令和の話題夫婦の間ではペアローンはもはや珍しいものではないのである。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000055547.html

ペアローンを組むメリットは2つある。1つは単独ローンでは手が届かない高額な不動産を購入できることだ。そして2つ目が住宅ローン減税による節税である。ペアローンを組む夫婦のほとんどはこの2つのうちのいずれか、あるいは両方のメリットを目的としている。

一見すると上がり続ける不動産市況と増え続ける税負担に対する最適解にも見えるペアローン、ツイッターで発言力のある東京首都圏在住のパワーカップル夫婦の多くは、ペアローンこそできる夫婦の象徴!と言わんばかりの意見が多く見られた。

そんなペアローン推進の風潮もわからないでもないが、だとしても筆者は言いたい。ペアローンを組む際は慎重に熟考すべきである。

ぱっと見ではフルタイム共働き世帯にとって最良の選択に見えるペアローンには、実は大きなリスクが潜んでいるからだ。合理的に考えてペアローンを選んだはずが、その選択には夫婦の将来に暗い影を落とすかもしれないリスクが潜んでいる。理屈や数字だけでは夫婦関係は上手くいかないのである。では一体どのような危険因子がペアローンの影に隠れているのであろうか?

先にも述べたとおり、ペアローン最大の強みは、旦那の単独ローンでは手の出ない高額な不動産、例えば都内の人気タワーマンションや一等地の戸建てでも購入できることだ。

上がり続ける東京都内の不動産価格。年収8倍界王拳を使って限界まで住宅ローンを組んだとしても、旦那1人ではとても手が届かない。そこでフルタイム共働き世帯は妻と旦那の年収をフュージョンさせてペアローンを組むことで、膨れ上がった都内ファミリー向け不動産を購入するのだ。

このパターンの何が危険なのか?それは嫁に対して仕事を辞められないというプレッシャーをかけてしまうことだ。

男性はそれが当たり前なので何も感じないかもしれないが、多くの女性は男性のように定年退職するまでフルタイムで働き続ける覚悟が決まっていないのであるほとんどの女性はいつか自分が過酷な労働から”上がる”日が来ると漠然と考えているのである。

女性が働くのが当たり前の時代だし、女性の多くは結婚出産後も充実した産休育休制度を利用して正社員で働き続けるのではないのか?共働き世帯は右肩上がりというニュースが毎日のように流れているじゃあないか?そう思う若い男性は多いだろう。しかしここに大きなミスリードがある。

増えている共働き世帯の6割以上がフルタイム旦那×パート主婦の世帯なのだ。フルタイム共働き世帯は共働き世帯のうちの3割台であり、その割合はなんと20年以上変わっていないのだ。専業主婦世帯が減っているが、その分増えているはパート主婦世帯なのだ。フルタイム正社員として働く独身の男女は、共働き世帯と聞くと当然フルタイム勤務の夫婦を想像するが、その中身のほとんどはパート主婦とフルタイム旦那なのだ。

LIMO:共働き世帯のうち6割は夫フルタイム+妻パート

女性の就業率は男性よりは少ないとはいえ幅広い年代で75%以上である。しかしその内情に目を移すと、正規雇用比率は20代こそ過半数を超えているが、30代に入ると46%まで低下、その後は徐々に下がり続け、男性であればまだ働き盛りの40代に入る頃には35%を割り込んでしまう。働く40代女性の3人に2人は非正規雇用なのである。

今はまだ同僚の友人たちも正社員でバリバリ働いているので、何となく自分もずっとこのまま働き続けるんだろうな、と考えペアローンを組んだ20代女子に待ち受けているのは、『キャリアと家庭を両立していこうね!』と語り合っていたズットモ女友達たちが、結婚と出産を機に次々とキャリアをぶん投げて気楽なパート主婦や専業主婦に転身していくのを見送る日々である。

https://financial-field.com/living/entry-205104

正社員として一人残され、育児とフルタイムワークにふらふらになりながらも、自分はいつまでたっても仕事から上がることが出来ない。なぜならペアローンがまだ25年残っているからだ。住宅ローン控除で帰ってきた還付金は子供の延長保育などに消えていく。辞めたい、でも辞められない。そんな生活を送る中で、嫁は徐々に働くことがイヤになっていき、当初の計画とは裏腹に夫婦生活は少しずつ壊れていくのである。

夫婦二人で高額なペアローンを組むということは、2人の労働意欲が釣り合っていなければならない。しかし残念ながら男性ほど仕事にアイデンティティを持っている女性はほとんど存在しない

そもそも、今世間でこれだけ女性の管理職を増やそうと声が上がっているにもかかわらず女性の管理職は増えていかないことからもそれは明らかだ。

フェミニズム思想家がよく演説している『男女で役員や役職につく人間のバランスが平等になれば、より男性の肩の荷も下りるはず理論』の最大の問題点が、男のように役員や役職に就いてオッサンと同じ扱いをされながらバキバキに働きたいと願ってる女がほとんどいない、ということである。絵に描いた餅とはまさにこのことだ。

ペアローンも女性の労働意欲なくしては上手くいかないシステムだからこそ危ういのである。では、なぜこれほどまでに男女の労働に対する覚悟に差が産まれているのであろうか?

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