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言語化力は習得したチカラ

この数年でわたしが周りから褒められるようになった 「言語化力」

これは私が人間になるためにかなりの年月をかけて習得した力だ。もともと備わっていた力では無い。これは言い切れるほどに強く思っていること。

というのも、私はもともと言葉をもたない人間だった。言葉を持たないというよりは、"私の感覚に 合う / 当てはまる 言葉がなかった" という方が正しいだろう。すでにある言葉では自分を表現できず、同じ言葉を使いたくてもみんなが使っているニュアンスとは違う感覚があり、その言葉を選べなかった。だから私は私の中にあるものを表現出来ずに過ごしていた。

同じ言葉を使って雰囲気で会話をしたり表現したりすることも出来たはずだが、それは選べなかった。目の前の人が使っている言葉と違うことを言いたいのに同じ言葉を使うことが嫌だった。
違うことを感じているのに、違うことで違和感を感じているのに、軽々しく 「同じだね〜!」 なんて言いたくもないし言われたくもなかった。
だから私は適切な言葉が見つかるまで、同じニュアンスで話しているなと感じるまで、言葉を発したくなかった。

それほどまでに私は言葉を求めていたけれども、私の中に言葉がなかったのだ。だから会話はもっぱら聞く専門。でも聞くことと相槌を打つことと理解しようとすることは、そんなに苦ではなかったのだ。

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私が言葉を手にしたのはつい数年前。正確には4~5年前くらい。思いがけずライターになったことで私は言葉を手に入れた。

もともと言葉を持たないだけでなく、国語力もなければ英語力もなく、言葉にまつわる世界とは縁遠い人間だった。

言葉をとらえられたのは、歌を歌っている時。音楽と触れている時。音楽という流れを通して、そこに乗る雰囲気を感じて、やっと言葉の意味がわかってくる。その世界が見えてくる。そんな感じ。それでも歌詞を覚えるのはもっぱら苦手で、意味を考えながらストーリーをとらえながら歌うことは私にとって難易度が高い。だからしょっちゅう歌詞を間違えながら歌っている。それでも言葉から世界を創る力は少なからずあったのだろう。

ライターになって初めの数カ月は全く文章が書けなかった。1ヶ月で1記事書くのがやっとのレベル。毎日数時間向き合ってもどうしたらいいのかが分からない。分からなすぎて質問も出てこない。そんなレベルで数ヶ月過ぎた。

書く中で少しづつコツを掴んで月に数記事書けるようになった。書けるようになったら、分かりやすい記事と言ってもらえるようになった。でも当時はその理由が全く分からなかった。でも今ならわかる。私に国語力がなく理解力がなく語彙力がなかったからだ。この分からないことの多い私が、私がわかるように書いているから、誰にでも伝わる文章ができたのだ。

幸い細かく説明されれば理解出来る頭はかねそなえていたので、何を説明すれば理解できるのか、何を書いたら道が繋がるのかは自然と分かったらしい。

多くの人は1と10が書いてあればその間を補完して自分で道を見つけられる。きっとこうだろうとイメージができる。私にとってはすごい能力を多くの人が持っている。

でも私はこの能力が無いゆえに、1と10が書いてあったらそこに1と10しか見いだせないのだ。2~9はどこにいった?2~9はどの視点で話されているの?と道に迷う。きっかけやヒントがあればきっとこの角度だろうと見つけられるものの、大体の場合はヒントすらないので迷宮入りだ。

この部分を調べに調べて記事としてまとめて書いた。書く中で、何が目的で、何が結論で、何が理由で、何が具体的な説明で、どんな流れなのか、をひたすら考えた。そういうマニュアルだったので、当時の私からしたらマニュアル通りに考えていただけなのだが。その積み重ねを2年くらいやっていたら、自ずと言語化力がついていた。自分の気持ちを伝える術も手に入れていたのだ。

この2年を経て私は言語化力を手に入れた。持って生まれた才能ではなく、身につけた能力だ。

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言語化を褒められるようになった近年だが、未だに分からないことが多ければ知らないことも多い。難しい言葉はもっぱら分からないし、知らない言葉も多い。周りの人の話を聞いているとなんて頭のいい人達なんだろうと思うばかりだ。

私の言語化力は国語力のおかげでも語彙力のおかげでもないだろう。物事をよく観察し、細かく捉え、その一つ一つに輪郭をあたえて存在させる。そしてその一つ一つを感じたままに表現する。

ひとつの言葉で表せることはそう多くは無い。大体は言葉の連なりによって輪郭ができ空間ができ立体化する。

だから私は言葉は紡ぐものだと思っているんだなと今わかった。言葉は紡ぐもの。ひとりひとり異なる言葉を持っていていい。

ひとりひとり見ているものも感じているものも違うのだから、同じ言葉を使おうとしなくていい。ひとりひとりが自分の言葉を持つことに、私は魅力を感じ美しさを感じる。

あなたの世界はどんな世界?
言葉の紡ぎ方でその人の世界が自然とそこに現れる。自分の言葉を紡げば、きっと似たようなことであれ十人十色の世界がそこに生まれるはず。

言葉は多くなくても良い。
少ない言葉でも自分の感じたことを表してみる。
その積み重ねがきっとあなたの世界を豊かにし、あなたの自己表現の場を広げてくれるはず。


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