見出し画像

アフガニスタン女子の生活を覗いてみた…抑え込まれる中東女子事情


読書記録。


面白かった!

本からワタシが受けた印象はアフガニスタン女子 密着ルポ。

舞台は今から20年前の2001年。タリバン政権が崩壊した直後のアフガニスタン。

首都のカブールで本屋を営む店主の家に、ノルウェー出身の女性ジャーナリストが、店主の家族と生活を共にし 見たり聞いたり経験した事を綴った話だ。

男女平等が日本よりもはるか当たり前に浸透している ノルウェー人著者だからこそ、女性への差別的な慣習に大いに違和感を感じた事だろう。

いやホントにひどいのだ。
本の中に出てくる女性が、女として産まれてきたというだけで「埃を食べて生きる」人生だと表現している。

産まれてきた子が女の子だと 可哀想な人生になるから、男の子で産まれて来てほしいと願う。

それくらい アフガニスタン女子として生きていくのは、超大変なのです。

結婚していない男女が 一緒に出歩くのは御法度。手を繋ぐ事はおろかキスなんかしたら大問題。尻軽だ!または疑わしい!という場合に処される 時代錯誤な石打ちの刑。

家族の名誉を保つため、家族の暗黙の了解で 兄が妹を殺害する事もある。お…恐ろしい!

これは女子だけへの仕打ちなのだ。男子には軽い刑orお咎めなしで釈放。何だこの違いは?

アフガニスタン女子は外出の際、必ず「ブルカ」(表紙の写真)を着用する。イスラム圏女子はスカーフを頭に巻いているイメージがあるが、あれはかなり規則をゆるくしてるのだ。

女子高生のスカート丈で例えたらわかりやすいかな?

膝下のスカート丈なんて今時厳しいわねぇと感じるが、何言ってるの?肌なんか1㍉も出すんじゃないわよ!マキシ丈よ!って感じなのがブルカだ。

ブルカを被った時はちょっと匂うらしい(マスクと同じでちょっと独特な香り)。目の部分だけがメッシュ状で中から外が見えるようになっているそうだが、ひどく視界は狭い。外での女子は皆同じような格好だから 人を見分ける時は靴で見分けるそうだ。

アフガニスタンの結婚観も独特だ。
好きになったら告白…なんて無理。自分の意思とは無関係に 親同士が家の利益優先で縁組を決める。泣こうが喚こうが関係ない。

一夫多妻制ならではのエピソードもあった。店主が新しく若いお嫁さんをもらってくる時の様子や 先妻が愚痴る様子も綴られている。

店主には沢山の弟や妹がいて、母親と兄弟姉妹、自分の妻子と一緒に大所帯で暮らしている。一番下の妹(19歳)は、毎日休む事なく 一家のために身を粉にして家族の世話をしている。

誰からも感謝される事もなく、学びたいのに外にでる事もできず、店主の息子達にバカにされてこき使われ、結婚していないので肩身の狭い思いをしている。読んでいて心が痛くなった。

ところでタリバンがイスラム法に基づいて定めた法律をご存知だろうか?これもなかなか仰天ものだ。

女性の肌の露出禁止、音楽禁止(なんで?)、髭を剃る事禁止(謎…)、鳩の飼育、凧揚げ禁止(笑うしかない)、絵などは塗り潰す、川での洗濯禁止etc…イスラム教義がわからないワタシにとっては不思議としかいいようがない法律である。

この本が書かれてから20年後の今、アフガニスタンは再びタリバンが政権をとった。

これからのアフガニスタンはどうなるのだろう…女性達の事を考えると彼女達の幸せを願わずにはいられない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?