見出し画像

男性の心を掴んで離さない究極の方法?

読書記録。

面白かったぁーーーー!
小説を読んでこんなきゅんきゅんするとは思わなかった。しかも古典文学だよ。こんな面白い作品だったなんて知らなかったなぁー。

時代は預言者として有名なノストラダムスが予言したとおり、騎馬試合でなくなったアンリ2世が王として宮廷で華やかな生活を送っていた頃。ルネッサ〜ンスで有名なイタリアのメディチ家から王妃としてカトリーヌドメディシス嫁ぐが、王は年上の愛人に夢中。

王の息子のお嫁さんはスコットランドの女王メアリー・スチュアート。「ふたりの女王」という映画でも取り扱われてますねぇ。

実在の歴史的人物が多数出てくる中、宮廷に出入りする貴族の二人の男女がプラトニックな恋に落ちた。さぁどうなる?

女子は見目麗しい絶世の美女。彼女のママンは、とにかく旦那さんに愛され尽くす事が女としての幸せ!貞淑であってなんぼ!と教えこんでた。美人なのに性格も良く、めちゃめちゃ真面目で素直な女子である。

宝石屋でチラ見しただけのクレーヴ公は女子の美しさにノックアウト。猛アタックで思いは成就されるが、明らかに彼女から尊敬はされても愛されていない。薄々勘付きやや悲しくなる。結婚しても片想いを続けているようだとたびたび嘆く。おぉ…それは悲しい…結婚後、美しい女子はクレーヴ夫人と呼ばれる。

一方 男子は、ヌムール公と言ってかなりのイケメンプレイボーイ。とにかく人目を引く美男子で、宮廷でもきゃぁきゃぁ言われるほどの大人気。イギリスのエリザベス女王の耳にもイケメンの評判が届いてるくらいの美男子(どんだけ!)

そんな男女二人が舞踏会で偶然一緒にダンスを踊った瞬間、恋に落ちた!お互い完全に一目惚れ。(漫画みたい)

恋をした事がないクレーヴ夫人。ヌムール公への恋心に気づいた行動が もう偉いんです。すごいの。自分からヌムール公と距離をあけちゃう。極力会わないようにする。

ヌムール公はなんとかしてクレーヴ夫人に会いたく、口実を作って訪問したりあの手この手を使うんです。ちゃらい人かと思いきや、一途で良い人なんですよ。

クレーヴ夫人もヌムール公がチャラいと思ってたけど思いの外、真面目で好印象を感じるものだから恋心がますます募ってしまう。

クレーヴ夫人と会えなくなるから出世を断っちゃったり、ラブすぎてこっそりとクレーヴ夫人の肖像画をとっちゃったり、そんなヌムール公を目の当たりにしてクレーヴ夫人はきゅんきゅんしてしまうのですが、ここはやはりクレーヴ夫人。お母さんの教えを第一に考えるのです。

好きだからこそ、些細なことに心を動かされ嫉妬したり激しく喜んだり、恋を誰にも気付かれないようにする為にわざとヌムール公に冷たく接したりでクレーヴ夫人は心が疲れ果てます。

身を誤らぬよう旦那さんに正直に自分の恋心を打ち明けてしまうのです。

えー?!旦那さんに言っちゃうの?!

自分は旦那さんを深く尊敬してる。旦那さんとのこの穏やかな生活を続けたい。宮廷に赴くと恋心で自分を保てなくなるので、自分は田舎に引っ込みたいと。

あくまでも旦那さんファーストですよ!クレーヴ夫人偉いなぁ!

奥さんの告白を聞いた旦那さんは動揺しまくりなのです。顔を覆って嘆いちゃうんです。よっぽど愛してるんですねぇ。相手の名前を聞き出そうとしても一向に口を割らない奥さん。奥さんはクールでアンドロイドみたいなキャラで誰にも恋をしないのかと思ってたら、こんな真面目な奥さんに胸を焦がすほどの思いをさせるやつは一体どこのドイツ?!

ぎくしゃくしながらも奥さんの気持ちを尊重しつつ、なんとか夫婦は歩み寄っていくかと思いきや、やっぱり旦那さんは疑いを捨てれなかったんだよ〜。

とうとう心労がたたって倒れ、そのまま亡くなってしまったのです。おぉ…

クレーヴ夫人は激しく泣きじゃくりました。私の告白のせいで…と自分を責めます。(そうだよ、黙っとけば良かったのにと思ってしまうワタシ)

ヌムール公はチャンスキターーーーっとばかり飛びつきたい思いをくっ!!!と抑え込み、クレーヴ夫人の心の回復を待ちます。

ヌムール公は本当に一途。

クレーヴ夫人の家が見える向かい側の家の一室を借りて、ひたすら何時間も眺めちゃう。えっ?ストーカー?そんな言わないで 笑

それに気づいたクレーヴ夫人はどれほど愛されてるかを知りボーッと恍惚となっちゃうんです。これも恋ゆえの魔法ですねぇ。

とうとうヌムール公はクレーヴ夫人に告白します。クレーヴ夫人はヌムール公への愛する思いを正直に語ってヌムール公を天にも昇る気持ちにさせておきながら…一緒になる事を断っちゃうんです。そして修道院での生活を選ぶのです。

あなたはきっと私と結婚した後は、他の女の人の方へ行くでしょう。(間違いない)私は嫉妬などに心を振り回されたくないのです。せめて恋をする事がなかった女に恋心を抱かせたという事実を受け止めるだけにしてもらえないかと。

ヌムール公しばらくは頑張ってましたが、クレーヴ夫人は絶対に頑なに会おうとはしませんでした。もう頑固ったら頑固。信念を通すってこのこと。もはや伝言すらも聞かないの 笑。すごい徹底っぷり。こうして二人の恋の物語は終わります。

ハッピーエンドの物語ではないけど、大変面白かった。


ワタシがもし読書会を主催していたら、「ボヴァリー夫人」と「クレーヴの奥方」を読んで皆で考察したいほど。

ボヴァリー夫人は冴えない旦那さんに愛されてるけど物足りなくて、次々と言いよる男の人に身体を許して愛の悦びを知るが最後は捨てられ破滅していく。

クレーヴ夫人は深く旦那さんに愛されながらも他の男性に恋をし両思いになるが、決して一緒になろうとはしない。想いを遂げる事より自分の心の安定を優先し恋の喜びや輝かしさに背を向けた。

この二つの物語から得られる学びはなんだろう?

相手を究極に引き寄せるには、引いて引いて少し寄って(押すじゃなくて寄せる) そして引き切る!!!!なのかもしれませんねぇ。

古典も現代も人の考える事やってる事はちっとも変わりがありません。

昔では恋文でしたが、今ではLINEでのやりとり。あえて未読、既読無視は十分通用するテクニックなのだなぁ。クレーヴ夫人を参考にすると思い切ってブロックする形になるかもしれません 笑

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?