ムード歌謡曲の効能 〜昭和の名曲を聴きながらモーニング〜
優しい職員さん達と先輩達のおかげで、だいぶ食事介助に慣れてきた。仕事の流れも掴めてきた。
ワタシは基本的に朝7:00〜朝9:00の2時間勤務だが、こちらは早番だそうだ。30分遅い遅番もある。
どちらも食事介助がメインの仕事だが、早番はお茶やスプーンをセットする。遅番はスプーン類やエプロンを洗ったりする。
NHKの朝のニュースを眺めながらお茶ゼリーやヨーグルトを食べさせるが、7:40頃 朝ごはんが運ばれてくるとテレビは消される。
食べるのに集中するためだろうか?
テレビの代わりに音楽が流れてくる。ケルト音楽、ヒーリングミュージックで崇高な雰囲気の中での食事。まるで教会の中にいるような雰囲気。
ところが。今日はムード歌謡曲だった。
軽快な前奏でチャチャチャ〜とリズム良く
あ〜か〜いー 林檎にぃ、くちびーるよ〜せ〜て〜〜
おぉぉっ、みんなの雰囲気が違う。
いつも目を閉じてるタニモトさんが目を開けてる!あまり積極的に食べない方だけど、今日は自分から口を開けてくれる!
数少ないメンズのシムラさんは、スプーンを指揮棒代わりに振って歌謡曲のリズムに合わせてる。
「シムラさーんっ。ご飯食べよーっ」って言われても無視。のりのり(笑)
今日はみんな食べる食べる。完食相次ぐ。
ご飯を沢山食べてくれたタニモトさんに、「いい曲ですねぇ〜。」と声をかけると心なしか微笑んだような表情をする。
当時 流行っていた曲を聞くと「あぁ〜懐かしいぃ〜」とあの頃を思い出すものだ。
ワタシは、電気グルーブの「シャングリラ」を聞くとダンナさんと遠距離恋愛をしていた頃を思い出す(うむ、古い)。
ムード歌謡曲を聴いて、みんなはどんな事を想い出しているのだろうか。
周りの顔を見てみると、なんだか今日はみんな嬉しそうだ。
前のテーブルでは、職員さんから食事介助をしてもらっているお婆ちゃんが、
「わたし…しあわせよ❤️」と唐突に言った。
それを聞いて 若くて優しいイケメンの職員さんが 「あぁ〜うれしい…。ぼくもしあわせです❤️」と優しく答えていた。
微笑ましい素敵なやりとりで思わず笑顔がこぼれてしまった。
ヒーリングミュージックは身体と心を癒すが、ムード歌謡曲も どうしてなかなか素晴らしい効能を発揮するのだ。
つづく…
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