新詩誌創刊準備号を発行致します(6/26更新)



1.はじめに

私たちは、「自分と他者の想いについて考え・大切にし合える社会に貢献するため、詩のあらゆる可能性を信じ、詩と関わる人を一人でも多く増やす」ことをビジョンに創業中です。これまで、詩を囲んで語り合う「ポエトリー・カフェ」を実施し、普段詩を読まない方が、詩と出会うきっかけの場を作ったり、詩をみんなで読むことで語り合う楽しさを発見してまいりました。

ポエカフェのうち数回、実際に詩を作って発表し合うという場面もありましたが、やはり詩を作ることはワクワクする行為です。そこで、詩人だけでなく多くの人と詩を楽しめるような、挑戦的な企画をすることになりましたのでご報告致します。

2.新詩誌の概要

新詩誌の独創的な点は「集めない」点と「閉じない」点です。まずは以下のGoogleフォーム内に記載された趣旨文をお読みください。

新たに発行する詩誌は詩壇の内外部を問わず届くものを目指します。そのためには、詩誌の作成の過程に詩人のものではないまなざしに介入してもらうことが大切だと考え、掲載作品の選定に詩壇外部の視点も最大限採り入れます。体裁はA4一枚きりです。投稿作品から選りすぐりの3篇のみを掲載します。
選考については、詩人が一次選考を行います。
その後二次選考を
・一次選考通過者による互選
・一般投票(ネットや街頭でアンケートを募ります)
・「負け」のテーマを設定した主催者の単独選によるもの
によって選ばれた3作品を掲載します。

新企画の趣旨文より

「集めない」とは既存の詩集のようにたくさんの詩を載せません。2回に渡る選考を通して選りすぐった詩のみを掲載します。また、掲載料を詩人からは集ません。別の手段で発行のための収益を得て、掲載作品に賞金をお支払い致します。
「閉じない」とは既存の詩集のように本の中に綴じません。A4一枚にすることで、すぐに目に留まり詩が味わえる事を目指します。また、詩壇のなかに閉じません。詩誌の読者だけでなく選考プロセスも、詩壇の外の多くの人が担うことで開かれた詩誌を目指します。

全体の流れ

創刊準備号ということで、上記の理念の全てを実現できているわけでは無いですが、目標は高く良いものを作ろうと精進します。

3.「負け」をテーマとした詩の募集

そこでまずは創刊準備号に奮って作品をお寄せいただきました。今回の募集テーマは「負け」です(いきなりですが……笑)投稿はgoogleフォームか郵送にてお願い致しました。5月末に投票を締め切りました。

【投稿規定】
募集作品:「負け」をテーマにした20字×40行以内の詩作品(題名含む)
投稿方法:Googleフォームあるいはメール添付や郵送で
(メールアドレス)poetryfactory.t@gmail.com
(郵送先住所)〒150-0044 東京都渋谷区円山町5−5 3F Navi渋谷3F 船岡 佳生宛
期限:5月31日23時59分迄
賞金:掲載の3作品には5,000円をお支払いします。
※著作権は作者に帰属しますが、Poetry Factoryが無償で使用することがあります。
※創刊準備号であるため、応募者に任意のアンケートをお願いする場合がございます。
※2023年7月の発刊を予定しております

新企画の趣旨文より

4.一般投票の開始

応募作品のうち、以下の記事の5作品が一次選考を突破しました。

A 「まけ」
B 「何戦誰戦全敗」
C 「ただしい書き順」
D「わたしの埋葬」
E「愛」

掲載作品は3作品ですので、このうち、一次選考通過者による互選、テーマ設定者による単独選、一般投票により1作品ずつ掲載作品を選びます。
ぜひ、一般投票にご協力ください。100名のご協力を目標としております。

5.問題意識

何故、このような企画を始めたかというとPoetry Factoryには以下のような問題意識があります。

現代詩の閉塞的な状況の大きな要因の一つに、作品がほぼ詩壇内部で流通していることがあると考えます。詩壇の外にいる人たちに作品を届け、親しんでもらわなければ、詩の将来はますます昏いものとなるでしょう。今、芸術としての完成度の高さと、新しい読者にも支持される伝達性を兼備した詩作品こそが待たれているでしょう。

新企画の趣旨文より

これは何も私たちだけが言っているわけでなく、たくさんの詩人とお会いしてお話を伺う度に、その強度やニュアンスは違えど共通した問題意識だと言えるでしょう。

例えば今月号の「詩と思想5」では、巻頭言「編集者の眼識が必要」にて以下のような問題意識と主張(対処の提案)が述べられています。

【問題意識】
大半の詩歌は、言葉が読者に向っていない(全部とは言わないが)。読者を無視している。(中略)読まれる機会の少ない難解な作物が、本当に芸術だと言えるだろうか。滅多に開帳されない秘仏は、いかに価値があろうが、市民の目に触れず、知られざるままで良いのだろうか。詩も小説も、読まれてなんぼのものではないだろうか。(中略)現在、現代詩は自給自足、地産地消の状況である。市場拡大なしには、表現の革新も新たな才能の出現も望めないように思われる。

【対処の提案】
個々の詩人は蛸壺的に自己の詩を書き続け、数多の詩誌は散発的に火花を散らすだけだから、事態を打開できるのは、本誌を含め大手詩書出版社の役割だろうと思う。(中略)優れた編集者が、眼識を磨き、良質な詩人の詩を拾い上げ、全国的に紹介、市場に提供するしかない。平等主義を排し相対主義に立って篩にかけ、品質を見極めること、さらに、経営的に可能な限り安価な詩集を供給することが大事だと思う。(中略)芸術詩と大衆詩の亀裂以前の問題である。すそ野が広がらなければ発展不可能なのは科学技術だけではない。

出典:高橋英司(2023)「編集者の眼識が必要」『詩と思想』第3巻427号、土曜美術社、pp.10-11

本詩誌の骨子はまさに裾野を広げようとするものです。現在の詩を取り巻く問題解決の一助になることを目指します。

5.おまけ(よろしければこの企画に寄付し応援してください)

ところで、何故いきなりテーマが「負け」なの?と思われた方向けに事情説明を致します。単純にこの企画の形式を切望したPoetry Factoryの代表・ふなよしがこんな詩を読みたい。このテーマだったらポケットマネーを出してでも詩を書いて欲しいと言ったテーマが「負け」でした。今回はその際の長々した「負け」についての文章は一般公開しませんが、ここに限定公開を致します。よろしければこの企画を応援するという意味合いでもこの先をご購入ください。(勿論、詩作の選考には直接影響を与えません)


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