Undine's Requiem
もはや何ものにも安寧を見出さないわたくしは、ひとり孤舟を漕いで夜更けの湖へと漕ぎ出す。眠れぬ夜の供に物憂い紅茶を淹れて、それを瓶へと注いだものと、日記帳を携えてきたのだった。水音だけを無二の友として櫂を動かす。やがて静かに舟は傾きはじめ、無数の腕がわたくしに向かって伸びるのを見る。水妖たちの宴がはじまろうとしている。そのぬらぬらと濡れた腕に抱かれて、長い髪に身を囚われて、いくつもの口づけを浴び、その小さな口に生えた牙で喉笛を食いやぶられれば、この孤独も癒えようか。異形の者たち