巨女ノ国 ~#011~

【女性がいないことが当たり前になり続けている小人の村の生活は、彼らの心の中から潤いまで奪っていっているように感じられました。でも、「いないものはいないので、仕方ない」と自分で自分に言い聞かせ、ただひたすらに毎日を過ごすことに意識を向けることで生き永らえてきたのでした。】

 五人は、まだ見ぬ巨女ノ国に想いを馳せ、女性という存在をニヤニヤしながら想い描いていました。

四人目「もし巨女がとても狂暴だったとしても、上目遣いでウルウルさせて懇願するから、ボクはきっと大丈夫さ。」

五人目「ミーも、お金の力で解決しよっと。」

 五人はこんな調子でとても楽観的にこの先のことを考えていました。でも、本当は心の中でこの村に帰ってこれなくなることをとても怖いと感じていました。その不安を打ち消すように、五人は巨女ノ国の素晴らしい楽園ぶりについて再び話を始めました。

 そうでもしていないと、このままこの村に残ることも、巨女ノ国を目指して先に進むことも、何もできなくなってしまいそうだったからです。

 そのくらい、彼らにとって”生きる”ということは簡単ではなかったのです。ましてや安心や平和の楽園に住むということなど、小人の村の住人にとっては夢のようなお話だったのですから。

 五人にとっての「希望」は、巨女ノ国そのものだったのです。


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