湯用浴衣を作る話【後編】

続きました。前回↓

https://note.com/pml/n/n15d9f9c679d5

袖をつける

袖にも背縫いのような糸印をつける。袖を身頃のように見立てて、背中側の端に寄せて、糸端を表側に出してつける。この時、袖山(用尺に裁断した袖布を正確に二つ折りにした時にできる折り目)を整えてアイロンや和裁こて等の熱で抑えることを忘れない。袖山と肩山を合わせて、袖が身頃に乗るようにして作りたいため、身頃の布端を5mmほどはみ出させて縫う。その後折り伏せ縫いをする。

袖がついただけの状態
右袖を見るとわかるが袖下が閉じられていない

袖下、脇を綴じ合せる

袖が山同士をきちんと合わせて身頃に縫い付けられたら、正念場の脇綴じである。脇は縫い代の幅が非対称になる折り伏せ縫いではなく、同じ幅になる袋縫いで仕上げる。まずは外表に袖下や脇を合わせ、揃えた布端から5mmのところで縫う。この時縫い目は多少粗くてもよい。少々変な感じがするが、外表で縫い合わせた後、アイロンで縫い目を開き、生地を中表に合わせ直して折り目から1cmで縫う。この時脇が90°になっているが、そのまま直角に縫うと外表に返した時に脇がおかしくなるため、緩いカーブを描くように縫う。

袖下、脇が縫い留まり、袖口が処理できた。
ここまで来ればゴールが見えてくる。

袖下〜脇の処理が終わったら、袖口を1cmで三つ折りして縫う。この時縫い代は前側が後ろ側に乗るようにする。

おくみ付け

予め半巾に裁った衽を裾から衽付け止まりまで縫う。ここは折り伏せ縫いで、衽が身頃に乗るようにする。
衽が付いたら、衽端〜裾〜反対の衽端をぐるっと三つ折りで処理する。この時衽端は1・1の三つ折りでいいが、裾は1・3の三つ折りにしたい。また角に縫い額縁を作る。ミシン糸を3つに割り、その内の1本で額縁の斜線ちょっと内側を手縫いするのだ。縫い額縁は本来絹織物で作る単衣などに使われる手法だが、端がほつれやすいために折るだけではなく縫い額縁を採用している。
また今回は10cmの裾揚げを設定しているので、裾揚げの分も折って縫い付ける。

襟つけ

衽がつき、前の高さを確認したら襟つけである。襟用布を半巾に裁って、片方が本襟、もう片方が半襟を取る布となる。これは意外と知らない人が多いかもしれないが、身頃に襟肩明きの10cm前後の切込みを入れないと着物は作成できない。よく聞く「和服は一旦仕立てても1枚の布に戻る」というのは結構アバウトな判定なのだろう。
襟肩明き付近の縫い代は1cmもないことが多く、一番狭いところで3〜4mmである。逆に襟つけの高さから衽付け止まりまでの折れ線は、若干身頃側に膨らませて襟つけをする。

衽と襟がついた状態、つまり完成である。

ガンガン洗い仕立てなので、襟つけも襟とじもミシンだ。ただ襟肩明き付近はかなり気を遣う。縫い代のひきつれを減らしつつ、身頃が縫い込まれないように留意しながら縫い上げる。
襟つけが出来たら、身頃の縫い代をアイロンで伸ばして柔らかくし、畳んで襟先を縫い、襟とじを行う。

ひと通りメモを記しての感想

和服は洋服より単純だが、構造に馴染みがないのもあって製作にあたって工夫が必要である。
あとやっぱり縫い額縁じゃない方がよかったかな。笑

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