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BSプレミアムシネマお薦め㉓『阪急電車 片道15分の奇跡』

実を言うと、この映画の舞台となる土地に行く縁ができたので、何気なく見てみただけの映画なのですが、正直これが「当たり」でした。

映画としては確かに「軽い」かもしれません。が、それは撮影的な面でテレビドラマ的に感じるというだけのことで、我々のようなある程度の映画好きになれば、そのあたりは脳内で全然変換できます。

とにかく、この映画、キャストがすごい。ざっと名を挙げるだけでも、高瀬  中谷美紀、 戸田恵梨香、 宮本信子、南果歩、谷村美月、有村架純、芦田愛菜、勝地涼、 玉山鉄二、鈴木亮平、大杉漣、安めぐみ、といった当時(2011年公開)の有名どころはもちろん、その後名を挙げる(当時はまだ子役だった芦田愛菜や無名だった有村架純、鈴木亮平など)、今となっては名優が揃っています。さらには地元がこのあたりだったというからなのでしょうが相武紗季さんも友情出演という形で出演していますし(その当時は情報公開されていたかは定かではありませんがお姉さんがこの阪急沿線の宝塚の女優さんでもあります)さらに言えば脚本はあの 岡田惠和さんです。

と、まあ、これだけの豪華陣を揃えれば、とうぜんいい作品になるのは間違いなのでしょうが、今となって歴史に名の残る映画となっているかと言えば決してそうではありません。でも、そのような映画を拾い上げることがBSプレミアム映画の使命でもあるし、我々、映画好きの使命でもあるのです。

とにかくこの映画、原作もいいし、脚本もいい。阪急宝塚駅から西宮北口駅を経て阪急今津駅までを結ぶたった14分のミニ路線を描いているというその設定も映画的ですし、とにかく群像劇としてうまくまとまっている。そしてその群像陣が鉄道によって結ばれるという設定も映画的で素晴らしい!。繰り返しますが惜しむらくは映像的な部分(フィルムというよりはビデオとなってしまっている)という点のみですが、それも当時はまだそれほど有名ではなかった一部のキャスト陣や当時の予算などを踏まえれば許されることです。今ではこの俳優陣を集めることは予算的にもなかなか難しいでしょう。その意味でタイトル通りある種の「奇跡」がここにはあります。

一人一人挙げていけばキリがないのですが、特筆すべきはやはり宮本信子、中谷美紀、戸田恵梨香、有村架純、そして芦田愛菜と言った女優陣でしょうか。夫である伊丹十三氏の死去後、しばらく女優としての活動はしていなかった宮本信子氏ですが、この映画の数年前から復帰しています。そしてこの映画公開の2年後にはあの「あまちゃん」である意味吹っ切れた感じでまたテレビの世界にも戻ってきています。そしてその「あまちゃん」で若き日の小泉今日子を演じたのがこの映画にも出ている有村架純です。そしてさらに言えばこの映画の公開と同じ2011年に「マルモのおきて」で天才子役として世に出たのが芦田愛菜ちゃんです。この人(敢えて「この子」ではなく「この人」と言います)の何がすごいかと言うと、ちゃんとこの年で関西弁をも含んだ演技をしていることです。

そして、やはりこの映画において存在感を放っているのはこの映画におけるツートップと言っていい、中谷美紀と戸田恵梨香でしょう。とにかくこの二人そこにいるだけで絵になります。当時既に「名女優」の仲間入りをしていた中谷美紀はもちろんですが、当時はまだある意味若さが売りだった戸田恵梨香も負けてはいません。そしてさらに言えば、現在休業中である谷村美月さんも、このツートップに食い込んでいますし、ある意味では戸田恵梨香さんを抜いているとも言えます。無理は言いませんが、個人的には是非復帰してほしい女優さんの一人です。

と、とにかくこの映画、わざわざ見るほどではないかもしれなませんがストーリーもいいし、俳優陣(特に女優陣)の演技もいい見て損はない、というタイプの映画のある意味決定版です(言い忘れましたが南果歩さんもすばらしい!)是非ご覧ください。


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