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アマゾンプライムお薦めビデオ③ 147:ファンタスティックとは驚きでありためらいであり衝撃である:伝説のアニメ作品『ファンタスティック・プラネット』

今回お薦めする作品はこちら。奇作にして怪作にして傑作!『ファンタスティック・プラネット』です。

ファンタジーがいわゆる愛らしい夢なのであれば、ファンタスティックはむしろ「悪夢」といっていいでしょう。この映画、フランス作品ということもあり、その絵や雰囲気からいわゆるシュルレアリスムを連想される方も多いかと思います。

しかし、この映画が制作されたのは1973年で、輝かしいシュルレアリスムの運動はもはや過去の話となってしまった時代です。この映画も、ある意味、それがメタファーとして指示している事柄は、分かりやすいですし、その分かりやすいという意味で、何がなんだかわけがわからない、というシュルレアリスムとはやはり一線を期しています。その意味では、消費されてしまったシュルレアリスムといってもいいでしょう。

しかし、それでも消費されきれない部分が依然として残っています。それがこの映画の魅力であり、まさにこの映画(アニメ)がファンタスティックである所以(ゆえん)です。特に、瞑想のシーンとそれにともなう身体変化の場面、これは素晴らしいです。またここに出てくる人間以外の生物及び植物はすべて魅力的、訳が分からない、想像の斜め上を行っているという意味で、非常に魅力的です。どうして?何のために?、それこそが消しても消しきれないシュルレアリスムの魅力です。意味というかその背後にあるものを喚起させながらも、それが何であるかがわからない、その意味でまさに悪夢的であり、フロイト的な意味での無意識的です。

また、この映画、音楽もいいです。エレキギターのカッティングが最高にかっこいい。さらに言えれば、どうしてここでこのロック的な音楽なの、と思わせてくれるところもいい。

ストーリー的には、分かりやすいという意味で、この映画いわゆる「カルト」映画ではないかもしれません。しかし、映画の魅力というのはストーリーだけではない、その絵であり、色であり、デザインであり、音楽であり、世界観である、ということを改めて知らしめてくれる映画です。

ということで、まだ見ていない人は、是非、見てみてください。
お薦めです!


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