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『無くしたもの』

大きさは大き過ぎて

両手で拾い集めでも

雫を残さず掬い集めても

残ってしまい集めきれない


パーゴラの森は

静かに黙ったままで

何も返してくれない


海鳥が泣かずに

飛んで去っていった


もう来ることはない

追いかけず追い求めず

振り返らずに

ただ目の前に広がる

海と空と大地を

ただただ見ていたい


目頭が熱くなり

時折こぼれ落ちるもの

サングラスでひた隠し

静かに時を過ごし

今いる場所と同化する


時は帰らず


人も帰らず


居場所も帰らず


自身も帰らず


風は吹き


草は揺れて


時折聞こえてくる

笑い声は風と共に流れていく


そんな中に


ただ一人佇み


ただただ風に吹かれて


太陽の下で時を過ごす


お腹が空いたとか


暑いとか寒いとか


言わず感じずに


鳥の囀りと海と風の音を聞き


ただただ時を過ごす


それが


せめてもの


罪滅ぼし


なのかも知れない


ここは


もう別の人のもの


此処には誰もいない


誰の声も存在しない


聞こえてこない



無くしたもの




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