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キミの世界線にうつりこむ君 第二章

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第二章をまとめています(関谷颯編)
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連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第二十八話 自分が“好き”

連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第二十八話 自分が“好き”

 校舎を出て、しばらく歩いていくと、そこにはあの時と変わらず、桜の木が立っている。

「俺も覚えてたよ、あの約束」

「え?」

関谷のことだから、すっかり忘れている。そう思っていたから意外に覚えていたことにギョッとする星崎。

「あれに支えられたのは碧だけじゃない、俺もだった。
だから、ここでもう一度誓いたくなったんだ」

桜の木を眺めながら決心する。

「今度は何を誓うの」

横顔を見ながら星

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連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第二十七話 大切な家族だから

連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第二十七話 大切な家族だから

 「これからどうするかはっきりと決めてはないんだけど、もう家には戻れないな・・・」

父さんに言われた言葉を思い出す。

その時

ーーーガラッーーー

保健室のドアが開く音がした。

「お兄ちゃん」

可愛らしいピンクのワンピースを着た少女。

「琴・・・」

妹の姿を見て驚く関谷。

「お兄ちゃん、
お父さんと喧嘩しちゃったんだよね。
なんで喧嘩しちゃったかわからないけど
お母さんが

『もう

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連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第二十六話 嘘の意味

連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第二十六話 嘘の意味

 その言葉に走馬灯のように思い出が駆け巡ってゆく関谷の脳内。

「関谷、僕は星崎先輩からしたらお前と過ごした時間は短い。
でも、関谷颯が好きだ。
どこまでもバスケが好きで、時には笑わせてくれてそんな関谷がいなくなるわけじゃない。もっとこれからも好きになるんだと思う。
だから、これからも馬鹿みたいに笑い合おう」

マイクを持つ手は震えているけど、心のこもった一言を向ける滝川。

「そうですよ!僕は関

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連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第二十五話 言葉の刃

連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第二十五話 言葉の刃

 「佐渡君」

アップが終わって、タオルで汗を拭いている佐渡の下へ松永さんが声をかける。

「こんにちは!今日はよろしくお願いします」

背すじをピンとする。

「今日の試合、佐渡君のプレー楽しみにしてるからな」

ほんの少し圧をかけるように言う。

「はい、期待に応えてみせます」

プレッシャーを感じながらも元気よく答える。

「じゃあ、私は観客席にいるから」

挨拶を済ませると松永さんは観客席

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連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第二十四話 五月雨祭

連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第二十四話 五月雨祭

 いよいよ、五月雨祭がやってきた。天気は五月雨祭という名前とはうって変わって晴天だ。

「いよいよですね!星崎先輩、滝川先輩!」

朝からテンションが高い花森。

「そうね、今日は生徒会の仕事たっくさんあるから協力して頑張っていきましょう!」

今日のスケジュール表を片手に明るい声で話す生徒会長の星崎。

「そろそろ開会式の時間よ、早く行きなさい」

同じようにスケジュール表を確認する宮野先生。

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連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第二十三話 パンドラの箱

連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第二十三話 パンドラの箱

 ー男が好き、それだけなのにー

迷いもないその人差し指で押されたツイートはアップされる。

「はあ・・・」

少しため息をついて、さっき上げたツイートを見返す。すると

「ヤベッ」

いつものところにツイートしたはずが、学校の同級生や友達と繋がっているメインのアカウントに投稿してしまったことに気づく。

「消さないと!」

慌ててツイートを消去し、座りこむ。

(すぐ気づいてよかった)

安堵し

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連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第二十二話 桜の誓い

連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第二十二話 桜の誓い

 体育館から出た関谷は、むしゃくしゃしてしょうがなかった。

「ごめん・・・」

言うつもりなんて一ミリもなかった言葉を・・・碧に言ってしまった。

「碧とはずっと一緒にいて、一番俺のことを理解してくれてるやつなのに何やってんだ、俺」

自分で自分の頬を思いっきり殴る。ジンジンとして痛みがどこまでも消えることはない。

教室の自分の席に向かい、一人で項垂れる。

そんななか、

「関谷先輩!」

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連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第二十一話 言うはずがなかった言葉

連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第二十一話 言うはずがなかった言葉

 関谷が濡れたまま校舎に入ると

「うおっ」

滝川が二度見しながら驚く。

「滝川・・・」

「どうしたんだ、関谷。そんなずぶ濡れで」

駆け寄って伸ばしたその手を払われる。拒否されたことに、さらに驚きを隠せない滝川。

「あ、ごめん・・・」

そんなことをするつもりはなかったのに、手を払ってしまったことに罪悪感を感じる。

「いや、こっちこそごめん」

反射的に謝る滝川。

「滝川、申し訳ない

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連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第二十話 雨のせい

連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第二十話 雨のせい

今日も梅雨が終わるどころか、威力を増して降る雨の音に目が覚める。

「ふあーあ」

背伸びを大きくして息を吐く関谷。横にある目覚まし時計のアラームを止めてぼんやりとする。
その後、Twitterを開いて、ツイートをする。これが毎日のルーティーン。どうせ今日も憂鬱な1日であることに変わりはない。

ー男子とつるむのは楽しいけど、俺はただの友達になんて見れなくなってしまったー

小さな本音を吐き出して

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連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第十九話 心の殻

連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第十九話 心の殻

「はあーっ」

家に着いて自分の部屋のドアを開けてベッドにダイブする関谷。大の字になったまま天井を見上げてぼーっとする。

「今日もいつも通りにできたかな」

毎日、この言葉で俺はようやく自分の殻を脱いでいるような気がする。
それはきっと俺自身が自分を信じているようで信じきれていないからだ。このムシャクシャを落ち着かせるように

ーブレイクしてるモデルの伊吹カッコいいし付き合いたいー

Twitt

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連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第十八話 葛藤と積み重ねられる嘘

連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第十八話 葛藤と積み重ねられる嘘

「あれ、まだ帰ってなかったんだ」

関谷が滝川たちを見つける。

「おお、関谷じゃん」

挨拶すると同時に

「滝川先輩、先に帰りますね」

気まずい状況を切り上げるように花森が早歩きで教室を出ていく。

「あっ」

止めなきゃいけないのに行動にできず、そのまま立ち尽くす滝川。

「花森さんと何かあった?」

「いや、何でもないよ」

誤魔化すように関谷の方を向いて否定する。

「ここで会えたのも

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連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第十七話 表と裏

連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第十七話 表と裏

 教室に入ると、クラスの男子が関谷の机を囲むように話している。

「おはよ」

クラスメイトたちに一声かけると

「お、関谷。おはよ」

口々に挨拶が飛び交う。

「関谷って、彼女いたことある?」

隣の席のクラスメイトに聞かれる。突然の質問に一瞬、反応が遅れる関谷。

「え?いきなりどうしたんだよ」

「実はさ、関谷と付き合いたいって後輩の生徒がいてさ」

スマホに保存してある一枚の集合写真を見

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連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第十六話 ありふれた朝

連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』第十六話 ありふれた朝

 恋の話に花が咲いている頃、体育館では男子バスケ部が練習している。

ーーーダンダンーーー

バスケットボールの音が静かにこだまする。ゴールへの道には相手が三人立っている。首を振って周りの状況を確認していると相手の一人がボールを奪いにくる。
それを待っていたかのようにゆっくり一歩ずつ下がった後、早く走り、相手の横をすり抜けていく関谷。

その勢いのままゴールに一直線。

シュートしようとするが、同

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連載小説『キミの世界線にうつりこむ君 第十五話 誰もが知っている“君”

連載小説『キミの世界線にうつりこむ君 第十五話 誰もが知っている“君”

あれから何事もなかったように学校生活は回り始めていて、変わったことといえば、滝川と花森がよく話すようになったことだ。

「滝川先輩、星崎先輩が探してました」

廊下に姿を見つけると、ひょっこり顔を出して軽く知らせる。

「あ、そうなのか。星崎先輩を怒らせるとまずいんだよね」

そう言いながらも、余裕を見せていると

「ん?誰が怖いのかな」

後ろには目が笑っていない星崎が立っている。

「あ、いや

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