Kazuya Takahashi | 髙橋一也@ELSA 3分で読める実践型学習理論・脳科学コラム!

教育現場と学習理論と脳科学の橋渡し/ Senior Business Developm…

Kazuya Takahashi | 髙橋一也@ELSA 3分で読める実践型学習理論・脳科学コラム!

教育現場と学習理論と脳科学の橋渡し/ Senior Business Development Manager@ELSA Speak/ 私立学校団体研究員+2自治体・教育委員会アドバイザー 東京理科大学非常勤講師/ 東北大学医系研究科人間脳科学博士課程に幽霊学生として参戦中

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「とりあえずやってみる」はなぜ効果的か

失敗・・・ この単語は誰もが避けたいと願っていることです。しかし、実は使い方によってはこの「失敗」が成長への手がかりとなることがわかっています。さらに、上手い先生が失敗を意図的にデザインすることで、学びが加速するという報告も成されています。 そして、アメリカのスタンフォード大学やマサチューセッツ工科大学を始め、世界中の企業や研究機関が「失敗」を「学びの手段」として考え始めているのです。 生産的な失敗M. カプールという研究者がシンガポールの小学生と中学生を対象に行った研

    • 「地位が人をつくる」G.ミードの役割取得理論から学ぶ、子どもの成長と発達

      地位が人をつくり、環境が人を育てる「地位が人をつくり、環境が人を育てる」という故・野村監督の格言があります。 この格言は、人間の成長と発達において社会的な役割や環境がいかに重要であるかを示唆しています。 実はこの考え、今から100年も前にG. H. ミードという社会心理学者・哲学者の著作"Mind, Self, Society"という本の中で展開された、社会的行動主義の理論とも深く関連しています。 ん、行動主義?今、行動主義という言葉にピクリと反応しましたね。 そう行

      • 探究には、教師の適切な指導(guided instruction)が必要みたい

        面白い投稿があったので、 これは本当なのか確認してみた。 結論 探究型教育の頻度と科学の成績の間には、ほとんど関連が見られなかった。部分的に関連が見られたのは、教師の適切な指導(guided instruction)を伴う中程度の頻度の探究型教育のみだった。 ここ注目。じゃ、適切な指導ってなんやねんってことなんだけど。 この論文で紹介されているのは という身も蓋も無いことが紹介されて、一瞬焦るんだけど、ちゃんといいキーワードが。 それは認知負荷を減らすことをしろ、

        • (続)未来を生き抜く子どもたちへ〜デューイ流 「考えること」 のトレーニング

          chatGPTが登場して、急激に情報化が進展する現代社会。 今後どのような教育+子育てが最適解なのだろう と悩んでいる人も多いのではないのでしょうか。 何を隠そう、私もその一人です。 手に職またはプログラミング、はたまた語学力か? あれこれ未来を勝手に想定し、悶々としてしまいます。 しかし、 私たちは日々複雑怪奇な問題に直面しますが、そうした時に的確な判断を下し、問題を解決に導くことができるのは、鍛え上げられた思考力があればこそだったりします。 そこで、デューイ

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        • 協働学習(学び合い系)関連
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          子育ての科学:行動主義の父・J.B.ワトソンから学ぶ

          はじめにワトソン シャーロックホームズのワトソンでもなく、IBMのワトソンでもなく、 キラキラ心理学・教育関係の本で今となっては役ただずみたいに書かれているワトソン 「みんな、そんなに俺のことが嫌いなのか」って声が聞こえてきそう。 しかし、そのJ. B. ワトソン。 今から約100年前、「行動主義」という画期的な理論を打ち立てました。 え、画期的?だって時代遅れじゃん、って言っているそこのあなた。 今回の記事では、アルバート赤ちゃん実験などから「怖い+やばいおじ

          経験学習の本質とは?デューイに学ぶ「良質な学習経験」のヒント

          昨今、教育現場や企業研修では経験学習の重要性が叫ばれています。対話主体学びや問題解決学習など、学習者の能動的な参加を促す教育方法への関心が高まっています。 しかし、体験学習とは単に学習者を何らかの活動に参加させればいいってものではありません。 そこで今回の記事は、Mr. 経験学習、20世紀初頭のアメリカの哲学者・教育者であるデューイの登場です。 デューイは、著書 "Experience and Education"(経験と教育)の中で、経験を通した学習の本質と意義につい

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          ヴィゴツキーに学ぶ、これからの教育のあり方

          今回は、20世紀の偉大な心理学者の一人、レフ・ヴィゴツキーの理論について紹介したいと思います。 教育学や心理学を学ぶ学生にとって、ヴィゴツキーといえば、最近接発達領域やら足場理論やら、最近のイケている教育テクに満載なパワーワードの創造主ですね。 でも、じゃ本読んだことがありますかって聞かれたら、多くの人は目をそらしてしまうのではないでしょうか。 そこで今回の記事では、ヴィゴツキーが人間の知能発達をどのように捉えていたのかを、彼の主著 "Mind in Society"

          知能の発達とは?ピアジェ理論を読み直す

          はじめに 心理学や教育に興味がある人だったら誰もが耳にしたことがある方の名前、そうピアジェ。 しかし、Wikiやネットで調べて出てくる程度の情報を軽く読み流してレポートに使っただけで、ピアジェどのようなことを考えていたのか(実は)知らないでスルーしていたりしませんか。 というのも、そのはず。おそらく最もよく知られている著書、『知能の誕生』は530ページ近くあり(爆)、手にする初学者をその重さ・分厚さで圧倒します。 この記事では3分で読み切り、なおかつ、ピアジェの本をち

          図を描くことが学習に効果的な理由 ー 脳科学と認知心理学の知見から

          もうかれこれ20年前の話 文章を読んで、図を描くという非常にシンプルな行為に興味をもったのは、かれこれ20年も前のことでしょうか。 かなり個人的な話になってしまうのですが、当時ルームメイトだった友人がA.T.カーニーというコンサル会社に就職が決まり、お互いに別々で住むことになりました。(当時の日本でルームシェアって相当珍しかった) 友人に久しぶりに会った時、彼がA4の方眼ノートを持ち歩いているのに気づきました。ノートを見せてもらったら図や話の構造をビッシリと描きこんでい

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          人の考えはそう簡単に変わらない

          さて問題です。 月はどうして満ち欠けするのだと思いますか? はい! 月がいくつもあるからですっ。 私たちは子どものころから無意識のうちに身の回りのものごとに関してある考えを持つようになります。そう、たとえそれが月の満ち欠けする理由は、いろいろな月が毎回登場するという荒唐無稽な発想であっても。 例えば、葉っぱの色はなぜ緑色なのか? という問いに対して、光合成をするために緑色の光を吸収するからと答える子どももいる(とおもう)。 さらに子供は(文化的な差についての議論は

          「考えるのを楽しむ力」を育てよう

          はじめに これ、大人にとっても難しいことだったりします。 考えるといっても、かなり漠然とした言葉であって、あることは楽しんで考えることができるけど、興味のないことは秒で集中力切れるというのが正直な感想ではないでしょうか。 心理学の研究では、自分の興味対象が意欲の根源という研究結果が数多く存在していますし、脳科学的には自分に関係のある・好ましい情報は帯状回(ACC)という脳内で情報が処理される時に真っ先に好き / 嫌いの判定を下す部位が活動するということがわかっています。

          他人からもらったノートで勉強しても効果がないのはなぜか

          今だから言えるヒミツ昔、小学生か中学生のころ、テストでどうしてもいい点をとりたいと思って、こっそりカンニングペーパーを作った。 四角い付箋ぐらいの大きさの紙に、小さい字でみっちり書き込んだ。 老眼が少し入ってきた今だったら絶対に見えないような字で写経のように書き込んだ。 テスト当日、カンニングペーパーを使うの忘れてしまった。 というより、使わなくてもめちゃくちゃ覚えていて、テストが解けた。 一方、大学のころ、ほぼ授業に出ていなくて遊んでいた時、悪友から 「⚪︎⚪︎く

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          教育DXとは、学ぶ<プロセス>を重視すること 新しいICT機材を買うことじゃないよ

          名門学校に合格すれば、東大に入れば、有名企業に入社すれば・・・ 日本という国で生活していると幼い頃からこのような「〜に入れば」安泰、みたいなマインドを多かれ少なかれ植え付けられますよね。 それは偏差値教育というシステムのなかにハマってしまうと、洗脳というレベルで迫ってきます。 ま、今ではそれが海外にまで拡張され、Ivyの大学卒業すればとか外資に入れば上がり、みたいな感じになっているけど、根本としては「〜をすれば・になれば」おしまい、という感覚を持っているのは否めないでし

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          ゲリラ的学習法のススメ 〜行き先不明な時代だからこそ、「学び方」を学ぶ

          学びの「ぬるま湯」状態学びの「ぬるま湯」とは? 文字通り温度の低いお湯のことですが、ここではちょっと異なる意味で使います。 1983年版の岩波書店の広辞苑によると、「ぬるま湯につかる」とは「現在の境遇に甘んじてぬくぬくとくらす」らしい。 では、学びの世界で「ぬるま湯」につかっているとは、どういうことでしょうか? おそらくみなさんでしたら、難しいことに挑戦しない、簡単なことばかりをやっている状況のことを意味していると思うかもしれません。 もちろん、それも正解です。

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          「出来ないという」思い込みがパフォーマンスを下げる

          はじめに 「どうせ○○○だからできないよ」 この言葉、今まで何千回、何万回耳にしてきましたか? 忌まわしいこのセリフは、予告なしに、しばしば私たちの日々の生活に静かに忍び込んできます。 その一方、 「私はできる!」 このシンプルな言葉には、山のような困難さえも乗り越える魅力的な力がありますよね。いつもこの言葉をお守りのように抱きしめていたいものです。 ところが、時には、人々の期待や、あるいは「こうあるべきでしょう」という謎の固定観念によって、その自信がぐらぐら

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          教育の選択: 学校教育とオルタナ教育で何が違ってくるのか

          はじめに 世の中には多種多様な教育方法が存在しています。 伝統的な学校教育の方法と、モンテッソーリやシュタイナー、 イエナプランといったオルタナティブ教育が挙げられます。 そして教育に関心のある方だったらどの教育方法がいいのだろう、 子供をお持ちのご家庭だったらどこ教育がいいのだろう、 どこの学校がうちの子どもにぴったりなんだろう、 と悩んだり、情報を調べていたりするかもしれません。 今回ご紹介するのは、ちょっとしたヒント。 教え方の違いで子供たちの知識構造

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