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No.83 怖い話

どうも
いんげんの種を噛んだ時に歯とか口の中に残るザラつきと渋みが、案外好きなユウすけです


※これから書く話は本当にあった話です。


俺は小学校2年から剣道を習っていて、中学もその流れで剣道部に所属

その剣道部には夏と冬に合宿があった


ただひたすら練習!ってだけではなくて

顧問の先生が夏らしい催し物を企画してくれてた

花火とか

あと肝試しとか


その肝試しの前に、より怖い雰囲気(先入観)を作りたくて先生が話してくれた話

ここからが怖い話の本編になります


顧問の大学時代の後輩の実体験の話

物語のように書かせてもらいます


あと、読みやすいように『佐藤さん』と書かせてもらいます(日本人に1番多いから特定されない為)


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

佐藤さんは新潟出身
学校の先生になる勉強がしたくて、東京のT大学を受験。そして見事合格。

都会に住むことへの憧れはあるものの、東京の家賃の高さを目の当たりにして断念


実家の経営(酒屋)が少し傾き始めていた時期と重なり、仕送りは出来ないと以前から言われていた

そのため佐藤さんは、叔父さん(父の弟)が住む街の隣町にアパート暮らしをすることにした
正確には書けないけど、千葉県のある場所


叔父さんの住む街には、大学に続く駅と線路が無いとの理由で隣町を選んだとのこと


佐藤さんは仕送りがされない状況から大学生活をスタートしているため、少しでも長い時間働けるように大学の最寄り駅の近くにバイト先を決めていた

都内にバイト先を決めたというのには、もう一つ理由があった


それは契約したアパートがそこそこの田舎にあるため、そもそもバイトをする場所がなかったとのこと



アパートは最寄り駅から歩いて25分


途中までは民家が点々とあるのに、ある地域に入るとガラリと田んぼ道

街灯は50メートルに1本用意されているくらいで、とにかく暗い

500メートル位歩くとアパートがポツンと建っている


そんな田舎でも窃盗はあるもので

大学入りたてに自転車を購入していたものの、数日で盗まれてしまったらしい

高校でサッカーをしていた佐藤さんはハードな部活が一気になくなってしまって、運動不足から肥満にならないかを早々に気にかけていたらしく、窃盗されたことを機に駅からは歩こう!と決めたんですと


そんなこんなで大学生活を過ごしていた


バイトしながらの大学生活も大変ではあるものの、楽しく過ごしていたが

佐藤さんは1つだけ気になることを抱えていた


それはアパートの住人


アパートは2階建ての全6部屋のこぢんまりとしたもので、自分は102号室を借りている

住人は...

101→単身赴任の男性
102→自分
103→40過ぎの少しおせっかいなオバさん

201→根暗なお兄さん
202
203→少し綺麗な20代後半の女性


引っ越してきてからすぐに各部屋にコンビニで買った安い箱お菓子を持って挨拶に行った


ただ


202号室だけは留守


生活の仕方や仕事によって在宅時間は違うものだから、まぁ今度だなと


しかし、いつ挨拶に伺っても不在

おかしいなぁと思いつつ自分の生活を続ける


大家さんからは『あなたで入居が全部埋まって嬉しいわ』と言われていたため、住人はいるはず


そんなこんなで2週間程過ぎたある日


ルーティンとなっていた大学後のバイトを終えて帰宅時間は夜の11時過ぎ

田んぼ道を100メートルほど歩いた時、202号室に目が行った
カーテン越しに灯りが付いているのがハッキリと分かった


『遅いけど、仕方ない!コレを逃したらいつになるやら!』

そう思って、足早に家方向に向かう


アパートまであと100メートルほど

カーテン越しに激しく踊っているのが見えた


急いで部屋の鍵を開けて、挨拶用に買い替えて置いた洗濯洗剤を持って202号室の前に


インターホンを鳴らす


...



...?


もう一回、インターホンを鳴らす



...



『なんで?』


佐藤さんは階段を降りてベランダ側から見上げると、やはりカーテン越しに踊っているのが見える


『なるほど。あれだけ激しい踊りなのに音がしない。ヘッドホンで大音量にして踊っているんだな。そりゃー聞こえないよね』


ってところに落ち着いた


諦めて部屋に戻る



次の日も同じ

大学終わりにバイト

バイトが終わったら帰宅


そして、また帰り道に202号室のひとが踊っているシルエットがカーテンに映し出されている


今日こそはと202号室に行きインターホンではなく、少し強めにドアを叩き続けてみた


でもやっぱり反応がない


佐藤さん、いい加減に嫌な気持ちになってきたのでそのまま帰宅


次の日、やはり納得いかないと思い大家さんに詰め寄った


そしたら大家さんが話し始めた



『...ごめんね。実はあのお部屋には、いま誰も住んでいないのよ。カーテン越しにシルエットが映るのは私も知ってる。

あの部屋に住んでいた子はね、訳あって高校2年からうちのアパートに一人暮らししていた男の子だったんだよね。

家庭環境に恵まれずに苦労したみたい。でも、学校の先生にとても良い人がいてね。腐らずに済んだのはその人のおかげだって思ってて、学校の先生になるのが夢だったみたいなの。

でも、大学受験に失敗。二浪して頑張っていたけど、3年目は気持ちがもたなかったのね。




あのお部屋で、首を吊って亡くなったのよ


首元が血だらけで掻きむしった後

爪には皮膚と肉片が少し挟まっていたそうよ


....


あなた、たしか学校の先生を目指して大学行ってたわよね?


なにか思うところがあったんでしょうね』



大家さんから事実を告げられて、軽い生返事だけを残して佐藤さんは自分の部屋に戻った




『じゃあ.......踊っていたんじゃなくて...』






話を聞いてまもなく、アパートを出たとのこと


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


あとで先生に聞いたら

佐藤さんは今(話を聞いた時)、中学校の先生をやっているとのことでした


夢は叶ったものの


どこかに『何か』が残り続けるんでしょうね....




ほんならね〜







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