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勘違い

高齢者施設のお客様と言えば、高齢者である本人とそのご家族様である。分かり切ったことだけど。

なので、もしもクレームが来たら真摯に受け止めなければならない。
ところが、今日近所のケアマネさんが持参して来た苦情対応の書面を読んで絶句。
ショートステイのご利用者様のご家族様からだった。

あきらかに言いがかりとしか言いようのないことが、一面にびっしり書かれてある。
うちの施設に対する苦情なので、私たちはそのクレームに謝罪した上でサービスを改善して行かなければならないわけだが、白い部分が見えなくなるほどびっしりと書かれた文字に引いた。

しかもそのご家族様のことをどんなに良く見ようとしても、ちょっと無理があった。あまりご自宅で見て下さっていないので、まるでこの利用者様本人のことを知らない。ご自宅で作って来た怪我をこちらでせっせっと治していることの繰り返し。

にも関わらずの、その罵詈雑言を読みつつ「困ったな。どう対処しようかな、これ。無理なことばかりだな。」と思っていたところ、施設長が「これは・・・おかしいな。もう来て貰わなくても良いと思う。」ときっぱり言った。何せ職員の誹謗中傷まで書いてあるのだから。

”来てくれなくて結構。”
私たちがそれを言うわけには行かないものの、長がその文面の異常性を感じて下さっていることにちょっとほっとした。無理な要求には答えなくて済むのだと。

ところがその後お電話したところ、ご家族は「いや、ずっと利用したい。ショートステイを利用しながら特養の本入所に繋ぎたい。」と仰るのだと言う。無理な要求を通し続けるし、誹謗中傷はし続けるけど、利用させろというのだと言う。

何だか、介護云々の話というよりは、他での不満を全部こちらへぶつけているだけのようなのだが。

こんなふうに人対人としてお付き合いや取引きができなくなった顧客を、施設長がキッパリ断るのにはいくつかの理由がある。もちろん職員を大事にしているというのもあるが、自身が仕事が出来る人なので、利用者様、ご家族がいつも行列を成しているからだ。
うっかりするとショートステイもオーバーベッドしてしまうというのはしょっちゅうだ。「申し訳ありません。今はベッドが塞がっています。」と言うことも多々あり。
施設長はそれは私たちが頑張っているからだと言ってくれるが、この人はあきらかに一味違う。

逆に、ご家族様や居宅のケアマネから聞いたことをそのまんま職員に要求する相談員や施設長は、ただただ顧客にしがみつくだけの人。逃したら後ががない!という状態の人とも言える。
結果、職員が疲弊しているので、その施設は粗悪なサービスしか出来ない施設と化している。
ご家族様の言うことを鵜呑みにしてよいしょするばかり。一切指導やアドバイスもせず、長く生きられる命を短くしている有料老人ホームも山ほどある。

私もいつか利用する側の人間になるかも知れない。でも、その際には、人として礼儀ある取引きが出来る顧客ありたいなと思う。そうでないと結局は切られるのだ。

”言うだけ言いたい。好きなことを言いたい。思いきり怒ってみたい。嫌なことも言ってやりたい。かしずかせたい。威張りたい。でも、ずっとお付き合いをしたい。
そんなことは夫婦だったら離婚だし友人だったら絶好だ。親兄弟でも絶縁だろう。
それは人対企業でも同じことなのだろう。

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