見出し画像

人は見かけに寄らない / 幸せな金縛り状態

採用面接の時に好印象だった方が居た。
ただそこに座っているだけで貫録があってどこぞの師長さんですか?という雰囲気だった。
話をしてみてもしっかりした考えを持っておられて頼もしい。

私は施設長に「採用させて下さい。」とその場で頼んだのを覚えている。
現場を引っ張ってくれそうだし、逆に私が怒られるようなシチュエーションも期待できる。施設が良くなりそうだ。

直感は半分以上当たっていた。経験値があるので、この施設のおかしいところをちゃんと見抜いてくれて委員会でも適格な意見を言ってくれている。

でも、介護職員とのやり取りで傷ついて帰って来ては「こんなふうに言われました。」としょっちゅう言って来る。「あの人が○○さんをいじめています。」とか「こんな間違いがありました。」とか。

そういうのは、その場でドンドン言って注意して下さいと言うのだが「言えないんです。」と返って来る。中には『いや、それは多分誤解だよね。相手はそんなつもりで言ったんじゃないんじゃないかな?』と言うような内容も多い。
やがて分かった。人は外見で決めつけてはいけない。繊細さんなのだ。

ちょっとしたことで傷ついたり「あの人を叱って下さい。正して下さい。」と言う流れが多いのも、全て怖がりの繊細さんからなのだろう。

そして当然私がそれを言われた通りに注意することになっているし、彼女が気が付いて変えた方が良いと思うことに関してはすぐに私が動くという流れになっているが、ちょっと待てよ。

こう見えて私が繊細な部分が少しはあるのだ。だから疲れる。

てなことに気が付いたのであまり振り回されないようにしている今日この頃。

逆に私はというと初対面の人にひ弱でおとなしそう、守ってあげなければならないという印象を持たれ、かなりのおせっかいを最初の頃に限って焼かれる。
しかし、しばらくすると非常に図太くて生意気ということがばれるので可愛さ余って肉さ百倍、やれ洗礼を与えてやる!という対象になるのだが、次にしばらく意地悪してみるが、無駄だ、こいつ、全然こたえない、それどころか倍返しで来るので面倒臭いということがばれて平和になる。どこに行ってもだいたい同じような流れである。

話は戻るけれど、人は見かけに寄らない。だからじっくり付き合ってみると面白いのかも知れない。

***

前回、白猫ブランカの初爪切りをやった際に、引っ掻きもせず、ただ「止めてー!止めてー!」と高い悲鳴をあげているだけだったので涙が出てしまったというようなことをここに書いた。何で人間の勝手でこんな可哀そうなことをしなければならないのかなあ?(まあ、それは家猫は気に登ったり狩りをしたりしないので爪が伸びて自分の肉球に刺さってしまうからなんだけど。)と思って可哀そうになったのだ。

しかし、今回は、「暴れないでいてくれたらすぐに終わるよ。」ということを説明したところ、何とまあ二回目にして無抵抗。それどころか、グルグルと喉を鳴らして機嫌が良い様子。私が抱っこしてKちゃんが切るという作業だったが、一緒に詰め先を見詰めながらグルグル、ゴロゴロと嬉しそうにしているほどだった。
それはそれで、何だか感動してしまった。ますます親馬鹿になっておやつをふるまった。

膝の上で寝ている時に自分の手を枕にされたのはうかつだった。3時間動けないでいる、これもまた親馬鹿の所業だった。
小さなことが夢のように幸せだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?