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【Fallout】ドラマ版フォールアウト、ついに配信開始!傑作SFシリーズの前提知識となる世界観を解説

こんばんは ぷらねったです
2024年4月11日 日本でもついに ドラマ版『Fallout』がAmazon Prime Videoで配信開始されました
素晴らしい内容ながらも「ゲーム版をプレイしていないと分かりづらい」という声も聞こえてきます


今回は ドラマ版『Fallout』の世界へ旅立つ前の方々に向けて ネタバレを控えたドラマ版の解説や『Fallout』シリーズのもつ大きな魅力 必要と思われる前提知識などを紹介していきたいと思います
動画の前半では『Fallout』シリーズの概要や さまざまな人種,勢力について...後半では ドラマ版に登場する独自のアイテムやキャラクターについても いくつか紹介させていただきます


『Fallout』とは

まず『Fallout』とは...核戦争後のアメリカを舞台にした物語が描かれる 1997年にリリースされたゲームからはじまったシリーズです
SFのジャンルで言えば 先日特集させていただいた ポストアポカリプスに分類されます


この世界は荒廃している上に放射能が漂っており アメリカ全域は『Wasteland(ウェイストランド)』と呼ばれるようになっています
Wasteは"無駄", Landは"土地"を意味するので 合わせて"無駄な土地"という皮肉なネーミングです
もっとも このタイトルは1988年のゲーム『Wasteland』が元になっているのですが...これについて興味のある方は ぜひ調べてみてください


ゲーム版では主に 21世紀から23世紀という時代設定になっていますが シリーズを通して 冷戦時代のアメリカがイメージされており いわゆるレトロフューチャーな雰囲気が漂っています
1950年代に影響を受けた世界観ということで ラジオが頻繁に流れたり 音楽も1950年代以前の曲が多く使用されている という特徴があります
"テクノロジーの発展による希望"と"核による破滅の恐怖"という対比的な内容や さまざまな政治イデオロギーをテーマにした 皮肉たっぷりなブラックユーモアが光るシリーズです

今回のドラマ版のシーズン1については 全8話で描かれています
基本的にゲーム版の精神性を受け継いでおり 物語の時代設定は 核爆弾の投下が起きた2077年から 219年経った世界です
製作総指揮には 最近「オッペンハイマー」も日本公開された クリストファー・ノーラン監督の弟である ジョナサン・ノーランとリサ・ジョイの夫妻などがクレジット
2人を中心にドラマ化が実現されたといいます
『Fallout』については 以前映画化の噂が出たこともあったのですが 中止になってしまった経緯もあり 今回が待望の実写映像化となります

登場人物紹介

そんな今作では 主に3名のキャラクターが活躍します


まず 物語の主人公になるのは『Vault(ヴォルト)』と呼ばれる地下シェルターで生まれた人間であり 外界を知らずに暮らしてきた若き女性 ルーシー・マクレーンです
そもそも『Vault(ヴォルト)』とは...Vault-Tec社という企業によって 核爆発以前に建設された避難用シェルターであり 100以上の施設が各地に存在し 施設ごとに番号が振り分けられています
ルーシーは『Vault 33』出身であり"修理スキル"と"科学スキル"をもつため 工学関係の知識をもち 得意分野としています
また 射撃や格闘の訓練も積んでおり なかなかの腕前のようです


『Vault』については 一部の人々だけが入居権を持っていたため 核爆発の際に逃げ込んだ者は 安全に生き延びた...ということにされてきました
それぞれの『Vault(ヴォルト)』は 選挙で選出されたリーダーである監督官の管理の下で ウェイストランドとの関わりをほとんど拒絶して 閉鎖された環境の中で生きてきました
主人公のルーシー・マクレーンは いなくなってしまった父親のハンクを探すために そんな『Vault(ヴォルト)』を抜けだし 未知のウェイストランドへ旅立つことになる...という物語が描かれます


ドラマ版の設定として Vault 31,32,33は施設内部で繋がった構造になっていますが ここが物語の重要な部分になっています
この辺りの展開については ルーシーの弟である真面目な青年 ノーム・マクレーンが活躍します


なお『Vault 31』出身であり ルーシーの父親のハンク・マクレーンを演じるのは みんな大好きな(?)「ヒドゥン」,「ツインピークス」,「デューン/砂の惑星」でお馴染み カイル・マクラクランとなっています

2人目の主要キャラクターは この後紹介する『B.O.S』に所属する マキシマスになります
マキシマスは 荒廃したウェイストランド出身の人間であり『B.O.S』の下っ端階級"スクワイア"に属することになります
階級制度を重んじる武装組織『B.O.S』では 階級の高い"ナイト"が歩行型乗り込み式装甲兵器"パワーアーマー"の装備を許され 階級の低い者を従えることになっています
マキシマスは組織内で このスクワイアにあたるので より高い階級の"ナイト・タイタス"に仕え 主に荷物運びをする立場です
宗教的な側面をもつ『B.O.S』の動向には 注目していただきたいです

3人目の主要キャラクターは 賞金稼ぎのガンマンであり『グール』という種族に類する クーパー・ハワードです
『グール』は 核爆発の際の熱や放射線の影響で変異しており 非常に寿命が長い傾向にあるため クーパーは核爆発の以前から 数百年もの長い間 生き延びています
また クーパーは天才的な銃の腕前をもち 孤独な旅を続けながら生き延びている人物ですが ある特殊な経歴を持ちます
そんなクーパーの 核爆発が起きる以前の職業は...ぜひ作品を観てご確認ください

主要キャラクターは以上になりますが 他にもさまざまな人物が登場しますので ぜひドラマ版を観ていただければと思います
そんな今作ですが 主人公であるルーシーが旅することになるのは 放射能にまみれて荒廃したウェイストランドです
そこで暮らす人々は さまざまな人種 そして勢力に枝分かれしています
今回はドラマ版に登場する要素だけ 紹介させていただきます

人種について

まずは人種について...


最初に紹介するのは『グール』の人々です
彼らは 核爆発による熱と放射線の影響で皮膚が焼けただれたり 鼻が陥没してしまったりした人間です
また この変異の影響で放射線に強いどころか 放射線から栄養補給ができ 非常に寿命が長い傾向があるため 戦前からの生き残りも存在します


同じような外見をした 放射能が脳まで到達した影響で理性を失った『フェラル・グール』というゾンビのような種と混同して扱われ 差別や迫害の対象とされることもあります
『グール』は『フェラル・グール』や この後紹介する『スーパーミュータント』とは 敵対関係にないため 生存率が高い傾向にあります

つづいては『スーパーミュータント』です
彼らは 強制進化ウイルス(FEV)にまつわる 危険な実験の結果に生まれてしまった 凶暴な生命体です
元々は人間でしたが 強制進化ウイルス(FEV)を投与された影響で 2メートルを超すサイズになっています
多くは群れとなって行動し このウイルスの影響によって皮膚は緑色に変色し 体は筋肉質で巨大化し 寿命は無限です
極めて高い体力や 放射線耐性をもつ代わりに 性別は失い 知能は低下しています


本能的な原始的知性はありますが ウェイストランドに住む人々を食料とみなしているため 対話可能な者はわずかです
生殖機能がないため さらった人間に強制進化ウイルス(FEV)を投与して 仲間を増やしているとか そうでないとか...
今作では名前だけの登場で影が薄いですが 敵対視する者にはすぐに襲い掛かる 危険な生命体と言えるでしょう
ドラマ版がシーズン2以降も続く場合は 間違いなく目立ってくると思われます

その他にはロボットの数々なども存在しますが ドラマ版では大きくフィーチャーされないので 省略させていただきます
もはや 旧来の世界観における 白人,黒人,黄色人種などで分けられた人種の概念が 核爆弾と共に吹き飛んだ『Fallout』の世界
そこには さまざまな目的をもって活動する勢力が存在しています

勢力について

まずは マキシマスも所属する強大な武装組織『Brotherhood of Steel』 通称『B.O.S』の勢力です
彼らは戦前 もしくは戦時中に使われた技術や文化遺産の回収や保管を大きな目的としています
各地に支部を持っており 西海岸には本部が存在
過去には人員や物資不足を理由に ウェイストランドの現地市民から入隊者を募ったこともあります
空飛ぶ旗艦やヘリコプターをもち 武器や弾薬を含む装備も豊富で 強大な軍事力が特徴です
軍隊と警察を足して2で割ったような雰囲気の組織となっており 厳密な階級制度が取り入れられています
そのため 上の階級に属する人間の考えに追従しなくてはならず 妄信的,宗教的と言える側面も持つのです

続いては どこか怪しい企業『Vault-Tec』社です
彼らは核爆発以前から アメリカ合衆国政府との契約を結んでおり 巨大で複雑な核シェルターである『Vault』の設計や建築に加え システム開発やネットワーク管理まで行っていた 重工建築企業になっています
ゲーム版においては企業自体すでに存在していませんが ドラマ版ではそのあたりが明かされていません
ちなみに 避難用シェルターである『Vault』の目的は 表向きには"アメリカの人々を核による虐殺から保護する"というものでした
この辺りの真相は...ぜひ ドラマ版を観てご確認ください

続いては 秘密結社『エンクレイヴ』です
彼らは核戦争を予期した極右政治家や 軍人などの有力者が中心になって結成した 武装秘密結社です
その存在は 一部では都市伝説のように扱われています
中枢権力だけで核戦争をやり過ごし その後にアメリカ大陸へ帰還し"かつての合衆国政府を復活させる"という目的をもった組織となっています
核爆発以前に安全な場所に退避していたため 大きな被害を受けておらず 現在でも戦前からの技術を保持し 発展させ続けています
組織の成り立ちはアメリカ政府とその軍隊を模していて リーダーは『大統領』を自称しています
合衆国全土の奪取を大きな目的としているため 変異生物とみなしている『スーパーミュータント』や『グール』だけでなく 合衆国再建の障害となるウェイストランドの全住人の根絶を目指しているのです

他には『レイダー』という無法な略奪者の集団もいます
彼らは廃品を加工して武装し 略奪・強盗によって生計を立てています
基本的に勢力としての仲間意識はかなり低く 通常は数人が集まった小さな集団となっており 武器も豊富ではないため 戦闘力は低い傾向にあります
物資目当てで人間,生物に襲い掛かりますが 一部はしっかりと組織化されており ある程度話の通じる場合もあります
『レイダー』との遭遇には くれぐれもご注意ください

ゲーム版ではさらに多種多様な組織が存在しますが そのあたりは 今回省略させていただきます
旧来の世界における倫理観が崩壊する中で 多種多様な人々が生き延びている『Fallout』の世界
そんな『Fallout』の世界に存在する ユニークな道具や食べ物も紹介していきます

ユニークなアイテム

まずは メタリックで印象的なデザインの『パワーアーマー』です
これは 歩行型装甲兵器技術の最高峰といえる乗り込み式アーマーであり 今作では『B.O.S』が所持しています


さまざまなバージョンがありますが 基本的な動力源は"フュージョンコア"という核電池のようなものであり ジェットパックを作動させることで 短時間空を飛ぶこともできます
このフュージョンコアは貴重品であり 作中ではひとつのVault全体の電力を賄っているような描写もされています
『パワーアーマー』は超強力ですが ひとつ明確に大きな弱点があり フュージョンコアを抜き取られると機能が停止するだけでなく 自分でパワーアーマーから抜け出ることができなくなってしまうのです
その他にも 極端に足が遅くなることや バージョンによって欠陥があることなど 強力な技術ながらも良い要素ばかりではありません
『パワーアーマー』をご利用の際は くれぐれもお気をつけください

つづいて シリーズおなじみの携帯型デバイス『Pip Boy』です
左腕に装着して使用すると 本人の健康状態や持ち物 周囲の放射線濃度やマップ情報などが表示される Vault居住者には必須のアイテムといえます
他にもラジオや"VATS"という 周りの世界だけをスローモーション状態にするシステムなど 色んな機能が存在します
ゲーム版では一旦装着すると外すことは難しくなるようでしたが ドラマ版では簡単に着脱可能のようです
また 放射線が高いエリアに近づくと チリチリとした音を立てる特徴があります

つづいては 少し危ない清涼飲料水『ヌカコーラ』です
これ核爆弾以前のアメリカの国民的なソフトドリンクであり核爆発後も密封保存された製品が多量に現存しているためなのか 変わらず親しまれています
隠し味として放射性物質が封入されていることが公言されている とんでもない代物ですが 今作における倫理観の崩壊した世界を象徴する 定番飲料となっています


『ヌカコーラ・クアンタム』という カロリー2倍,炭水化物2倍,カフェイン2倍そして味2倍の製品も存在します
人間の方々については くれぐれも飲み過ぎにご注意ください

つづいては 冒険者には必須の回復アイテム『スティムパック』です
これは 体力を回復する注射器であり 体力の他に 重傷を負った体の部位ダメージを回復する効果を持ちます
大きめの切り傷や骨折も治せるので 必ず準備しておきたいアイテムです
噂によると さまざまな治癒薬と覚醒剤をブレンドして製造されているようですが 真偽は不明です

つづいては『RADアウェイ』です
これは 放射能ダメージを素早く除去することができる 唯一のアイテムです
点滴パックのような袋に入っているため 基本的には静脈注射のように投与しますが そのまま飲む方もいるようです
放射能まみれのウェイストランドを旅する方は 必ず準備しておきましょう

独自設定が数え切れないほど存在する『Fallout』の世界には まだまだ驚くべきアイテムが存在しますが 今回はこの辺りにしておきます
最後にオマケとして 変異で誕生してしまった生物も紹介させていただきます

変異で生まれた生物

まずは Gが変異によって巨大化した『ラッドローチ』です
彼らは昆虫というより もはやモンスターと言える危険性をもちます
倒せば肉も採取できるようで ウェイストランドでは ラッドローチさえも食糧という扱いになっています
「核戦争が起きてもGは生き残る」という話がある通り 昆虫は人間よりも放射線への耐性が強いとされますが これらを皮肉ったような生物と言えるでしょう

つづいては 沼地地帯に生息する『ガルパー』です
彼らはサンショウウオの一種が変異して生まれたとされ 年を取るほど巨大で強力になっていきます
放射線への耐性をもち 弱点は頭部です
地面をスルスルと滑るように移動し 意外に素早いので気を付けましょう

あとがき

以上が『Fallout』ドラマ版についての解説となります
製作総指揮のジョナサン・ノーランは 今作の成功を機に 完結前に打ち切りされてしまった「ウエスト・ワールド」のドラマ版を 再度完結に導きたい意向だと言われています
今回のドラマ版については素晴らしい完成度なので おそらく続編製作も間違いないでしょう

また ゲーム版の新作「Fallout5」のリリースも噂されていますので 今後もこのシリーズの楽しみがつづきます
さまざまなイデオロギーが絡み合い 正義の意味について考えさせられる 本作品
果たして 核爆発はどのように引き起こされたのか
そして その結果生みだされた『ウェイストランド』において 悪者といえる勢力は存在するのか
観る人によって答えが変わるのが『Fallout』シリーズの素晴らしいところです

個人的にはドラマ版も長く続くシリーズになると思っているので 引き続き注目していきたいです
また ゲームに興味がある方は ぜひ「Fallout3」,「Fallout4」をプレイしてほしいです
今回は『Fallout』シリーズを観る上で役立つ前提知識や 内容の解説でした
最後までご視聴いただき ありがとうございました

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