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忘れ去られしSF映画[6選]|②ロボット編

こんばんは ぷらねったです
一部の人に愛されながら ほとんどの人に忘れられてしまった カルトなSF映画たち
今回は「忘れ去られしSF映画」というテーマの第2弾として ロボット,サイボーグ,アンドロイドなどをテーマにしたカルト作品を紹介していきます


1.ターミナルフォース/叛逆のサイバーコップ (1994年)

監督は リチャード・ペピン
サイボーグの集団をテーマに描かれる アメリカのSFアクション映画です

舞台は2007年
そこには 凶悪犯罪に対抗するための武装サイボーグ・チーム"ターミナルフォース"が存在していました
しかし 人質の命も省みない危険な行動を取る彼らに対して 政府はチームの解体と サイボーグの廃棄を決定
その方針を知った彼らは 自衛と命令の間で戸惑った結果 姿をくらましてしまいます
彼らを追うことになった警察副署長ジャックの前に 仲間が取った行動に疑問を持ち ターミナルフォースの一員であるサイボーグのカインが現れ 最後の戦いが始まろうとしていた...というストーリーです


本作品は「ファイヤー・パワー」などで知られる カナダ生まれのリチャード・ペピン監督によって映画化されました
香ばしすぎるオープニングから期待を煽られ 序盤からとにかく銃を撃ちまくるシーンの数々が描かれます
"ターミナルフォース"とは...世界初となる サイボーグ達で結成された武装チームであり 高い戦闘能力をもちます
そんなターミナルフォース達は法を順守する存在ですが 自衛プログラムと相反する命令によって 反逆的な行動を取ってしまうのです


序盤から銃撃戦がはじまり『銃を撃ちたいだけの映画なのか...?』と思いきや ストーリーもしっかり展開していきます
自衛のルールと命令を順守するプログラムの矛盾によって 反逆行動を起こす ターミナルフォース達
彼らは融通がききませんが 人間が矛盾をはらんだ生き物だということを教えてくれるのです
1988年の傑作「エイリアン・ネイション」のように異種族のタッグも描かれ とにかく銃を撃ちまくるシーンの多い 本作品
一部の方に刺さるであろう カルトSF映画となっています

2.ガンヘッド (1989年)

監督は 原田眞人
髙嶋政宏が主演した 実写ロボットの登場する日本のSFアクション映画です

西暦2025年
巨大コンピューターの“カイロン5”は 突如 人類に宣戦布告
長い戦いの後でカイロン5は勝利を宣言すると その活動を停止しました
それから13年後の2038年
コンピューターチップを狙うトレジャーハンター集団の"Bバンガー”が カイロンタワーの屋上に飛行機で着陸し タワー内に侵入します
しかし 突如現れたバイオドロイドによって 彼らは数人を残して抹殺されてしまう...というストーリーです


「機動戦士ガンダム」をはじめ アニメによる巨大ロボットものを得意としたサンライズと 実写特撮について長い歴史と経験を持つ 東宝映画がタッグを組んで製作されました
作中にはペプシコーラが登場するシーンがあったり 外国人俳優も出演していたりして 元々海外進出の意欲があったのかも...と思うようなところがあります
巨大実写ロボットがしっかり動いていて 映像的には見どころがあるのですが 全体的に暗い画面であり 動きが分かりづらいのがもったいないところです
劇場公開版では英語と日本語での会話が入り乱れており これはおもしろい試みではありますが 映画としてかなり見づらいのが正直なところです
また 娯楽映画としてはテンポが良くないことに加え 登場人物の音量調整に難があり 特に髙嶋政宏の声がかなり聞き取りづらいシーンが多い印象です
こういった問題からなのか テレビ放映版においては 日本語を含めたすべてのセリフが再録され 日本語に吹き替えられています


監督の原田眞人は 1990年にアメリカで「ガンヘッド」がVHS発売された際 大幅な再編集が施されたことに憤慨
この時 自身の名前を監督クレジットから削除し アラン・スミシー名義での発売となりました


ちなみに『ガンヘッド』の英語表記は「GUNHED」であり「GUN unit of Heavy Eliminate Device」の略称という設定です
室内で実写の巨大ロボットが動く 本作品
傑作になり得たところも感じる カルトSF映画となっています


3.キルボット (1986年)

監督は ジム・ウィノースキー
暴走する殺人ロボットを描く B級SF映画です

買い物客で賑わう 大型ショッピングモールの警備のために配備された 3台の最新型ロボット
そのロボット達は 施設内を高速移動できる上に X線で検出した対象を レーザービームや麻酔弾で撃退できる機能をもちます
しかし そんなロボットたちは 落雷により暴走
閉店後の店内で隠れてパーティーをしようとしていた男女を次々と殺していく...というストーリーです


製作費は 推定80万ドル
B級映画の達人(?) ジム・ウィノースキーが制作したSF映画です
製作総指揮はロジャー・コーマン, そして製作は妻のジュリー・コーマンがつとめています
あらすじ的にも「ショート・サーキット」の凶悪版 といった見方もできる内容です
ショッピングモールではじまり ショッピングモールに終わる...こじんまりとした物語ですが 一番の見どころは キャタピラ走行するロボットの様子でしょうか
ショッピングモール内を縦横無尽に駆けめぐる様子は かなりシュールです


全体的に地味な演出で 店内をうろつく人間たちと 凶悪ロボットのバトルが繰り広げられます
殺人シーンでさえかなり淡泊で まさにB級といった感じです
女優陣の叫び声や爆発シーンで なんとか映画が成立している印象を受けます
当時 映画完成後の試写会での反応が悪かったため かなりのシーンをカットした経緯があるようで その痕跡なのか 一部ではシーンの切り替わりで音楽が不自然に途切れたりしています


2011年頃にはリメイクされる噂もありましたが 現在音沙汰がありません
ブルーレイでHDリマスター版まで発売されている 本作品
80年代の カルトなB級ロボットSF映画となっています


4.スペース・サタン (1980年)

監督は スタンリー・ドーネン
第1回ゴールデンラズベリー賞で 最低作品賞などにノミネートされたSF映画です

土星の第3衛星に存在する 巨大な宇宙基地であるサターン3
そこでは アダム少佐と 相棒兼恋人のアレックスという二人の男女が 地球の食糧不足を解消するための任務に就いていました
楽園のような生活を楽しむ 彼らのもとへやってきたもう一人の男 ベンソンでしたが 実はその目的は この基地を制圧することでした
そんな中 ベンソンが尖兵として作りだしたバイオノイドのヘクターが意識をもち始め 異常事態が発生する...というストーリーです


製作費は 1000万ドル
本作品は元々「スター・ウォーズ」や「スーパーマン」などの美術スタッフであった ジョン・バリーが発案し 監督予定の企画でした
しかし 初の監督業ということもあって製作がうまくいかず 主演のカーク・ダグラスとの関係も悪くなっていたそうです
そんな流れもあって 製作担当のスタンリー・ドーネンが主導権を握るようになりました
ジョン・バリーはこれを嫌って途中降板になり 脚本も投げ出し 最終的には 原案のみにクレジットされることとなりました
こういった経緯により 最終的にはスタンリー・ドーネンが監督になっています


ジョンバリーはその後 「スターウォーズ/帝国の逆襲」の撮影前にセットで倒れ そのまま死去してしまったため 本作品は彼の遺作的な映画です
このような製作時のいざこざも影響したようで 内容としては ちぐはぐな脚本やセリフだけでなく チープな特撮シーンなど 突っ込みどころは満載です
そんな中でも見どころは 物語の中心となるバイオノイド"ヘクター"のデザインです
その不気味な造形に加え 気味の悪い動きなど 他の映画では観れない独特の存在です


また やけに少数精鋭な俳優陣にも注目です
基地内で終始いちゃつく カーク・ダグラスとファラ・フォーセット
そして 正直言って全然SFが似合っていない ハーヴェイ・カイテルも出演しています
個人的には ポール・オースター原作の映画「スモーク」での彼の演技がとても好きなので この映画における悪役ぶりと その人間性に驚きました


製作がスムーズではなかったことが伝わってくるような 整っていない内容の 本作品
これこそカルトと言える 奇妙な宇宙SF映画となっています


5.マンドロイド (1993年)

監督は ヨアキム・エルスガード
遠隔操作のロボット"マンドロイド"をテーマにした B級カルト映画です

カール・ジンマー博士はロシア奥地の秘密研究所で 特殊な装置を身に付けた人に従って動く人型ロボット"マンドロイド"を発明
彼はこの発明をアメリカに提供し アメリカはCIAのジョー・スミス捜査官とウェイド・フランクリン博士を 査察のために派遣しました
しかし ジマーのパートナーであるドラゴは別の計画を企んでおり マンドロイドを軍に売ろうとしていた...というストーリーです


本作品は カルト映画でお馴染みのチャールズ・バンドが製作にクレジットされ フルムーン・エンタテインメントによって製作されました
"マンドロイド"とは...特殊なヘッドセットとスーツを身に付けた人による遠隔操作で動く 最新型(?)のロボットです
映画内では技術が進歩し ヘッドセットのみで動かせるようになっていきます
しかしマンドロイドは元々単なる作業用ロボットであり 武器も装着されておらず 軍が欲しがるほど有用ではなさそうです...


作中では このロボットをめぐり 科学者・CIA・秘密警察など各所の思惑が交錯するような物語が描かれます
さらに "超伝導体"と呼ばれるキノコ由来の成分や 透明人間など とりあえず楽しそうな要素を入れてみた...という感じがします
主要人物が 銃をたくさん撃ち込まれても生きているほどの耐久度をもっていたり 要所でツッコミどころはありますが...意外なことに 数々のカルト映画を手掛けてきたチャールズ・バンドの映画としては 比較的にまじめな雰囲気で作られています


元々は「マインドマスター」というタイトルだったとされ「キャプテン・アメリカ」をはじめとするキャラクターを創造してきたアメコミ界のレジェンド ジャック・カービーが初期のコンセプトアートを担当していたそうです
また 今作の続編として 1994年の「インビジブル」が存在しますが なかなかに入手困難の状況です
地味なロボットにまつわる カルトな内容の描かれる 本作品
チャールズ・バンドと気が合う方は 観てみてください

6.サイボーグ (1989年)

監督は アルバート・ピュン
ジャンクロードヴァンダム主演で描かれる アメリカのSFアクション映画です

舞台は近未来
人々は暴力に明け暮れ 文明は崩壊し 無政府状態のアナーキーな社会になっていました
ウイルスが蔓延する中 唯一人類を救えるのは 美しいサイボーグ科学者のパールだけでした
そんな中"スリンガー"のギブソンは 人類救済の鍵を握る疫病治療のデータをインプットしたパールを目的地まで無事に送り届ける任務を請け負うことになります
パールの護衛に当たっている中で 悪魔崇拝者的ギャングの一味が追いかけてくる...というストーリーです


本作品では 傑作カルトSF映画「ネメシス」でも知られる アルバートピュンが監督をつとめました
製作費は180万ドルとも噂され 大部分の50万ドルは ジャン=クロード・ヴァン・ダムのギャラだったといいます
作中では ポストアポカリプス的な荒廃した世界を舞台に サイボーグ科学者と "スリンガー"と呼ばれる護衛を担う人物が描かれます
当初は監督によって『モノクロでセリフなし』という攻めた内容が構想されたそうですが これは製作側の猛反対により却下
それでもセリフはかなり少ない仕上がりになっています


アルバート・ピュン監督は この映画のタイトルを「スリンガー」にしたいと考えていましたが プロデューサーはその名前が気に入らず 代わりに「サイボーグ」というタイトルになったそうです
しかし主役はスリンガーのほうなので ジャン=クロード・ヴァン・ダムがサイボーグを演じるのかと勘違いしてしまいそうなタイトルです
今作では登場人物の名前も特徴があり 主役のギブソン・リッケンバッカーをはじめ ナディ・シモンズ,フェンダー・トレモロ,マーシャル・ストラト,パール・プロフェットと なぜか楽器や 楽器メーカー関連の名前が付けられています


本作品については 中止されたプロジェクトである「マスターズ/超空の覇者」の続編映画と「スパイダーマン」の実写版のために制作された衣装やセットを流用して完成に導かれる予定でした
当初編集されたオリジナル版が存在したそうで よりダークで より暴力的な内容をもつ 2時間尺の映画だったといいます
しかし試写会では100人中99人から不評だったそうで アルバート・ピュン監督はポストプロダクションから追い出され 別の人物の手で商業的な方向に編集させる流れになったそうです


続編として アンジェリーナ・ジョリーの映画初主演作でもある「サイボーグ2」と その次作「サイボーグ3」がありますが ジャン=クロード・ヴァン・ダムは出演していません
また 前日譚として2013年にアルバート・ピュンが監督した「Cyborg Nemesis: The Dark Rift」という映画があるようですが 日本では視聴が難しそうです
それはともかく 終始カルトな雰囲気が漂う 本作品
続編含め 気になる方はぜひ観てみてください


あとがき

今回は「忘れ去られしSF映画」というテーマでの SF映画紹介でした
今回が第2弾となりましたが 忘れ去られた作品たちは まだまだ存在しています
少しずつ掘り起こして 第3弾でも紹介していきたいと思っています
また ついにチャンネル登録が5000人を突破して とても嬉しく思っています
今後 日本ではこのチャンネルでしか紹介していないような映画の紹介も控えているので 引き続き楽しみにしていただければ幸いです
最後までご覧いただき ありがとうございました

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